PlayStation規約メールが波紋、「ソフトはライセンスで販売ではない」条項の通知が抗議週間直前に
件名は「PlayStation Terms – Copy for your records」。開くと、あいさつ文の下に規約が丸ごと貼り付けられている。8月半ば以降、PlayStationアカウントを持つ人の一部に、この自動送信とみられるメールが届いた。何か月もPS5を起動していないのに来たという声がある一方で、まったく受け取っていない人もいる。誰に送られたのか、なぜ今なのかについて、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からの説明は出ていない。
メール本文に規約が丸ごと貼り付けられていた

書かれているのは「あなたは先日、以下のPlayStationの規約に同意しました」という確認と、記録用に全文を添えておくという案内。挙げられているのは利用規約、コミュニティー行動規範、エンドユーザー使用許諾契約、プライバシーポリシーの4つで、リンクを張るのではなく本文そのものが並んでいる。
反応を集めたのは、そのうち使用許諾契約に入っている一節だね。第1.4条「お客様へのライセンス」の冒頭はこうなっている。
本ソフトウェアは、お客様にライセンスされるものであり、販売されるものではありません。
続けて、与えられるのは限定的・非独占的・譲渡不可・個人的なライセンスであり、私的かつ非商用の利用に限られると定めている。禁じられている行為も並ぶ。レンタル、リース、サブライセンス、改変、翻訳、リバースエンジニアリング、逆コンパイル。ライセンスが有効になるのは、そのソフトの発売日や早期アクセス開始日以降から、とも書いてある。
念のために言うと、この文言自体はPlayStationに固有のものではない。Steamの利用規約にも第2条Aに「The Content and Services are licensed, not sold.」と同じ趣旨が置かれている(Steam 利用規約)。デジタル配信の店では、ほぼ標準装備の条項にゃ。それでも、普段は誰も開かない文章が受信箱に直接置かれると、受け取り方は変わってくる。
規約そのものを見に行くと、時期の手がかりが出てくる。現行の「PlayStationオンラインサービス利用規約」は第17版で、2026年4月付。かつて「PlayStation Network利用規約」と呼ばれていた文書は、オンラインサービスという名前に置き換わっている。
そして、今回引用された条文が入っている「PlayStation®ソフトウェアアプリケーションエンドユーザー使用許諾契約」のほうは、版数が Ver.1.0。独立した契約書としては新しく用意されたものだと分かる。条文の中身が新設されたというより、規約の組み替えに合わせて切り出された形とみられる。
利用規約の第13.1条には、規約を変更する場合の告知手段として、登録メールアドレスへの連絡やPlayStation製品のお知らせ機能、公式サイトのリーガルポータルへの掲載が挙げられている。今回のメールがその一連の告知にあたるのかどうか、公式な位置づけは示されていない。
抗議週間「#PSBlackout」は8月30日まで続く
タイミングの悪さが指摘されたのは、この夏ずっと尾を引いている一件があるから。SIEは7月1日、2028年1月以降にPlayStationコンソール向けへ発売する新作すべてで、ディスク版の生産を終了すると発表した。以降の新作はPlayStation Storeと販売店でダウンロード版のみの提供になる。既に発売済みのタイトルと、2028年1月より前にディスク版で出るタイトルには影響しない(PlayStation.Blog)。
同じ日にはもう一件、PS3およびPS Vita向けPS Storeの終了も告知されている。2026年8月のメキシコ・ホンジュラス・ニカラグアを皮切りに順次終了し、2027年7月に全世界で提供を終える。購入済みコンテンツは当面ダウンロードできる(PlayStation.Blog)。
反発を受けても、7月1日のお知らせが取り下げられた形跡はない。ゲーム保存を掲げる団体 DoesItPlay はこれを受け、1週間の「#PSBlackout」を呼びかけた。ログインしない、遊ばない、買わない。期間は8月23日から30日までで、今まさに進行中にゃ。
この夏の流れを日付で並べると、間の悪さがはっきりする。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 7月1日 | 2028年1月からの新作ディスク版生産終了を発表 |
| 7月1日 | PS3・PS Vita向けPS Storeの終了を発表 |
| 7月31日 | ソニーグループが2026年度第1四半期の決算説明会を開催 |
| 8月半ば以降 | 規約の全文を添えた通知メールが一部ユーザーに届く |
| 8月23日〜30日 | 抗議週間「#PSBlackout」 |
デジタル販売と「持っている」ことの距離をめぐる話は、法廷にも持ち込まれている。オランダで起こされたソニー相手の集団訴訟には、ゲーム保存運動 Stop Killing Games が後押しを表明した。
ディスクの生産が止まるのは2028年1月。その日を待たずに、規約のほうは先に書き換わっていた。
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