スキップ不可のムービーと『シャドウ・オブ・モルドール』ネメシス、万人一致のゲーム要素
ゲームの好みは人それぞれで、同じ作品でも評価はたいてい割れる。それでも、ほぼ全員が同じ側に立つ要素はあるのか。Redditのr/gamingに、そんな問いが投げかけられた。
お題の範囲は広い。ミッションでも、見ていて気恥ずかしくなるムービーでも、ゲームの仕組みでも、実績集めでもいい。投稿者は例として、『Wolfenstein』の長いスキップ不可の導入を最高難度で何度も見せられる体験を挙げていた。「最高」と「最悪」のどちらを書いてもいい問いだったのに、集まった声は圧倒的に「最悪」側へ傾いた。いちばん多くの支持を集めたのは、短いこの一言だったにゃ。
スキップできないムービーは許されない。以上。
スキップ不可のムービーは、初見なら演出の一部として受け入れられる。問題になるのは、同じ場面を何度も見る状況だよ。返信では、その状況がすぐに2つ挙がった。
特にニューゲーム+があるゲームではね。
特に、何度もやり直すことになる難しい戦闘の直前に置かれている場合。
2周目以降に見るムービーは、すでに知っている話を読み返すだけの時間になる。負けるたびに再生されるなら、なおさらだね。そこで出てきたのが、この話題の代表例として何度も名前が挙がった『キングダム ハーツ』初代のリク戦だった。
「カイリの心は……ボクの中に?」を死ぬたびに聞かされていたら、今でもリクと戦っていたと思う。Final Mixでようやくムービーを飛ばせるようになって本当によかった。
「カイリの心を渡すものか!」
スキップ不可のムービーが嫌われる理由を語るとき、ほぼ決まってこれが例に出てくるのが好き。闇のリクには本当に命がけで戦わされた。
直前の会話を覚えてしまうほど見せられたせいで、セリフそのものが一種の合言葉になっているのが面白い。スレッドには、セリフを叫ぶだけの返信まで並んでいた。現在Steamで配信中の『KINGDOM HEARTS -HD 1.5+2.5 ReMIX-』は、日本語と英語のフル音声に対応している。


スキップできるかどうかだけでは話が終わらなかった。付け足された不満はもっと細かい。
一時停止できないムービーもね。
一時停止できないと、来客や電話のたびに話を聞き逃すことになる。同じ意見は別の返信にも出ていて、『龍が如く3』の場面を名指しして「地獄だった」と振り返る人もいた。
中途半端な救済策も評判がよくなかった。『Crimson Desert』についてはこんな声がある。
スキップ不可なうえに「早送り」ボタンがある。少しは速く進むけど、長いセリフを甲高い早回しの声で聞かされるし、登場人物はエスプレッソを1ガロン飲んだみたいにせわしなく動き回る。
飛ばせないなら、せめて普通の速さで落ち着いて見たい。気持ちはよく分かるね。逆に、スキップの操作自体が落とし穴になっている例も挙がった。
メニューボタンでスキップさせるムービーも困る。「あれ、音を出してなかった? 残念でした」ってやつ。
音量を確かめようとメニューを開いた瞬間、ムービーごと飛んでしまうという不満だね。スキップ機能は付いているかどうかだけで評価されがちだけど、どのボタンに割り当てるか、確認を挟むかといった細かい設計まで見られているわけだ。
『Wolfenstein II』椅子の長話が「最悪」
発端の投稿が『Wolfenstein』を例にしていたこともあり、シリーズの話は返信でも続いた。ある人は『Wolfenstein II: The New Colossus』を「最悪」として挙げている。
いちばんひどかったのは『Wolfenstein II』。椅子に縛られたまま敵役がえんえんと喋り続ける、ものすごく長い場面がある。頭は動かせるから厳密にはムービーじゃないんだけど。

視点を動かせる分、形式上はムービーではなく「ゲーム中の会話」扱いになる。そのぶん飛ばす手段もなく、座って聞いているしかないという不満だね。この人は写真まで撮ってRedditに愚痴を投稿したのに、結局待たされたと書いていた。


反対に、例外を認める声もひとつだけ出てきた。
ムービーは片っ端から飛ばす派だけど、『Baby Steps』のあれだけは唯一の例外だと思う。少なくともゲームのほうが自覚的だった。
『Baby Steps』は、ぎこちない一歩一歩を自分で操作して山を登っていく作品。体を動かす手間そのものを遊びにしたゲームだから、飛ばせない時間まで「分かってやっている」演出として受け止められたようだにゃ。同じ飛ばせない時間でも、ゲーム自身がそれを冗談にしているかどうかで受け止め方が変わる。「スキップできないムービーはすべて悪」という結論に、ひとつだけ付いた但し書きだった。
ネメシスシステムだけは誰もが絶賛した
不満の声が並ぶなか、「最高」側で名前が挙がったのは、ほぼ1つだけだった。
誰もが完璧だと認めるもの:『シャドウ・オブ・モルドール』『シャドウ・オブ・ウォー』のネメシスシステム。
ネメシスシステムは、Monolith Productionsが開発した『Middle-earth: Shadow of Mordor』と続編の『Shadow of War』に搭載されたオーク軍団の仕組み。プレイヤーを倒したオークは出世し、戦った相手を覚えていて、再会すると前の戦いに触れてくる。自分だけの宿敵が勝手に育っていく作りが高く評価された。


ただ、この名前が出ると、すぐに特許の話がついて回る。
ありがたいことに、この仕組みは特許の墓に埋められていて、誰も使っていないのに誰も使えない。たぶんケイト・アーチャーの隣に。
ケイト・アーチャーは、同じMonolithの『No One Lives Forever』シリーズの主人公。権利関係が整理されないまま、長く新作も移植も出ていないキャラクターだね。そんな彼女と並べて「埋葬」された扱いになっている。

特許は実在する。Warner Bros. Entertainmentが2016年に出願した「Nemesis characters, nemesis forts, social vendettas and followers in computer games」で、2021年に成立している(Google Patents)。出願から20年、2036年まで効力が続く見込みだ。Monolith自体も、2025年2月にWarner Bros. Gamesがスタジオの閉鎖を発表している。
それでも、この「特許のせいで誰も作れない」という見方には反論も付いた。
それは正しくない。使えないのはあの特定の実装だけで、まともな開発者ならそのまま丸写しなんてしない。作られないのは、とんでもなくリソースを食うわりに得るものが少ないからだ。
特許が守っているのは出願書類に書かれた具体的な方式で、「敵が自分を覚えている」という発想そのものではない。似た手触りのゲームが増えないのは、法律より手間とコストの問題だという指摘だね。どちらが主な理由なのかはスレッドの中でも決着していないけど、ネメシスシステムが評価されていること自体を否定する人は見当たらなかった。
「誰もが同意するもの」を探した結果、「最悪」はスキップできないムービー、「最高」はもう誰も作っていない仕組みになった。飛ばせない数分はすぐに不満として挙がる一方、手間のかかる名案は10年近く後継が出ていない。
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