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ネメシスシステムの特許、ワーナーは2025年1月に3本目を取得――Redditで「標準機能にすべき」論争が再燃

投稿: 2026/09/01by tobariware10分で読めます
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2024年12月、ワーナー・ブラザースは米国特許商標庁に新しい出願を1件出している。中身は「ネメシスシステム」の系列——倒しそこねた敵が生き延びて出世し、次に会ったときに前回のことを覚えている、あの仕組みだ。その2か月あまり後の2025年2月、この仕組みを作ったモノリス・プロダクションズは閉鎖された。

作った側はもういないのに、権利のほうは今も増えている。Redditのr/Steamでは「ネメシスシステムは、ルートや装備欄やスキルツリーと同じように、オープンワールドRPGの当たり前の機能になるべきだ」という投稿が伸びていて、コメント欄は特許の話と実装コストの話が入り混じったまま、そこそこの規模の議論になっているにゃ。

特許は1本ではなく、3本目が2025年1月に成立している

まず事実関係から整理しておく。話題の中心になっているUS10926179B2「Nemesis characters, nemesis forts, social vendettas and followers in computer games」は、出願が2016年3月、優先日が2015年3月、登録は2021年2月。権利者はWarner Bros. Entertainment Inc.で、登録上の満了予定日は2036年8月11日となっている。発明者にはモノリスのデザインディレクターだったMichael de Plater氏らの名前が並ぶ。

見落とされがちなのは、これが1本きりではないという点。同じ優先日をもつ継続出願が枝分かれしていて、US11660540B2が2023年5月に、US12201908B2が2025年1月に、それぞれ登録されている。満了予定はそれぞれ2036年4月、2036年3月。つまり10年後まで、少なくとも3本が同時に立っている状態だね。

さらに冒頭で触れた4本目——2024年12月12日出願、2025年4月公開のUS20250108303A1は、この記事を書いている時点でまだ審査中。タイトルは「Systems and methods for controlling non-player characters based on control parameters in video gaming」で、「ネメシス」の語が消えて、もう少し広い言い方になっている。同じ出願の登録記録には、2025年10月付でJPモルガン・チェースを担保管理人とする担保権の設定も記載されている。ゲームの仕組みというより、帳簿に載る資産としての扱いだね。

特許の効力についてもひとつ補足を。特許が与えるのは「他人を排除する権利」であって、「自分が実施できる権利」ではない。そして著作権と違い、独自に思いついたかどうかは抗弁にならない。同じ結果になる手順にたどり着けば、参考にしていなくても請求項の範囲に入る。ただし押さえられているのは請求項に書かれた具体的な処理であって、「敵が因縁を覚えている」という発想そのものではない、というのも同時に正しい。この二つが噛み合わないまま議論が進むので、話がややこしくなる。

「社会的因縁」の部分は、2020年末にすでに止まっている

特許のタイトルには "social vendettas"(社会的な因縁)という語が入っている。プレイヤー同士でネメシスをやり取りする仕組みのことで、これは実際に『シャドウ・オブ・モルドール』へ実装されていた。ところがストアページの冒頭に据えられた注意書きによれば、2020年12月31日以降、自分のネメシスを『シャドウ・オブ・ウォー』へ引き継ぐ「Nemesis Forge」、ヴェンデッタミッション、リーダーボード、WBPlayはいずれも利用できなくなっている。特許の名前に残っている機能が、遊べる形ではもう存在しないという状態にゃ。

肝心のゲーム自体は今も買える。2014年に出た『Middle-earth: Shadow of Mordor』はSteamで9万6,000件を超えるレビューがあり、そのうち約92%が好評。9月1日時点では通常2,189円のところ80%オフの437円まで下がっている。ただし対応言語に日本語は入っていない——英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語・ポーランド語・ブラジルポルトガル語・ロシア語の8言語のみで、UIも字幕も英語で読むことになる。

2017年の続編『Middle-earth: Shadow of War』のほうは日本語に対応していて、しかも字幕・UIだけでなく音声も日本語が用意されている。レビューは11万6,000件超で約89%が好評。こちらは通常5,950円が90%オフの595円だ。要塞攻略や配下の育成までネメシスシステムが広がったのはこの2作目のほうなので、仕組みそのものを触ってみたいなら選びやすいのは続編のほうだと思う。

この仕組みが次に載るはずだったのが、2021年12月に発表されたモノリス開発の『Wonder Woman』。オープンワールドの単独プレイ作品で、ネメシスシステムによって敵とも味方とも深い関係が結ばれていく、と公式に説明されていた。そのタイトルは2025年2月、モノリスとPlayer First Games、WB Games San Diegoの閉鎖と同時に開発中止となっている。ネメシスシステムを使う予定のあった作品は、これで表から消えた。

特許が壁なのか、それとも手間が壁なのか

Redditの議論が真っ二つに割れたのは、まさにここ。「特許のせいで誰も作れない」派と、「特許は関係ない、単に作るのが大変すぎるだけ」派の応酬になった。

3Dゲームが当たり前になって以来、いちばん面白い進歩だと本気で思っている。これだけ大きくて可能性のある仕組みを、使いもせずに閉じ込めているWBに、毎朝腹を立てながら起きているよ。

誰かが改良版を作って、その改良のほうで新しく特許を取ればいいんじゃないの。特許って既存のものの改良でも取れるはずだけど。

この素朴な疑問に、かなり正確な返信が付いていた。

特許は他人を排除する権利であって、自分が実施できる権利とは限らない。ネメシスシステムの改良で特許を取ることはできても、元の特許を使えない以上、その改良も動かせない。

一方で、法律は障害ではないという見方も強かった。

特許は誰の足も止めていない。問題はこの仕組みが手間の塊だということ。スカイリムに冒険者集団として乗せるなら、集団を用意して、互いに動かして、彼らに何ができるのかを決めて、プレイヤーがどう関わるのかを決めて、そこから先へ進める方法まで作らないといけない。

いや止めているよ。使いたければライセンスを受ける必要があるんだから。

自作を止められているわけじゃない。大きいのは、実験と労力と資源と時間がとにかくかかることのほうだ。大手がどこも手を出していないのには理由がある。

そして、この「手間がかかる」という指摘をそのままワーナー擁護に反転させる声も出た。

だからこそ特許を取ったんだろう。それだけの手間をかけて作ったものを、なぜ無償で配らないといけない。

ここに冷や水を浴びせる形で挙がっていたのが、22世代ぶんの世界史を先に回してから遊ばせるゲームの名前だった。

その間に、1000年ぶん世界をシミュレートして伝承を作っているゲームもあるけどね。Dwarf Fortressとか。

もっとも、賛否のどちら側にもほぼ共通していた不満がひとつある。囲うこと自体より、囲ったまま何もしていないことへの苛立ちだ。

「何もしないために持っている特許」というわけだ。

誰が使えるかを握っているのはまだいいとして、せめて自分たちで使ってほしい。

「拠点が強くなるだけ」への反論も出た

議論の途中で、そもそもこの仕組みはそんなに凄いのか、という直球の質問が投げ込まれたのも面白いところ。

なんでそこまで良いと思うのか説明してくれる? 自分には「プレイヤーが死んだら拠点が強くなる」だけに見えるんだけど。

返ってきたのは、システムの図式ではなく具体的な場面の話だった。

台詞とキャラクターの見せ方が自分専用になるから。弓でオークの頭を狙って仕留めそこねると、後で再登場したそいつは眼帯をしていて、「次はこっちがお前の目をもらう番だ」と煽ってくる。前に殺されたことを根に持って絡んでくるんだ。

半分だけ同意する、という位置取りの声もあった。

みんなが良かったと覚えているのは、実は台本のある隊長たちの部分が大きいと思う。それ以外はだいたい隊長のレベルが上がって、再会したときに一言あるくらい。

このあたりが、この仕組みの評価が割れ続ける理由なんだろうね。因縁の生成そのものは自動でも、「ちゃんと刺さる瞬間」を用意しているのは手書きの台詞と演出のほうで、そこを削れば残るのは数値の上下だけになる。手間がかかると言われるのは、まさにその手書きの部分が多いからだ。

議論の中には「ゲームの仕組みに特許が取れること自体がおかしい」という原則論もあれば、12年前のゲームが今遊んでも古びていないことへの素直な感心もあった。どちらも、この話がいまだに終わらない理由を言い当てている。

原特許の満了予定日である2036年8月11日まで、残り10年。そのころ『シャドウ・オブ・モルドール』は22歳になっている。

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