PS新作ディスク終了を受け、米ペンシルベニア州で「Protect Our Games Act」準備
買ったのは「ゲーム」なのか、それとも「遊んでよい権利」なのか。ディスクが手元にあるうちは、ほとんど考えずに済んだ問いだった。ところがPlayStationの新作から物理メディアが消える日が決まって、アメリカの州議会でこの問いが法案の形を取り始めている。
米ペンシルベニア州上院のジョン・ケイン議員(民主党)は9月18日、「Protect Our Games Act」の共同提案者を募るメモを州上院の議員に回した。デジタル版ゲームの提供をやめるとき、販売元に事前の予告と、遊び続ける手段か返金を義務づける内容だよ(ペンシルベニア州上院の共同提案者募集メモ)。
メモが名指ししている出来事ははっきりしている。ソニー・インタラクティブエンタテインメントが7月1日に発表した、PlayStation向け新作ゲームのディスク生産終了だ。
2028年1月以降にPlayStation®コンソール向けに発売されるすべての新作ゲームについて、ディスク版の生産を終了いたします。2028年1月以降に発売される新作ゲームは、PlayStation®Storeおよび販売店において、ダウンロード版のみの提供となります。
公式ブログより(PlayStation.Blog 日本語)。すでに発売済みの作品や、2028年1月より前にディスクで出る作品には影響しない。
ケイン議員のメモは、ここから先の心配を書いている。デジタル版は多くの場合、ゲームそのものではなく「遊ぶためのライセンス」を売る形になっている。その利用規約は販売元がいつでも、どんな理由でも変えられる。ディスクという逃げ道が無くなれば、遊べるかどうかは販売元の判断ひとつで決まる、という理屈だね。法案は地元の有権者から求められて用意したものだという。
60日前の予告と返金・パッチ・オフライン化
メモに書かれた骨組みはこうなっている。
- ゲームの提供をやめるとき、または機能を変えるときは、少なくとも60日前に購入者へ知らせる
- そのうえで、次のうち少なくとも1つを購入者に用意する
- オフラインで遊べるようにする
- 販売元のオンラインサービスに頼らずオンラインで遊び続けられるパッチを出す
- 返金する
- 返金額は、提供終了前の12か月間につけた最も高い販売価格。ただし最初の販売価格の25%を下回ってはいけない
- サブスクリプションの期間中だけ遊べることをうたって提供しているゲームは対象外
- 取り締まりは州の司法長官と地区検事が担う
いちばん効いてくるのは返金の決め方だと思う。サービス終了の前に大きく値下げしてから返金額を小さくする、というやり方を「過去12か月で最も高い価格」の基準で防いでいる。さらに発売時の価格の4分の1という下限まで付けているのは念入りだ。
「Protect Our Games Act」という名前自体は新しくない。カリフォルニア州議会にはすでに同名の法案 AB 1921 が出ていて、中身もよく似ている。
| ペンシルベニア州(ケイン議員) | カリフォルニア州 AB 1921 | |
|---|---|---|
| 段階 | 共同提案者を募集中(法案は未提出) | 州下院は通過、州上院の委員会で否決(再審議は可能) |
| 事前の予告 | 60日前 | 60日前 |
| 購入者への選択肢 | オフライン化/独立して動くパッチ/返金 | 左の3つに加え、サーバーの資料やサーバーソフトの公開 |
| 返金額 | 過去12か月の最高価格(最初の販売価格の25%が下限) | 過去12か月の最高価格 |
| 対象外 | サブスクリプションでの提供 | サブスクリプションでの提供、無料のゲーム、買ったときに取り消されないオフライン版を受け取れるゲーム |
| 取り締まり | 州司法長官・地区検事 | 州司法長官・地区検事 |
カリフォルニア側の条文は州議会の法案ページで読める。2028年1月1日以降に発売・再発売されるゲームに適用する作りで、コミュニティで運営できるようサーバーの資料を出す、という選択肢まで入っているのが大きな違いだ。
ただ、そのAB 1921は6月29日、州上院の商取引・専門職委員会で賛成4、反対3となった。賛成が反対を上回ったのに、通過に必要な票数に届かず否決されている。再審議は認められているものの、会期の決まりで次に採決にかけられるのは早くても2027年の会期になる見込みだ。
ペンシルベニアの案は、カリフォルニアの案から選択肢をしぼり、返金の下限を足した形になっている。
ペンシルベニア州の共同提案者募集メモは、議員が法案を正式に出す前に、同僚へ賛同を呼びかけるための文書だ。今回のものも、この段階ではまだ法案番号も付いていない。条文の中身は提出までに変わりうるし、提出されたあとも委員会と両院の採決が待っている。
それでも、ディスク生産の終了からわずか2か月半で、州の議員がソニーの名前を挙げて法案の準備を始めた。PlayStationの新作がダウンロード版だけになる2028年1月まで、残りは1年と少しにゃ。
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