Epic新ランチャーはAIのバイブコーディング製、起動はSteamの1.8倍速いと主張
「プログラミングは難しい。だから、それをやる代わりに新しいEpic Games Launcherをバイブコーディングで作った」。
Epic Gamesが10月14日に出した公式ブログは、この1文から始まる。バイブコーディングは、人がやりたいことを言葉で伝え、生成AIにコードを書かせて組み上げていく作り方のこと。ストアとライブラリの入口になるランチャーを、その方法で作り直したと会社自身が言い切ったわけだにゃ。
同じ日の夜には、Epic Games Storeの公式Xアカウントが「よその誰かより速くなるよう、Epic Games Launcherをバイブコーディングした」と投稿した。名前こそ出していないものの、添えられたグラフで比べている相手はSteamだ。
ブログ自体も、最初のリリースは機能が少ないと先に認めている。ヨットではなくスピードボートだと思ってほしい、という例えに続けて、「ショッピングカートのような先進のデジタルコマース技術は入っている」と自分で茶化してみせる書きぶりだね。
プレビュー版の特設サイトには、Steamと並べた数字がそのまま載っている。
| 計測項目 | 新しいランチャー | Steam |
|---|---|---|
| コールドスタート(起動) | 5.47秒 | 10.07秒 |
| バックグラウンドからライブラリを開く | 0.36秒 | 0.42秒 |
起動は1.8倍、バックグラウンドからライブラリへの切り替えは1.2倍速いという主張で、ストアを開く速さは3倍としている。注記によると、計測したのはEpicが依頼した外部企業のKeywords Studiosで、時期は2026年10月。13台のPCでそれぞれ5回ずつ測った平均だけど、テストした中で性能がいちばん低い3台は外して計算している。結果は環境によって変わる、とも添えてあるにゃ。
6月のUnreal Festで示したロードマップでは、作り直したランチャーを「今のランチャーより起動が平均5倍速い」と説明していた。今回はその比較相手を自社の旧版からSteamへ切り替えた形になる。
ライブラリとダウンロードの画面が作り直された
速さのほかに、ブログは新しくなった点を次のように挙げている。
公式ブログより・日本語訳(主な項目だけ)
- ゲームの情報を1画面に。 ゲームを選ぶと、状態・アクティビティ・詳細・プレイ操作をまとめた専用ページが開く。PCのライブラリをつなぎ、持っているゲームをランチャーの中で一緒に見られる
- 自分好みに。 ライブラリの横にコレクションを置き、グリッド表示とリスト表示を切り替え、上部のバーに好きなゲームやアプリを並べられる
- ゲームを素早く探す。 入力しながら検索・絞り込みができ、すっきりした配置で大きなライブラリも見て回りやすい
- ダウンロードを見守る。 ダウンロード・読み込み・書き込みの速度と、進行中・待機中・予約済み・失敗したダウンロードを1か所で確認できる


特設サイトでは、遊ばないゲームを隠す機能や、ランチャーから直接パーティーを組んで友達とチャットする機能も紹介されている。

逆に、まだ入っていないものもある。FAQには、今のランチャーにある一部のソーシャル機能とアカウント管理の項目が未対応だと書かれていて、機能をそろえながら更新していく方針だ。購入したゲーム、インストール済みのゲーム、クラウドセーブ、進行状況はアカウントにひもづいているのでそのまま引き継がれ、旧ランチャーとプレビュー版を行き来してもデータには影響しないとしている。
ブログには公開後に注記も足された。プレビュー版はテスト段階なので問題が起こる可能性はあるけれど、ゲームや開発ツールを起動してしまえば、開発にもカジュアルなプレイにも対戦にも支障はない、という内容だね。『フォートナイト』のような対戦ゲームを遊べるかという質問にも、FAQで「遊べる」と答えている。不具合はランチャー内の「Send Feedback」ボタンから報告する仕組みにゃ。
Linuxで動くようになり、『フォートナイト』も後から来る予定
もうひとつ大きいのが対応OSの広がりだ。プレビュー版はWindows・macOSに加えて、Epic Games Launcherとして初めてLinuxでも動く。macOS版はAppleシリコン専用で、Intel搭載のMacは対象外。
| Windows | macOS | Linux | |
|---|---|---|---|
| OS | Windows 10 / 11(64bit) | macOS 12 Monterey以降 | Ubuntu 22.04 LTS以降、Fedora 43以降、Debian 12以降 |
| CPU | Intel Core i3 / AMD Ryzen 3 | Apple M1以降 | 64bit x86-64、2GHzデュアルコア以上 |
| メモリ | 4GB | 4GB | 4GB |
| ストレージ空き容量 | 700MB | 200MB | 2GB |
ただ、ランチャー自体はLinuxでネイティブに動いても、多くのゲームはWindows用のビルドしかないので、互換レイヤーが必要になる場合がある。上の3つ以外のディストリビューションでも動くかもしれないものの、正式なテストとサポートの対象外だ。
『フォートナイト』のLinux対応は、アンチチートの作り直しが条件になる。同じ日に公開されたEasy Anti-Cheatの技術ブログによると、Linux向けのEACはWindows版ほどの保護ができなかったため、Windowsのゲームを互換レイヤーで動かす対応を有効にしていないタイトルが多かった。新しい「EAC Linux v2」は、カーネルモジュールを使わない設計にする。代わりに署名済みのカーネルとカーネルモジュール、構成証明付きのセキュアブートといったLinux側のセキュリティ機能を土台にして、まず『フォートナイト』で試すという。ディストリビューションのメンテナーとの調整が十分に進んだ段階で、Epic Games Launcher経由でLinux版の『フォートナイト』を出す計画だ。
冒頭のXの投稿は、10月15日の時点で1,000万回以上表示され、返信は8,172件、引用は7,412件に達している。いいねの1万6,877件と並べると、引用と返信の多さが目立つ。速さそのものより「バイブコーディングで作った」と胸を張った言い方に、反発や皮肉が集まっている構図だね。
タイミングも重なった。その前日の10月13日未明には、CEOのティム・スウィーニー氏が、社内でAIによる開発の加速に向けて大きな転換を進めていると投稿している。
同じ人数でこれまでと同じものを作るためではなく、全員がより多く・より良いものを作れるようにし、その成果をUnrealを使うすべてのチームに届けるため、というのが本人の説明だ。新しいランチャーは、その方針を外から見える形で示した最初のひとつになった。
今のところ、ロードマップの次の段階は正式版のリリース。そこまでの間に機能を足していくのも、スウィーニー氏の言う「AIで加速した」チームになる。
関連記事
『Vapor World』AI生成カットシーンを全削除、早期アクセス初日に監督が撤回パッチ
Xbox Game Passにも初日追加された『Vapor World: Over The Mind』が、AI生成カットシーンへの批判を受けて全削除。監督が撤回を表明してから、削除パッチが届くまで6時間もかからなかったにゃ。
Steam新作の3本に1本がAI開示へ―3年で5万本を数えた集計が示す『2027〜28年に過半』
3年分・5万本超のSteam新作を数え直したら、AI開示付きは2024年の約1割から2026年には約3割まで増えていたにゃ。このペースなら2027〜28年に過半へ。ただし数が膨らんでも、その大半は売れていない――というのが今回の肝。
Epic Gamesストア、売上最高でもプレイ時間14%減―ランチャーは一から作り直しへ
売上11億6000万ドルは過去最高、けれど遊ばれた時間は14%減。Epicが自ら公開した2025年の数字と、Unreal Engineを外して作り直すランチャーの予定表を並べてみたにゃ。

コメント (0)
最初のひとことをどうぞ🐈
感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。