PixMofu

Steam新作の3本に1本がAI開示へ―3年で5万本を数えた集計が示す『2027〜28年に過半』

投稿: 2026/07/20by 編集部5分で読めます
画像

Steamのストアページの、いちばん下。スクリーンショットやトレーラーの下にひっそり置かれた「AIによる生成コンテンツの開示」の一文——ここ数年で、その一文を抱えた新作がじわじわ増えていたにゃ。

そして最近、3年ぶんのデータをまとめて数え直した集計が出てきた。2023年7月から2026年7月までにSteamで配信された 53,597本 を丸ごと調べたもので、結論はなかなか重い。今のペースが続けば、新作の過半がAI利用を開示する日が2027〜28年に来る、というものだ。

10.9% → 19.9% → 30.8%、という登り方

開示付きタイトルが新作に占める割合は、年を追うごとにきれいに伸びている。

AI開示付き新作の割合
2024年10.9%
2025年19.9%
2026年(年央)30.8%(およそ3本に1本)

Steamが開発者にAI利用の申告を求め始めたのは2024年1月。仕組みが用意された直後は申告が1%前後だったのが、翌月にはもう7%近くまで跳ねた。そこからは上の表のとおり、ほぼ倍々に近いテンポで積み上がってきたわけだ。この直線を素直に延ばすと、50%ラインとの交点が2027〜28年あたりに来る、という理屈にゃ。

直近の空気感もこれを裏づけている。2026年6月のSteam Next Festでは、参加およそ8,700本のうち 1,715本(19.71%) がAI開示を掲げていた。お祭りの5本に1本、という比率だ。

増えているぶんの「ほとんど」がAI開示の新作

ここが今回いちばん効く数字。月あたりの新作本数を、開示あり・なしで分けて追いかけると、伸び方がまるで違う。

  • AI開示なしの新作:月およそ 1,030本 → 1,320本(ゆるやかな増)
  • AI開示ありの新作:申告制度の前は月わずか 約13本。それが2026年には月 約530本

集計は「取り方によって、Steamの月間新作の増加ぶんの 60〜90% がAI開示付きタイトルだ」と指摘している。つまりSteamに雪崩れ込む新作の“増えたぶん”は、その大半がAIを使った作品——という構図になってきているにゃ。

ただし、数は増えても売れてはいない

数が正義かというと、そうでもないのが辛いところ。同じ集計によれば、AI開示付きの作品が「レビュー100件以上」という控えめな成功ラインに届く割合は、開示なし作品の 55%程度 にとどまる。Steamはもともと上位1%が全収益の約94%をさらう極端な世界だけれど、AI作品はその狭き門をさらにくぐりにくい。生成AIが「1本作る手間」だけでなく「何本も作る手間」まで下げてしまうぶん、玉石の“石”が一気に増えた、という見立てだ。

面白いのは開示のクセにも差が出ている点。うまくいった作品ほど音声など複数の使いどころを申告する傾向があり、逆に鳴かず飛ばずだった作品は7割超が「AIによる画像・テクスチャ」中心。しかも収益の大きいAI作品の 22% は、リリース後になってから開示フラグを後付けしていたという。

「開発の裏方ツール」は申告不要――2026年のルール整理

もっとも、開示=“中身が全部AI”というわけではないにゃ。Valveは2026年1月17日にルールを書き直し、申告の線引きをはっきりさせた。

対象になるのは、プレイヤーが実際に触れるコンテンツ。ゲームに同梱される 事前生成(pre-generated) のAIアセット(AI生成のテクスチャ・立ち絵・合成ボイス・LLMが書いたテキスト等)と、プレイ中に都度生成される ライブ生成(live-generated) の2種類だ。後者は不適切な出力を防ぐガードレールの用意も求められる。一方で、コード補助のような「開発を速くするだけの裏方ツール」は開示不要——と明記された。効率化ツールと、プレイヤーに届く生成物を分けた、という整理だにゃ。

現時点で開示付きタイトルは 17,000本超。その約69%がゲーム内アセット用途で、3割は2つ以上の用途にAIを使っていると申告している。

数の中の“例外”――ARC Raiders

「AI開示=安売りのAIスロップ」と決めつけると足をすくわれる。実は大型・人気タイトルの中にも開示を掲げるものはある。抽出型マルチプレイの『ARC Raiders』もそのひとつで、ストアには「開発工程で手続き的・AIベースのツールを補助的に使うことがあるが、最終的な成果物は開発チーム自身の創造と表現を反映している」という趣旨の一文が添えられている。『PUBG』『Call of Duty』『The Finals』あたりも開示側に名を連ねる。

数字だけ見れば「Steamの新作は数年で半分がAI開示」という未来がかなり現実味を帯びてきた。ただ、開示は“質の保証”でも“断罪の烙印”でもなくて、あくまで「何をどう使ったか」を棚卸しするラベルにすぎない。過半に届くその日、棚の下でこの一文を確かめる読者がどれだけいるか——そっちのほうが、案外この話の本丸かもしれないにゃ。

なお、開示ルールそのものの原文はSteam公式のAIコンテンツ告知で読める。

関連記事

コメント (0)

投稿は匿名で受け付けます (通報対応あり)。

  • 最初のひとことをどうぞ🐈

    感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。