ファン作品に寛容なValveも無断販売には「No」 dbrandのコンパニオンキューブ騒動がr/Steamで再燃
4コマの左側に立つ人物は、上の段で「ファンゲームを作った」、下の段で「あなたたちのキャラクターと素材で、何百万ドル規模のシリーズを作ってる」と話しかけている。上の段の相手は任天堂のロゴを顔に貼られて泣き叫び、下の段の相手はValveのロゴのまま平然と「Ok」とだけ返す。

r/Steamで伸びているのは、このミームだよ。付いている一言は「他の人が楽しむのを邪魔しない限りはね」。二次創作やファンメイドに対するValveの懐の深さを、他社と比べて持ち上げる内容になっている。
ところが、コメント欄のいちばん上に来たのは称賛ではなかった。
それでも、まず本人たちに聞かなきゃいけないけどね。
その下に、ひと言だけのコメントが続く。「dbrand intensifies(dbrandの気配が濃くなってきた)」。スレッドの話題は、ここから一気にこの夏の騒動へ移っていったにゃ。
dbrandはValveに許可を取る前に売り出していた
dbrandはカナダのアクセサリーメーカーで、スマートフォンやゲーム機用のスキン、ケースを作っている。そのdbrandがSteam Machine向けに作ったのが、『Portal』シリーズに出てくる「Weighted Companion Cube(コンパニオンキューブ)」を模したケースだよ。灰色の四角い箱の各面にピンクのハートが入った、あのキューブにゃ。
経緯は、dbrand自身が公式のRedditアカウントで説明している(dbrandの告知)。販売ページがあったアドレスは、いまはこの告知へ転送される。要点を並べるとこうなる。
- 2025年11月、Steam Machineが発表されたその日に、完成予想図と通知登録のページを公開した
- 2026年6月下旬に予約販売を始め、同社の歴史で2番目に売れるペースの商品になった
- 直後にValveの法務から連絡があり、コンパニオンキューブはValveの知的財産で、dbrandにライセンスは無いとして、商品と紹介映像の取り下げを求められた
- dbrandはすべて取り下げたうえで、正式にライセンスを受けて続けられないか尋ねたが、Valveの答えは「No」だった
- 予約分はすべて返金された
告知の中で、dbrandは自分たちの判断をかなり率直に振り返っている(dbrandの告知より・日本語訳)。
Valveに作っていいか一度も聞かないまま、アイデアを本物の製品にしてしまった。この判断はこの先ずっと後悔することになると思う。
答えは「No」だった。先に作って、許可は後から求めるという逆の順番を踏んだ以上、妥当な答えだ。
予約開始から取り下げまでは、およそ1週間。開発に1,000時間以上をかけた商品だったと、dbrandは明かしているにゃ。
dbrandがゲーム機メーカーとぶつかるのは初めてではない。2021年には、PS5用の交換カバーをめぐってソニーから警告書を受け取り、販売を取りやめている。
騒動のあと、dbrandは2026年7月下旬にSteam Machine、Steam Controller、Steam Deck向けのスキンを大量に売り出した。触れ込みは「完全に合法(totally legal)」。コンパニオンキューブの件を、自分たちで笑いにした売り方だね。
新しい柄の中には、段ボール箱を模した「Package」や「Orange Box」といった名前も並ぶ。キャラクターやロゴは使わず、それでいてValveのファンなら思い当たるところがある線を狙ったデザインだよ。

ミームがValveを持ち上げたのも、根拠が無いわけではない。Portalの世界をよそのシリーズと組み合わせた『Bridge Constructor Portal』は、Valveから正式にライセンスを受けてHeadupが2017年に出した作品だよ。コンパニオンキューブも、ちゃんと製品の中に出てくる。
もう一つの例が、ファンの有志チームが作り直した『Half-Life』のリメイク『Black Mesa』。無料のModとして始まったこの作品は、Valveの承認を得て有料の製品としてSteamで売られている。

寛容なのはたしかだけど、それは話を通した相手に対してだった。dbrandの件で抜け落ちていたのは、まさにその「話を通す」手順だったにゃ。
Redditの反応
事情を知らない人の質問から、スレッドは説明の流れになった。
何があったの?(話についていけてない)
Steam Machine用にコンパニオンキューブ柄のカバーを作って、Valveの許可を取る前に売り始めたんだよ!
dbrandの告知がいつもの皮肉交じりの芸風を封じて、素直に謝っていた点に目を留めた人もいる。これには、すぐに別の見方がぶつけられた。
キャラを崩して、皮肉で返さなかったのは意外。いい判断だと思う。
いや、あれも一種の皮肉でしょ。Valveに許可を取り「忘れた」なんてことはさすがに無いはず。わざとやった宣伝で、現にみんなまだdbrandとSteam Machineのカバーの話をしている。宣伝としては成功したんだよ。
故意だったかどうかは、公式の説明からは分からない。ただ、同社が「先に作って後から聞いた」と自分で書いているのは事実だね。
もう一つの論点は、dbrandは許可を求めたのか、という点。ここは食い違ったまま話が進んでいった。
許可だけの話じゃない。ライセンスさせてもらえるか聞いて、Valveが断ったんだ。お金のやり取りが要る話で、借用書で済むものじゃない。
聞いたのは商品が売り出された後だけどね……。Valveはこういう話に応じることもあるし、実際に応じてきた。『Bridge Constructor: Portal』がそうでしょ。タダではないだろうけど、まともに話を持っていけば相談には乗ってくれる。
事前に聞いたの?
製品を作って、差し止めの警告を受けた後にね。
dbrand自身の告知もこの流れと同じで、取り下げを求められてから継続の道を尋ねたと書いている。
ミームの「寛容なValve」という図式に、いちばん冷静な補足を入れたのはこのコメントかもしれない。
コンパニオンキューブはValveの商標の一つでもある。だから無断利用を見逃すという選択肢そのものが無い。Valveが警告書を送らなくても商標を失うおそれが無いようにするには、使う側が許可を求めさえすればいい。
見逃すかどうかは、Valveの気分や度量だけで決まる話ではない。自社のキャラクターを守れる状態にしておくには、無断のものには動かざるを得ない場面がある。ミームの下の段で「Ok」と答えていたValveも、その前には必ず、誰かから声をかけられていたにゃ。
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