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『Sleeping Dogs』続編はなぜ出ないのか 175万本の誤算とスタジオ閉鎖にRedditも嘆く

投稿: 2026/09/22by tobariware8分で読めます
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「2回クリアして、大好きになった。なのに、なぜ2作目は作られなかったのか」

そんな投稿が、Redditのr/gamingでその日のトップに上がった。投稿した人は続編が作られなかった理由を自分でも調べてみたそうだ。でも見つかるのは「計画はあったが中止になり、会社ももう無い」という説明ばかり。「本当にそれだけ?」と問いかけたところ、2012年の作品をめぐってコメント欄が長く続いた。

『Sleeping Dogs』は香港が舞台のオープンワールドアクションだ。主人公は潜入捜査官のウェイ・シェン。三合会(トライアド)の「新安義」に入り込み、警察官と構成員という二つの顔のあいだで揺れていく。カンフー主体の格闘、カーチェイス、屋台の並ぶ夜の街。いまも名前が挙がるのは、この組み合わせが他の作品に無かったからだと思う。

2013年3月、スクエニは「数字が目標に届かなかった」と説明していた

続編が出ない理由は、実はパブリッシャー自身がかなり具体的に語っている。

スクウェア・エニックスは2013年3月26日、業績予想の下方修正と特別損失の計上を発表した。その説明会の資料で、欧米向けの大型タイトル3本の販売本数を並べている(同社の投資家向け資料)。

タイトル発売販売本数(ダウンロード版を除く)
Sleeping Dogs2012年8月約175万本
Hitman: Absolution2012年11月約360万本
Tomb Raider2013年3月約340万本

同じ資料で、当時の社長はこう述べている。

『Sleeping Dogs』については、ゲームの内容やジャンル、Metacriticのスコアを踏まえて、欧米市場でおよそ200万〜250万本の販売を見込んでいました。

(説明会資料より・日本語訳)

資料には「高い評価を得ながら、いずれも目標に届かなかった」「北米の販売が機能せず、欧州の3分の2の本数にとどまった」とも書かれている。3本のなかで『Sleeping Dogs』はいちばん少ない。評価は高いのに数字が伴わなかった典型として、会社の説明に名指しで出てきたわけだ。

もともとこの作品は、Activisionが『True Crime』シリーズの新作として開発していたものだ。2011年に同社が開発を打ち切り、スクウェア・エニックスが権利ごと引き取って『Sleeping Dogs』の名前で世に出した。パブリッシャーが途中で替わった作品は、どうしても開発期間と費用がかさむ。その負担を抱えたまま、見込みを下回る本数で終わったことになる。

続編の代わりにオンライン版が出て、開発元ごと消えた

その後の流れは、スレッドで語られていた話とだいたい重なる。

開発元のUnited Front Gamesは本編の続編ではなく、同じ世界観を使った対戦型のオンライン作品『Triad Wars』に取り組んだ。けれどもベータテストの段階から先へ進めず、2016年1月にサービスを閉じている。スタジオ自体もその年の10月に閉鎖された。

いっぽうで、本編は細く長く売られ続けている。2014年10月には24本のDLCをすべて収録した『Sleeping Dogs: Definitive Edition』が出た。Steamでは今も2,023円で買える。ただしSteam版の対応言語に日本語は無い(英語・フランス語・ドイツ語など7言語)。

IP(作品の権利)を持っているのはスクウェア・エニックスのままで、続編の発表は今のところ無い。そのぶん今動いているのは映画のほうだ。『シャン・チー』の主演で知られるシム・リウがウェイ・シェン役と製作を兼ねる実写映画の企画が進んでいて、2025年10月には脚本の初稿が上がったことを本人がXで報告している。

Redditの反応

コメント欄の最初の答えは素っ気ないものだった。

スタジオが閉鎖されたから、だと思う。

投稿者はそれを承知のうえで、『Max Payne 3』を引き合いに出して食い下がる。

それは書いたよ。でも『Max Payne 3』はRockstarから出たでしょう。同じように、どこかが買い取って出してくれたらよかったのに。

この比較には、すぐに「前提が違う」という指摘が集まった。

『Max Payne』はずっとTake-Two系列の会社から出ていた。1作目はGathering of Developers、2作目からはRockstarだ。開発のRemedyも潰れていないし、今も良い作品を出し続けている。『Sleeping Dogs』とはまるで事情が違う。

『Sleeping Dogs』は日の目を見る前からパブリッシャーを渡り歩いて作り直され、最後はチームごと閉じられた。権利を持っているのはスクウェア・エニックスで……

同じ「開発元の手を離れた作品」でも、『Max Payne』はシリーズを持つ会社が最初から最後まで面倒を見ていた。『Sleeping Dogs』のほうは作り手が消え、権利だけがパブリッシャーの手元に残った。この違いは大きい。

失敗の経緯を順に並べたコメントもある。

開発が泥沼化して予算が膨らんだうえに、スクウェア・エニックスが立てた(高すぎる)期待に売上が届かなかった。続編の企画は通らず、次に作ったオンライン専用の『Triad Wars』もうまくいかなかった。

スクエニは500万本以上売れると見込んでいた、と記憶してる。失敗扱いされたのも無理はない。

後者の数字は、実際の資料より大きい。同社が説明会で示した見込みは「欧米でおよそ200万〜250万本」だ。それでも約175万本では届いていないので、「期待に届かなかった」という大筋は合っている。

オンライン版の話には、投稿者と別のユーザーがこう反応していた。

オンライン専用か……2013〜14年じゃ、うまくいくとは思えないな。

『GTA Online』が始まったのが2013年だよ。それと、そんなに『Sleeping Dogs』が好きなら『True Crime』の1と2を遊んでみるといい。

『Sleeping Dogs』は『True Crime』の流れをくむ作品なので、この勧めは的外れではない。ルーツをさかのぼって楽しむ遊び方もあるわけだ。

もっと明るい見方もあった。

反対票を入れられてるけど、最近、『Sleeping Dogs』の制作者が「資金さえ見つかれば2作目を作る」と話していた。誰かが億万長者になったら、役に立つお金の使い道がひとつあるってことだね。

とはいえ、公式に続編が動いている事実は見当たらない。今のところは、元スタッフの気持ちとしての話にとどまっている。

そして、話が暗くなりすぎないのもこのスレッドだった。ことわざ「寝た子を起こすな(let sleeping dogs lie)」をもじった一言がこれ。

眠っている犬は、そのまま寝かせておけ。

言ってることは嫌いだけど、言い方は最高だ、この天才め。

さらに「肉まん(ポークバン)が切れたからだよ」と作中の名物ネタで返す人が現れる。「肉まんを食わない男は一人前じゃない」「なんで肉まんを手に持ってないんだ!」と作中のセリフで応じる人が続き、「あの声、いまだに夢に出てくる」という声まで上がった。10年以上前の作品のセリフがこれだけすらすら出てくるあたりに、この作品がどう遊ばれてきたかがよく表れている。

投稿者の「それだけ?」への答えは、およそ「それだけ」だった。見込みより約50万本少ない販売本数、実を結ばなかったオンライン版、そして閉じたスタジオ。残っているのは、スクウェア・エニックスが持ったままの権利と、セリフを覚えているファンの数だにゃ。

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