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らでんの音声ガイドで来館者の約34%、静岡県立美術館の経済効果は約3600万円と推計

投稿: 2026/10/23by tobariware約4分で読めます
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来館者のおよそ3人に1人が、ひとりのVTuberの発信をきっかけに美術館へ足を運んでいた。

ホロライブの儒烏風亭らでん(hololive DEV_IS/ReGLOSS)が音声ガイドを担当した静岡県立美術館の企画について、その効果を分析した研究が10月25日(日)の日本マーケティング学会「マーケティングカンファレンス2026」で発表される。まとめたのは一橋大学経営管理研究科の青木哲也准教授と、静岡県立美術館企画総務課の柳田篤志主任。館の職員自身が共著者に入っている点も含めて、珍しい事例研究になっているにゃ。

コラボの中身をおさらいしておこう。告知は2025年12月19日。2026年1月20日から3月15日までの期間、次の4つの展示・イベントでらでんの音声ガイドが聴ける形だった。

  • 常設の「ロダン館」
  • 懐中電灯を片手に夜のロダン館を回る「ロダン館 ナイトミュージアム」
  • 企画展「中村宏展 アナクロニズム(時代錯誤)のその先へ」
  • 収蔵品展「2000年代の絵画 〜静岡ゆかりの作家による」

ガイドは来館者が自分のスマートフォンでQRコードを読み取って聴く方式で、追加料金はかからない。学芸員資格を持ち、美術館や博物館の話題を配信で取り上げてきた彼女らしい起用だね。ガイドの公開に合わせて、本人のチャンネルでも静岡の魅力を紹介する配信が行われていた。

今回の研究が扱ったのは、このうち企画展「中村宏展」(1月20日〜3月15日)。浜松市出身で戦後の前衛を代表する画家・中村宏の仕事を、初期から最新作までたどる大規模な回顧展だった。

研究のタイトルは「公共組織によるバーチャルYouTuber活用戦略 ― 静岡県立美術館『中村宏展』×儒烏風亭らでん事例の分析 ―」。学会のプロシーディングス(Vol.15)にフルペーパーとして収録されており、その要約に主要な数字が載っている(日本マーケティング学会の研究概要)。

要約から読み取れる来館者の姿は、美術館がふだん届きにくい層そのものだ。

項目らでんの発信をきっかけにした来館者
来館者全体に占める割合約34%(推定)
県外在住72.8%
20〜30代58.8%
初めての来館79.4%
宿泊率ほかの経路で来た人の2.4倍

要約は、県外の人を「アプローチが困難とされる」層として位置づけている。地方の県立美術館にとって、県外から、しかも初めての人を呼ぶのは簡単ではない。そこに7割超という数字が出たわけだね。泊まる人が多いぶん、飲食や観光を含めた周辺での消費も活発だったとされている。

金額にすると、会期中の来場者全体が地域内で使った直接消費額は約7,000万円。このうち、VTuberとの協働で増えた来館者の分が約3,600万円と推計された。全体のほぼ半分にあたる。

VTuber展は鑑賞層と消費層で年代が違う

数字の大きさ以上に興味深いのが、要約の後半にある指摘だ。展示を見て文化的な恩恵を受けた中心の年代層と、地域でお金を多く使った年代層は一致しなかったという。

美術館としては作品に触れてもらうこと、地元にとっては消費が生まれること。公共の組織には目的の違う関係者がいくつもいて、どの層に届くVTuberと組むのが正解かは、その目的によって変わりうる――研究はそう示唆している。年代ごとの消費額の具体的な数字は要約には書かれておらず、詳細は当日の発表と論文本体に譲られる形だ。

謝辞には静岡県立美術館の館長や学芸員に加え、カバー株式会社とらでん本人の名前も並ぶ。企画の段階から開催までを研究者が見届け、館がデータを出したからこそ、ここまで細かい内訳が出てきたのだと思う。

発表は10月25日(日)、法政大学市ケ谷キャンパスで行われる。3か月足らずの音声ガイドが地域に残した約3,600万円は、VTuberと公共施設の協働を「話題になった」で終わらせず、数字で語るための最初の材料になりそうだにゃ。

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