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「完全に謎」——吉田修平氏がCEDEC2026で語った、PS4に留まり続ける『Bloodborne』

投稿: 2026/08/02by 編集部7分で読めます
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7月22日の朝、パシフィコ横浜の第1会場は9時30分から埋まっていた。CEDEC2026の基調講演「私が出会った素晴らしいゲーム、クリエイター、そしてその創造性について」——登壇したのは株式会社yosp 代表取締役の吉田修平氏で、初代プレイステーションから現在までに関わってきたタイトルとクリエイターを、80分かけて振り返る内容だった。

その振り返りの中で、聞いていた側がいちばんざわついたのはおそらくこの一言だったと思うにゃ。『Bloodborne』にPS5版もリマスターもPC版も続編も出ていないのはなぜか、と問われて、吉田氏は「完全に謎」と答えた。そのうえで、自分も一ファンとして、いつか出てほしいし続編も作られてほしいと願っている、と付け加えている。

「一ファンとして、出てほしい」と壇上で言えてしまう立場

この発言が重いのか軽いのかは、いま吉田氏がどこに立っているかで決まる。

吉田氏は2025年1月15日をもってSIEを退社している。31年。初代PlayStation の立ち上げから関わり、2008年からはワールドワイド・スタジオのプレジデントとして社内スタジオ群を束ね、後年は小規模スタジオの支援チームを率いた人物だ。つまり『Bloodborne』が企画され、フロム・ソフトウェアと組んで作られ、2015年に世に出た当時、その承認ラインのど真ん中にいた人にゃ。

だからこそ「謎」という答えが効いてくる。当時の決裁に関わっていた人間が、いまは社外の一個人として「私にも分からない」と言っている。裏を返せば、答えを持っているのは現在のソニー・インタラクティブエンタテインメントの中の誰かであって、そこはもう吉田氏の手が届く場所ではない、ということでもある。壇上で気楽に「出てほしいにゃ」と言えるのは、退社したからだ。

なお基調講演は『クラッシュ・バンディクー』から『Beast of Reincarnation』まで幅広く扱うもので、『Bloodborne』の件は全体のごく一部にすぎない。それが真っ先に切り取られて世界中に広がったあたりに、この作品が置かれている状況が出ているにゃ。

発売から11年、ソニーが出したPC版のリストにこの1本だけがない

事実関係を整理しておく。『Bloodborne』はフロム・ソフトウェアが開発し、ソニー(当時のソニー・コンピュータエンタテインメント)がパブリッシャーとして2015年3月26日にPS4向けに発売した。パッケージの権利表記も「©Sony Computer Entertainment Inc. Developed by FromSoftware, Inc.」で、大型ダウンロードコンテンツ『The Old Hunters』が同年11月24日に配信され、本編とセットの完全版が12月3日に出ている。

そこから先が、11年ぶん動いていない。今日この記事を書いている時点でも、PlayStation Storeに並んでいるのはPS4用のPlayStation Hits版(2,189円)で、PS Plusのゲームカタログ対象にも入っているので加入者は追加料金なしで遊べる。PS5でも起動はする。ただしそれはPS4のソフトとしてであって、PS5に合わせて作り直されたバージョンは存在しない。

そしてPCにも来ていない。ここが「謎」と言われる核心にゃ。この11年でソニーは自社タイトルのPC展開を本格的な事業として積み上げてきた。『Horizon Zero Dawn』も『God of War』も『Marvel's Spider-Man』も『Ghost of Tsushima Director's Cut』も、PS向けに出したあとでPCに降りている。移植することそれ自体は、もはやソニーにとって例外的な判断ではない。

にもかかわらず、フロム・ソフトウェアの作品の中でヤーナムだけが取り残されている。『DARK SOULS』シリーズも『SEKIRO』も『ELDEN RING』も、最初からPCがある。違いは分かりやすくて、『Bloodborne』はソニーが権利を持つタイトルだという一点に尽きる。フロムの側が「PCに出そう」と決められる作品ではない。だから判断はソニーの中にあり、その中身は外に出てきていない——退社した元プレジデントが「分からない」と言うのも、そういう構造ゆえだにゃ。

ちなみにソニー側から、リマスターやPC版に関する公式の発表・言及は今日時点でも出ていない。噂の類は定期的に湧くけれど、公式に確認できる材料は「何も発表されていない」というそれだけにゃ。吉田氏の発言も、内部情報の示唆ではなく、あくまで外に出た一個人の感想として受け取るのが正しい。

血の名を継ぐ次の一本は、Switch 2で動く

皮肉というか、めぐり合わせが面白いのはここからで。

フロム・ソフトウェアは止まっていない。2025年5月30日には『ELDEN RING NIGHTREIGN』を発売し、そして次に控えているのが『The Duskbloods(ダスクブラッド)』だ。最大8人のPvPvEマルチプレイアクションで、特別な血の力によって超人的な能力を得た「黄昏の血族」が「原初の血」を巡って戦う——という、名前からして血の匂いのする一本にゃ。

そしてこれが、Nintendo Switch 2 専用ソフトとして2026年に発売される。公式サイトを見ても分かる通り、ゴシックな街並みと血のモチーフという、ヤーナムを歩いた人なら反射的に反応してしまう画作りだ。11年前にPS4だけで遊べた血の物語の系譜が、今度は任天堂のハードだけで遊べる形で出てくる。

もちろん『The Duskbloods』は『Bloodborne』の続編ではないし、世界も設定もつながっているという発表はない。別の作品だ。それでも、待っている側からすると、この並びは複雑な気分になると思うにゃ。獣狩りの夜そのものは、いまだにPS4のディスクとダウンロード版の中にだけ収まっている。

壇上の吉田氏が言ったのは、結局のところ「私にも分からない」だった。答えを持っているであろう場所からは、今日まで何も出てきていない。

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