壁を殴って脱出する『Escape the Walls』、話題になった翌日にRobloxで類似作が公開
素手で壁を殴り続け、少しずつ穴を広げて部屋から抜け出す。たったそれだけの映像が、Xで500万回以上再生された。予想されていたのは「7時間以内に誰かがRobloxで作る」こと。実際は25時間ほどかかった。
映像を投稿したのは、ロンドンのPandorio Games(PANDORIO LTD)。スマートフォン向けのゲームを何本も出しているスタジオで、Steamでは『Stickman Trenches』を配信している。今回の作品の題名は『Escape the Walls』。
初投稿は10月9日、2本目が518万回伸びた
Pandorioが最初に壁パンチの映像を投稿したのは10月9日の夜。「壁を殴って突き破り、脱出するゲームを作っている」という一文に短い動画を添えたもので、このときの再生は2万6,000回ほどだった。
広まったのは5日後、10月14日20時43分の2本目のほうだにゃ。「壁を殴って脱出するインクリメンタルゲームを作っている」と、ジャンルをはっきり書いて投稿し直している。再生回数は約518万回、いいねは9,800近くまで伸びた。
殴るたびに壁が削れ、壊れたブロックを片付けながら外を目指す。少しずつ強くなって、作業を自動にしていくインクリメンタル(放置・強化型)の仕組みと組み合わせたシンプルな作りだね。翌15日の18時過ぎには、Pandorioが「220万回再生!? 『Escape the Walls』を応援してくれてありがとう! Steamページはもうすぐ公開する」と投稿し、開発の続報をDiscordで出すとも伝えた。Xのアカウント名も「Escape the Walls | Steam Page Soon」に変わっている。10月17日の時点で、Steamのストアページはまだ公開されていない。

伸び始めた投稿には、Robloxで活動するユーザーから引用で予言が付いていた。10月15日4時49分の投稿で、こちらも543万回も見られている。
誰かがこれをRobloxで作って、君の20倍稼ぐまで、あと7時間だね
(投稿より・日本語訳)
最初に名乗り出たのは、別のユーザーだった。10月15日21時53分、Pandorioの投稿を引用して「もうRobloxにある。どこまで伸びるか見てみよう」と、自作のプレイ映像を載せている。元の投稿からおよそ25時間後のことにゃ。
続いて23時37分には、さらに別のユーザーが上の予言を引用して、Robloxのページへのリンクを付けた。「大学があったから、思っていたより数時間よけいにかかった」という一言付きだ。
こちらのRoblox版の題名は『Escape the Wall』。説明によると、刑務所に閉じ込められた主人公が10個の独房の壁を壊して脱出する内容で、脱出の速さを競うリーダーボード、瓦礫を集めて売る仕組み、装備の強化、最大4人のチームプレイ、転生、拳のスキン集めが入っている。同じ制作者は公開の少し前に「Robloxで10分で作った」とも書いていた。

「Claudeありがとう」投稿が盗作と非難される
Roblox版を出した制作者は、翌16日の15時43分に「おばあちゃんを引退させてくれてありがとう、Claude」と投稿している。AnthropicのAI「Claude」を使ったことを自分から明かした形で、この投稿も38万回見られた。
返信欄には「他人のアイデアを盗んだ」という非難が集まった。一方、作った側は「壁を殴るだけのありふれたアイデアだ」と言い返している。たしかにRobloxでは、壁を殴って強くなる『Punch Wall Simulator』のような作品が何年も前からある。壁を殴るという仕掛けそのものは、誰のものでもないと言える。ただ今回は、有名になった直後の作品に寄せて同じ題名・同じ見た目で出したことが反発を招いた。

意外なのは、元の開発者の反応のほうにゃ。Pandorioは15日23時54分、最初に名乗り出たユーザーに「いいRobloxゲームだね!」とだけ返信した。そのユーザーは16日の深夜、「元の投稿者がいいゲームだって言ってるんだから、何が問題なの」と反論の材料にしている。皮肉なのか本心なのか、Pandorioからそれ以上の説明は無い。
そのユーザーの次の動きも早かった。16日19時41分、別の開発者が投稿した「なくした荷物を買い取って中身を売り、自動化で稼いでいくインクリメンタルゲーム」の映像を引用して、こう書いている。
Roblox版はたぶん5時間で出るよ。今度はどれくらい持つかな
(投稿より・日本語訳)
Steamで売る小さなスタジオにとって、開発中の映像をSNSで少しずつ見せるのは、ウィッシュリストを集めるいちばん身近な手段だ。Pandorio自身も、8月には共同プレイのゲーム『Caravan Bazar』のウィッシュリストを7,000件まで増やそうと、30日間毎日投稿する企画をやっていた。『Caravan Bazar』は、最大4人で荷車を引いて品物を運び、動物を手なずけ、自動で作られるファンタジー世界を旅する物理演算のゲームで、Steamでは2027年第1四半期の早期アクセス開始を予定している。
その宣伝の仕方が、今回は逆に働いた。数十秒の映像が広まった時点で、仕組みも見た目も丸ごと見えてしまう。AIを使えば、それを1日足らずでRobloxに作れる。しかも元の作品はストアページすら開いていない。検索して最初に出てくるのが類似作のほうになるかもしれないにゃ。
返信欄には「発売前のアイデアや映像は公開しないほうがいい」という声も出た。ただ、見せなければウィッシュリストは集まらない。Pandorioの次の告知は、まだ開いていないSteamページになる。
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