コジマプロダクションの募集は38件、全職種が契約社員スタート ─ 『OD』『PHYSINT』の開発現場
求人票というのは、そのスタジオが次に何を作ろうとしているのかを、いちばん正直に書いてしまう書類だと思う。トレーラーには映らない人数配分や働き方が、そこには数字で出てくる。
コジマプロダクションの採用ページを開くと、現時点で38件の募集が並んでいる。内訳を数えると、開発職とそれを支える職が、ちょうど半々くらいの比率になっている。
| 部門 | 件数 | 主な職種 |
|---|---|---|
| プログラマー | 11 | AI/UI/アニメーション/フィジックス/ネットワーク/テクニカルアーティスト |
| アーティスト | 11 | 背景/キャラクター/コンセプト/ライティング/VFX/武器・メカ/フェイシャル |
| バックオフィス | 7 | 広報・PR/HR/総務/ITサポート/通訳・翻訳/ソーシャルメディア/ブランドマネージャー |
| プロダクション | 3 | プロデューサー/プロジェクトマネージャー/ゲームデータ分析アナリスト |
| ゲームデザイナー | 2 | ゲームデザイナー/レベルデザイナー |
| サウンド | 2 | サウンドデザイナー/レコーディングエンジニア |
| その他 | 2 | ライター/ローカライゼーションスペシャリスト |
プログラマーとアーティストで22件。ここまでは大作を抱えたスタジオとして順当だね。目を引くのはむしろ残りの16件のほうで、通訳・翻訳、ソーシャルメディア担当、ブランドマネージャー、HR、総務、ITサポートまで開いている。作る人だけでなく、作った先を回す人をまとめて集めにいっている格好になる。
条件面は職種をまたいでほぼ揃っている。勤務地は東京都港区の品川シーズンテラスのみで、リモート専任の枠は出ていない(福利厚生の欄に「テレワーク有り」の記載はある)。勤務時間は裁量労働制、もしくは10:00〜18:45。休日は完全週休2日に祝日、夏期休暇、年末年始。給与は「応相談」で、賃金改定は原則として年1回とされている。
そして雇用形態が全職種とも契約社員。ゲームプログラマーやレベルデザイナーの募集要項を読むと、いずれも1年間の契約から始まり、勤怠や業務姿勢の評価によって正社員登用の可能性がある、という書き方になっている。企業型確定拠出年金とインセンティブ制度は正社員のみ、という但し書きも付く。入口が全部そこで統一されているのは、なかなか珍しい。
Melとソルビング、必須条件に並ぶ専門職
個別の要項を開くと、スタジオが何に手をかけているのかが見えてくる。
フェイシャルアニメーターの歓迎条件には、MelやPythonでのリグ構築と並んで「Faceware、Dynamixyzなどを使用したソルビングの経験」が挙がっている。俳優の顔の演技をキャラクターへ移す工程を専任で回す想定にゃ。シネマティック・プリビズアーティストとレコーディングエンジニアが別枠で立っているのも同じ方向で、映像制作の現場に近い分業がそのまま職種表になっている。
背景アーティストはMaya/3ds Max/Blenderでのモデル制作とZBrushでのスカルプトが必須、歓迎条件にはHoudiniやSubstance Designerを使ったプロシージャル手法が並ぶ。ゲームプログラマーはC++で据え置き機かPC向け3Dタイトルを1本以上完成させた経験が必須。レベルデザイナーには「ネイティブレベルの日本語能力」が必須条件として明記されていて、ビジュアルスクリプトでミッションやイベントを組む仕事だと説明されている。
少し毛色が違うのがゲームデータ分析アナリストで、実務3年以上を必須に、ゲームデータの収集とKPI設定、分析ログの設計、数値をもとにした施策立案が業務として並ぶ。単発のパッケージだけを見ている職種ではない。
『OD』はXbox、『PHYSINT』はソニーと組む
募集の背景にある2本は、どちらもまだ発売日が出ていない。
『OD』が最初に姿を見せたのは2023年12月のThe Game Awardsで、Xbox Game Studiosとの共同開発として発表された。2025年9月23日のスタジオ10周年イベント「Beyond The Strand」では、小島秀夫が手がける『OD - KNOCK』のティザー映像が公開されている。赤い扉、黒く塗り潰された文章、蝋燭に火を灯す女性──ノックの音を軸にした3分弱の映像だった。

ポスターにはソフィア・リリス、ウド・キア、ハンター・シェイファーの名前と「Published by Microsoft Corporation」の表記が入る。
もう一方の『PHYSINT(Working Title)』は2024年2月、PlayStationのState of Playで制作が明かされたアクション・エスピオナージ。10周年イベントでポスターアートとキャストの一部(チャーリー・フレイザー、マ・ドンソク、浜辺美波)が出ている。こちらの版元表記は「Produced by Sony Interactive Entertainment Inc.」で、フェイシャルスキャンで知られる3Lateralのロゴも並んでいる。

publisherが別々の2本を、同じ東京のワンフロアで同時に走らせている。フェイシャルもレコーディングも通訳も内側に置きたがる募集の並びは、その事情と地続きに見える。
採用ページには「応募条件をすべて満たす必要はございません」とも書かれていて、新卒の応募も随時受け付けているとある。2015年12月16日の設立から10年、スタジオが構えているのは東京の1拠点だけで、38件はすべてそこへ向けた募集になっている。
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