Windows 7が一部のゲームでWindows 11を上回る検証、DX9の扱いでRedditが紛糾
サポートが終わって6年近くたつOSが、最新のOSより速くゲームを動かす場面がある——そんな検証結果が、Redditのr/pcgamingで週末のトップに上がった。
検証の中身はシンプルだよ。現行世代のパーツで組んだゲーミングPCにWindows 7を入れ、DirectX 11のゲーム8本とDirectX 9のゲーム2本をWindows 11と同じ条件で動かして比べたというもの。結果はWindows 11が全部勝つわけではなく、いくつかのタイトルではWindows 7のほうが良い数字を出していた。ただスレッドを読んでいくと、話の中心は「どっちのOSが速いか」から少しずつずれていく。
前提として、Windows 7はもう日常的にゲームを遊ぶ環境としては成り立っていない。
Microsoftは2009年に発売したWindows 7について、10年間のサポートを約束していた。その期限が2020年1月14日で、以降はテクニカルサポート、ソフトウェア更新、セキュリティ更新のいずれも提供されていない(Microsoft サポート)。PC自体は起動して動くものの、守りの更新が止まったまま、という状態だね。
ゲーム側の事情はもっとはっきりしている。Steamは2024年の初めにWindows 7・8・8.1のサポートを終え、それ以降、Steamクライアントそのものがこれらのバージョンでは動かなくなった(Steamサポート)。新しい機能が組み込みのGoogle Chromeに依存していて、それが古いWindowsでは動かないこと、Windows 10以降にしかない更新が必要になることが理由として挙がっている。
だから今回の比較は、あくまで「わざわざ入れてみたらどうなるか」を確かめる実験だよ。乗り換えを勧める話ではない。
DX9ドライバーはD3D9On12が担う
スレッドでいちばん熱くなったのが、DirectX 9のゲームの動かし方だった。ここを理解するには、MicrosoftのD3D9On12という仕組みを知っておくと話が早い。
D3D9On12は、Direct3D 9の命令をDirect3D 12の命令に置き換える「マッピングレイヤー」と呼ばれるもの。Microsoftによると、これはDirect3D 9のAPIそのものを作り直したものではなく、Direct3D 9のドライバーの役目を代わりに引き受ける仕組みで、Windows 10には何年も前から組み込まれている。目的は、Direct3D 9のドライバーを持たない新しい環境でも、古いDirect3D 9のアプリを動かせるようにすることだよ(Microsoft DirectX Developer Blog)。
つまり、GPUのメーカーがDirect3D 9のドライバーをきちんと用意しているなら、ゲームはそのドライバーを直接使う。D3D9On12が出てくるのは、それが無いときの受け皿という位置づけになる。検証記事がWindows 11でのDirectX 9のゲームを「D3D9On12を通して動く」と説明していたことに、詳しい人たちが一斉に反応したわけだね。
似た役目を持つものとして、Direct3D 9〜11の命令をVulkanに置き換えるオープンソースのDXVKもある。こちらは主にLinuxでWindowsのゲームを動かすために使われてきたものだけど、Windows上で古いゲームの動きを改善する目的で使う人も多いにゃ。
まず出てきたのは、勝ち負けの中身そのものへの疑問だった。
DirectX 9の古いゲームで有利って、どうせ元から異常なほど高いフレームレートで動くゲームでしょ?
これに対して、平均で見ればそうでも、場所によっては違うという返しがつく。
平均では、ね。いつもそうとは限らない。『Borderlands 2』には、7800X3Dでもそこまで速く動かない場所がある。


『Borderlands 2』はSteamの最低動作環境にWindows XP SP3とDirectX 9.0cが並んでいる、2012年のシューターだよ。名前が出たとたん、話は最適化の問題へ流れていった。



ボーダーランズのシリーズって最適化がひどすぎる。2012年ごろのゲームが今のハードで90fpsって、どうしたらそうなるの?
一方で、ゲームの出来そのものではなく、後から入った変化だという指摘もあった。
その問題はアップデートで入ったものなんだよ。v1.0を含む初期の版は、Core i7 920とGeForce GTS 250の組み合わせでも、1080pの最高設定で60fpsが出ていた。
この人の記憶が正しいかを確かめる材料はスレッドの中には無いけれど、「古いゲームが重いのはハードのせいではない」という見方は何人もが共有していた。DXVKを使えばほとんどの場面で2〜2.5倍の性能になり、壊れた部分をある程度補えるという声もあったにゃ。
もっとも、そもそも差を気にする意味があるのか、という冷めた声も出ている。
結局1/90秒を取り合っているだけでしょ。そこまで来て、本当に反応速度で損をしてる?
すぐに反論がついた。
言いたいのは反応速度を失ってるって話じゃない。当時よりずっと強いハードでもfpsを上げられないくらい、そのゲームの最適化が悪いって話なんだ。
AMDでは自前のDX9ドライバーが動く
技術的にいちばん鋭かったのが、検証記事の説明に向けられたこの声だった。
「Windows 11ではDirectX 9のゲームがD3D9On12を通して動く」って、何の話をしているの? AMDのGPUはD3D9On12なんて使わず、ちゃんとしたDirect3D 9のドライバーを持っている。D3D9On12は互換性も性能も悪くて、ここに出ている数字よりずっとひどくなるはず。
別のユーザーもこれに同調し、D3D9On12はネイティブのDirectX 9に対応していないGPU向けの代替手段で、今回の比較には本来関わらないはずだと続けた。先に触れたMicrosoftの説明とも合う内容で、Windows 11の数字がD3D9On12によるものとは考えにくい、という見方がスレッドの大勢になっていた。
では、実際にD3D9On12を使っているのはどこなのか。ここから話はGPUメーカーごとの事情へ広がっていく。
D3D9On12とD3D11On12は、基本的にQualcommのGPUでしか使われていなかった。
IntelのArcもD3D9On12に頼っているよ。
一時期はそうだった。でもIntelは性能を大きく上げるために、自動でDXVKに切り替える方式へ移った。
ここは参加者の間でも食い違っている。Arcの発売当初はDXVKを使っていたと記憶する人、2022年の発売時にはD3D9On12に頼っていたという当時の報道を挙げる人、途中でDirect3D 9のネイティブドライバーを書いたという動画を挙げる人が入り乱れ、最後は「NVIDIAとAMDはDirect3D 9のドライバーを出している」という一点だけが共通の前提として残った。どの説明が今のArcに当てはまるのかは、スレッドの中では決着していない。
Windows 7が勝った場面があるという見出しは目を引くけれど、反応を追うと、読み手が気にしていたのはOSの優劣ではなかった。DirectX 9のゲームがどの道を通って描かれているのか、古いゲームの重さはハードの問題なのか作品側の問題なのか、という点だね。
Windows 7はセキュリティ更新も止まり、Steamも動かない。そのうえで「17年前のOSのほうが速い場面がある」という結果が出たことは、新しいOSが遅いという話より、古いAPIのゲームを今のPCでどう動かすかという話を掘り起こしたことになる。スレッドの終わりのほうでは、DXVKを試した人の数字が、OSを入れ替えた差よりずっと大きかったにゃ。
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