Steamの発売前審査が最大12営業日に Valveが遅れを認め、チェックリストに新項目を追加
Steamで発売前のゲームを審査する工程が詰まっている。Valveは11月4日、開発者向けの「Updates to the Pre-Release Review Process」という告知で遅れを認めた。ビルド審査には、いまは最大12営業日かかっているという。ふだんの目安は3〜5日で、その倍以上にあたる。
同じ告知で、リリース前のチェックリストに新しい必須項目がいくつも加わった。審査で差し戻されて再審査になるケースを減らすのが狙いだにゃ。
告知の書き出しで、Valveは「ここ数か月でストアページとビルドの審査依頼が大きく増えた」と書いている。この数週間は、増えた量に審査の体制を合わせる作業をしてきたそうだ。ただ「まだ道半ば」とも書いていて、今回の変更は最初の一歩という位置づけになっている。
所要日数については、告知の末尾のFAQがはっきり答えている。
Q. ビルドの審査にはどれくらいかかりますか? A. どのビルドもなるべく早く、通常は3〜5日以内に確認するようにしています。ただ、いまは少し遅れていて、最大12営業日かかっています。遅れの多くは再審査が必要になっていることによるもので、皆さんにとっても私たちにとっても好ましくありません。上記の変更は、ゲームが1回目の審査ですんなり通るようにするためのものです。
Steamworks告知のFAQより・日本語訳
ここで言う再審査は、基本的な動作の問題で一度差し戻されたビルドを、修正後にもう一度確認する作業のこと。動かないビルドや設定の抜けたビルドが届くたびに、審査する側の手間は倍になる。差し戻しが積み重なった結果、ちゃんと準備したビルドの順番まで後ろへずれている、という構図だね。
なお、開発者向けドキュメントの審査プロセスのページには、いまも「通常3〜5営業日、発売の少なくとも7営業日前に提出を」という従来の目安が載っている。Valveはこのページにも、チェックリストの参照ガイドを今後足していくとしている。
Steamが5分プレイを提出条件に加える
チェックリストに加わった項目のうち、いちばん目を引くのは「Steamからゲームを起動して5分以上プレイする」という条件だ。Valveは理由をこう書いている。「信じられないかもしれないが、一度もSteam経由で遊ばれていないビルドが審査に来ることがある」。実行ファイルを直接起動すれば問題なく動くゲームでも、Steamからインストールして遊ぶと起動オプションやコンテンツの配置が間違っていた、ということが起こりうるわけだね。
追加された主な項目は次のとおり。
- Steamで5分以上プレイする:Steamの緑の「プレイ」ボタンから起動し、5分以上動かす。誰のプレイ時間でもよいが、直近7日以内(最後のビルドのアップロードが7日より前ならそれ以降)のものに限る
- 必要な再頒布パッケージを指定する:DirectX、Visual C++、.NET、XNAなどのうち、Steamに自動でインストールさせるものを選ぶ。不要ならその旨を示す
- 実績の設定を確認する:名前やアイコンの抜け、名前の重複などがあれば指摘される
- Steamクラウドの保存を確認する:Steamクラウド対応をうたう場合、パートナーグループのメンバーが実際にセーブファイルをクラウドへ書き込んでいる必要がある
- スクリーンショットのうち5枚を「ゲームプレイ」に分類する:メニュー画面やコンセプトアート、ムービーの画像も載せられるようになったが、分類を正しく付けることが条件
- 提出時のリマインダー:ストアページで多言語やマルチプレイ対応をうたっていれば、ビルドへの収録や審査用アカウントの記入を提出時に確認される
Steamworks告知より・主な項目を抜粋して日本語訳
最後のリマインダーは、ストアページに書いた機能に合わせて中身が変わる作りになっている。提出画面のイメージも告知に載っていた。
FAQには、審査担当がどこを見ているかも書かれている。ストアページの説明やロゴが分かりやすいか、ストアで約束した機能や言語がビルドに本当に入っているか、そして成人向けの表現やAIの使用といった、コンテンツ調査で申告した内容とゲームの中身が合っているか、の3点だ。AIについて告知が触れているのはここだけで、遅れの原因として名指ししてはいない。
『Food Devils』EAは審査待ちで延期した
遅れのしわ寄せを受けた作品の1つが、Studio Daimonのローグライト戦略RPG『Food Devils』だね。怪物を料理して冒険者を集め、悪魔と契約させて探索に送り出すゲームで、11月に早期アクセスを始める予定だった。



ところがValveの告知が出る直前、ゲームディレクターのAlfred Kamon氏がSteamのお知らせに「Forced Delay Announcement」を投稿した。4年かけて作ったゲームの早期アクセスを、Steamの承認が下りないために延期するという内容だ。
投稿によると、ビルドを審査に出したのは10月12日。20日以上たっても承認されず、急ぎの案件だと伝えたサポートチケットにも返事が無かったという。Kamon氏は「通常ならSteamの審査はきちんと時間どおりに進むし、これまでの作品や体験版でも返答はいつも早かった」と書いたうえで、こう続けている。
原因はSteamの審査待ちの列がAIスロップで詰まっているからだと推測するしかない。一部の開発者にとって、いまや手続き全体に数週間かかっている。
Food Devilsの公式告知より・日本語訳
「AIスロップ」は、生成AIで大量に作られた質の低いコンテンツを指す呼び方。とはいえこれは開発者側の推測で、Valveの告知は審査依頼の急増と再審査の多さを理由に挙げるだけで、その中身が何なのかには触れていない。

Kamon氏は、10月を通して多くの開発者がこの遅れに巻き込まれ、発売を延期せざるをえなかったところもあると書いている。新しい配信日は承認が下りしだい知らせるそうで、「今週中に出せればいいが、こちらではどうにもできないので約束はできない」とのこと。ストアページの発売日は、いまは「近日登場」に変わっている。
Valveの数字どおりなら、いま提出したビルドは最大12営業日、2週間半ほど待つことになる。10月12日に出した『Food Devils』は、そのぶんをすでに越えて待っているにゃ。
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