『Penguin Colony』はSteamで83%が好評、ペンギン視点のラヴクラフト譚に操作の粗さを指摘する声も
この物語を見届けるのは、調査隊の誰でもない。南極にもとから暮らしている、ペンギンの群れの1羽だ。
ORIGAME DIGITALの新作『Penguin Colony』(Steamでの表記は『ペンギン・コロニー』)が、日本時間10月17日にPC(Windows)向けに配信された。デビュー作『ウムランギ ジェネレーション』で2020年のIGF Awards大賞をとったスタジオで、パブリッシャーは『1000xRESIST』を送り出したFellow Traveller。H.P.ラヴクラフトの『狂気の山脈にて』と『時間からの影』を下敷きに、怪奇小説の世界をペンギンの目線から描き直した作品になっているにゃ。
舞台はラヴクラフトの死から2年後にあたる1939年。Steamのストアページの紹介によると、古の存在の呼び声に応えたナチスの科学者たちが、破滅をもたらす力を求めて南極の奥地を目指している。それを追うのがカイティアキ。先住の人々の守護者で、何世代にもわたって受け継いできた役目のとおり、古の存在を封じて再び眠りに還そうとしているんだ。
プレイヤーはそのどちらの側にも立たない。奇妙な音を立てて歩き回る人間たちに好奇心をそそられたペンギンとして後をつけ、彼らが重圧に押し潰されて壊れていく姿を見届ける、という作りになっている。


ナレーションはLenval Brown。『Disco Elysium』で全編の語りを務めた声優で、低く重い声が手記のような文章を読み上げていく。ラヴクラフトの小説が「信じてもらえないかもしれない体験の告白」として書かれていたことを思えば、ぴったりの起用だね。
ペンギンを替えて潜り、戦わず傍観する
ペンギンはよちよち歩き、泳ぎ、腹ばいで氷の上を滑る。発売時に出された公式のプレスリリースによれば、遊べるのは種類の違う複数のペンギンで、それぞれにできることと、できないことがある。狭い隙間に体を押し込み、人間たちの会話を盗み聞きし、周りに残された手がかりを拾い集めていく。もうひとつの柱が「Insight(洞察)」の仕組みで、これによってペンギンが知覚できるものそのものが変わっていくという。



戦う手段は無い。いるのはあくまで傍観者で、群れの中の1羽が少しずつ人間たちの領域へ踏み込んでいく構図だ。開発元が影響元として挙げているのは、ラヴクラフトのほかにジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』やデヴィッド・リンチ、それにPlayStation 2時代の実験的なホラーゲーム。ペンギンのかわいらしさと、その先に待つものの落差を狙った作品だと思うにゃ。
価格は1,700円で、配信を記念した期間限定の10%オフで今は1,530円。サウンドトラックとディレクターズコメンタリーを収めたDLC(814円)と、それを同梱したデラックス版もある。日本語はインターフェースと字幕に対応していて、音声は英語のみ。ゲームパッドが推奨されている。
Steam好評83%、植民地主義はどう評価された?
配信から3日たった時点で、Steamのユーザーレビューは113件中94件が好評。割合にして約83%で、評価は「非常に好評」になっている。日本語のレビューはまだ1件しかなく、声のほとんどは英語圏から届いているところだね。
好評の側でいちばん多いのは、ラヴクラフトを「雰囲気づくりの道具」で終わらせず、植民地主義というテーマに真正面から向き合った点への評価だ。
ゲームはたいていラヴクラフト的なホラーを額面どおりに受け取り、テーマに踏み込むより見た目の様式として扱いがちだ。うれしいことに、このゲームはそうではない。
『ウムランギ ジェネレーション』の良い続編。少しガタつくし抽象的だけど、より深くて、より怒りに満ちている。
(Steamのユーザーレビューより・日本語訳)
マオリの視点から先住の人々の苦難を描いた点を挙げる声や、Lenval Brownの語りを「ケーキの上のアイシング」とたとえる声も目立つ。思っていたより一本道ではなかった、ジェンツーペンギンがお気に入り、といった探索の手ざわりに触れたものもあるにゃ。
一方で、好評をつけた人まで口をそろえるのが操作の粗さ。移動の挙動がぎこちない、ゲームパッド推奨なのにマウスとキーボードのほうが動かしやすい、という指摘が繰り返し出てくる。不評のレビューではもっと手厳しく、「ペンギンである意味が序盤の数章で薄れ、後半の3分の2では無いに等しい」「ウォーキングシミュレーターなのに歩く部分が快適ではない」と、作品の核そのものに疑問を投げる書き込みもあった。
動きにはときどきぎこちなさがある、と他の人も書いているとおり。でも、それで手を止めないでほしい。
(Steamのユーザーレビューより・日本語訳)
つまり評価の割れ目は、物語と語りを取るか、動かす気持ちよさを取るか。レビューを書いた時点のプレイ時間は3時間前後の人が多く、短編として一気に遊び切れる長さの中で、その天秤のどちらに重きを置くかで感想が分かれているみたいだね。
『ウムランギ ジェネレーション』と同じく、言いたいことをはっきり言う作品であることだけは、賛否どちらのレビューも認めている。氷の下から掘り出されたものを最後まで見届けたペンギンは、113件のうち94件で「おすすめ」を受け取ったにゃ。
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