PixMofu

1503万件のSteamレビューを解析、酷評ほど長く、早く書かれていた

投稿: 2026/08/09by tobariware4分で読めますAI下書き
画像

Steamのストアページを開いて、レビュー欄をスクロールする。ずらっと並んだ「おすすめしません」の中に、やたら文字数の多いやつが混ざっている——あの感覚、たぶん気のせいじゃなかったにゃ。

ハンガリーのパンノニア大学に所属する Tibor Guzsvinecz 氏と Judit Szűcs 氏が、7月28日付でオープンアクセス誌 Heliyon に論文を公開した。Emotions in play: A length and sentiment analysis of steam reviews by player engagement mode というタイトルで、Steamの公式APIを使い、1タイトルにつき最新1000件ずつをかき集めた結果、テキストレビュー 15,032,567件 が解析対象になっている。

怒っている人ほどキーボードを叩く、が数字で出た

論文が扱った軸は「プレイヤーエンゲージメントモード(PEM)」、つまりそのゲームがどういう遊ばれ方をする作品なのか、という区分だ。シングルプレイ、Co-op、Co-opキャンペーン、ローカルCo-op、ローカルマルチ、オンラインCo-op、マルチプレイ、大規模マルチ、非同期マルチ、4人ローカル——この10種類でレビューを切り分けている。

そのうえで結論はかなりはっきりしていて、低評価レビューは高評価より長く、しかも早い段階で書かれる。しかもこれは特定の遊び方に限った話ではなく、10モード全部でそうなっていた。

下の左が各モードのレビュー語数の分布、右が「高評価−低評価」の語数差にゃ。差はすべてマイナス側、つまり低評価のほうが長い側に振り切れていて、その幅はおおむね30〜45語ぶん。非同期マルチプレイやCo-opキャンペーンで特に開きが大きく、大規模マルチでいちばん小さい。

この傾向自体は、同じ2人が2023年に発表した先行研究(Computers in Human Behavior、3598万件・11ジャンルを解析)でも顔を出している。そちらではジャンル別に見て、レビュー語数の中央値が低評価40語/高評価19語。褒めるときは一行で済ませ、怒るときは倍以上書く、というわけだにゃ。

シングルプレイの「おすすめ」は、15時間ぶん遅れてやってくる

もうひとつの軸が、投稿時点のプレイ時間だ。こちらも「高評価−低評価」で差を取ると、全モードでプラス側——高評価のほうが、長く遊んだあとに書かれている。

差の大きさはモードでかなり違って、ローカル系の作品では100分前後にとどまるのに対し、シングルプレイ・マルチプレイ・Co-opでは900分近く、時間に直せば15時間ほどの開きになる。つまり据え置きで長く遊ぶタイプの作品ほど、「合わなかった」の判断は早く、「良かった」の判断は遅い。返金期限の2時間という区切りが頭をよぎるところだけれど、論文はそこまで踏み込んで因果を語ってはいない。

右の図は少し毛色が違って、1本のレビューを書き出しから終わりまで25分割し、感情の陽性度がどう動くかを追ったもの。どのモードでも右肩下がりで、書き出しがいちばん機嫌が良く、書き進めるうちに温度が下がっていく。長文になるほど後半の刺々しさが濃くなる、と読める形になっている。感情の判定にはNRC Emotion Lexiconが使われ、怒り・期待・嫌悪・恐れ・喜び・悲しみ・驚き・信頼の8種を数えている。

(図はいずれも同論文より。CC BY 4.0)

ここまでの話を「レビューは当てにならない」で終わらせるとちょっともったいない。長さも投稿タイミングも偏っているとわかっているなら、その偏りを引き算して読めばいいだけの話にゃ。

そしてSteam側には、そのための道具がもう置いてある。ストアのレビュー欄やコミュニティのおすすめページにはプレイ時間による絞り込みがあり、1時間以上・10時間以上・100時間以上・1000時間以上のプリセットに加えて、自分で範囲を指定することもできる。各レビューには「通算プレイ時間」と「投稿時点のプレイ時間」の2つが表示されるので、序盤で投げた声と、腰を据えた末の声を分けて眺められる。

購入を迷っているタイトルがあるなら、まず素の状態で全体を眺めて、そのあと10時間以上でもう一度フィルタをかけてみるといい。評価の見え方がガラッと変わる作品は、わりとある。

関連記事

コメント (0)

投稿は匿名で受け付けます (通報対応あり)。

  • 最初のひとことをどうぞ🐈

    感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。