最下位だった企画が投票で7割を獲得、犬が主人公のソウルライク『Stray Dog: nobody cares』発表
チームの中で一番期待されていなかった企画が、投票では7割の票を集めてしまった。
Parry Frames Team が8月20日に明かした新作『Stray Dog: nobody cares』は、そういう経緯で決まった1本だにゃ。プレイヤーが動かすのは剣を握れない1匹の犬。口にくわえているのは、主人の朽ちた剣。弾き、背後刺し、決め撃ちというソウルライクの型を、四足歩行のまま繰り出す作りになっている。
1か月ぶんの作業を捨て、最下位だった案に乗り換えた
このチームが最初に世に出したのは、4月30日発売の『Crimson Oath』。隻狼に強い影響を受けた作りのソウルライクで、発売後は複数プラットフォームへの移植作業に入っていた。ソニーのコンソールもその中に含まれている。
移植と並行して動かしていた次回作は、まったく別のゲームだった。『Slay the Cinder』——ソウルライクの土台に『Slay the Spire』のゲームループを組み込む、という構想。以前おこなったアンケートで1番目に挙げていた企画でもあり、1か月近くかけてアートアセットを用意し、設計書を書き進めていた。
そこで詰まった。片方の問題を解くともう片方が壊れる、システムAを動かすとシステムBが崩れる、という繰り返し。開発者は告知の中で「髪をむしるような1か月だった」と当時を振り返り、午前2時に力尽きたところで考えが切り替わったと書いている。自分たちのビジョンを1人で追いかけるより、プレイヤーに直接聞いてしまえばいい、と。
そうして開いたのが500人超が参加したコミュニティ投票。その時点の『Stray Dog: nobody cares』は正式な企画書ですらなく、小さな思いつきのひとつでしかなかった。結果は本人たちの予想を裏切って、最下位に沈んでいたはずの犬の案が全体の70%を持っていった。
迷う理由がなくなった、というのが開発者の言葉。うまくいくときは自然にはまるものだ、という納得のしかたで、チームはそのまま乗り換えを決めている(開発チームによる告知)。
1か月の作業がまるごと無駄になったわけではなく、既存フレームの一部と先行して作ったアートアセットは新作へ引き継がれる。ただし戦闘まわりの土台は書き直し。ソウルライクの戦闘を組み立てやすくし、ロジックを使い回せるようにするため、ゼロから作り直しているとのこと。


主人公は、戦い方を教わっていない犬
舞台は諸国が争い続ける中世。辺境の領地・灰棘領が圧制軍団に攻め込まれ、村は焼かれ、庶民の日常が鉄蹄に踏み潰されていく。この地に神の加護は無く、助けに来る英雄もいない。数え切れない民や従者や生き物が捨て駒として消えていき、誰にも記憶されない——ストアページに書かれた前提はそういうもの。
主人公は、その中で名前すら与えられなかった猟犬。帰る場所も無く、道端の埃の中で生きていて、世間からは最も卑しい雑獣として扱われている。飼い主は落ちぶれた退役騎士で、長年その軍団のために戦って功績も立てたが、軍団の闇の秘密を知ってしまったせいで上層部に切り捨てられ、汚名まで着せられた人物。
ここが効いている。騎士はこの犬を戦闘用に躾けなかった。教えたのは、戦火を避けて穏やかに生き延びる術だけ。国の大義も権謀術数も分からないその犬にとって、拾ってくれた騎士だけが全世界だった——という状態から、当の主人が軍団に捕らえられる。戦い方を習っていない犬が、主人の朽ちた剣をくわえて出ていくのが、この作品の出発点になる。

遊びの軸として挙がっているのは3つ。弾き・背後刺し・決め撃ちの近接戦闘、複数用意される強力な特殊戦技、そしてステージ探索。ステージには宝が隠されていて、敵を倒すと経験値と金が手に入り、それを使ってスキルを解放していく——ソウルライクとしては見慣れた組み立てだけど、それを担うのが二足歩行の剣士ではなく犬、というところが全部の見え方を変えてくる。ステルスキルが売り文句に入っているのも、飼い主が「隠れて生き延びろ」としか教えなかった話と噛み合っているにゃ。
3人から9人へ、アートに専任が付いた
『Crimson Oath』を作ったのは、デザイナーとプログラマーだけの3人チームだった。アート面は各所で笑われ、海外のプレイヤーからは「予算を二度削られた隻狼」とまで言われた——と、開発者本人が告知の中で書いている。自嘲まじりではあるものの、そこが弱点だという自覚ははっきりある様子。
新作ではチームが9人に増え、VFX・レベル環境の組み立て・アニメーション・レベルデザインにそれぞれ専任のアーティストが付いた。制作は丁寧に磨きつつ、進行自体は速く保ちたいという方針。資金面に余裕が無いことも同じ告知の中で率直に書かれている。
前作は現在Steamで1,900円。レビューは796件中657件が好評で、好評率は82%(「非常に好評」)。移植版が控えていることも含めて、次に手を出す前の下調べ用としては見やすい状態になっている。


対応プラットフォームはWindowsのみで、MacとLinuxは対象外。シングルプレイ専用で、コントローラーは完全対応、DualShock/DualSense にも対応していて、ストアページではゲームパッド推奨の表記が付いている。以下はストアページに載っている現時点の動作環境。
| 項目 | 最低 | 推奨 |
|---|---|---|
| OS | Windows 7以降 | Windows 10以降 |
| CPU | AMD R7 3600 | AMD R7 3700X以上 |
| メモリ | 16GB | 16GB |
| GPU | RTX 1660 Super | RTX 3060以上 |
| ストレージ | 15GB | 15GB |
言語は日本語を含む12言語に対応。ただし内訳はインターフェースと字幕だけで、音声はどの言語も非対応という表記になっている。前作『Crimson Oath』では英語と簡体字中国語にフルボイスが付いていたので、この点は現時点の登録内容ということになる。発売日は「近日登場」、価格はまだ何も出ていない。
中国語版のタイトルは『只狗:路边一条』。隻狼の中国語題である『只狼:影逝二度』から、狼を犬へ一文字だけ差し替えた形になっている。
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