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『Morrowind』がChromeのタブで丸ごと動く―OpenMWをWebAssembly化した「OpenMW-Web」公開

投稿: 2026/07/29by 編集部8分で読めます
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ブラウザのタブを開いて、シルト・ストライダーの足元に立つまで数十秒。2002年の『The Elder Scrolls III: Morrowind』を、インストールもプラグインも無しで動かしてしまう「OpenMW-Web」が公開されているにゃ。手がけたのは、古いデスクトップソフトをWebAssemblyへ焼き直すことを生業にしているVirtastic。公開先はmorrowind.virtastic.appで、ソースはGitHubに置かれている。

ストリーミングでもエミュレーションでもない

まず勘違いしやすいところを潰しておくと、これはクラウドゲーミングの類ではない。オープンソースのMorrowind向けエンジン再実装OpenMWをEmscriptenでクロスコンパイルし、エンジン一式がブラウザの中でクライアント側だけで走る。リモートのサーバーに画面を作ってもらう構造ではないので、回線の向こうに順番待ちの行列もない。

そして「エミュレータで無理やり動かしている」わけでもないので、影も水面の反射もセーブもゲームパッドも生きたまま。描画はWebGL2で、シェーダーはGLES向けに書き直され、スキニングはGPU側へ寄せられている。ファイルアクセスはストリーミング型の仮想ファイルシステムに置き換えられていて、この辺りの改造内容はリポジトリの`WASM_ADAPTATIONS.md`に技術文書としてまとめられているにゃ。

手ぶらで入れる「例の島」と、本編を開く鍵

入り口はふたつ用意されている。ひとつはOpenMWに同梱されている再配布可能なサンプルワールド。NPCも衛兵もクリーチャーもいる小さな島で、Morrowindを持っていなくてもそのまま起動できる。エンジンが自分のPCで実際どのくらい動くのかを確かめる試遊台のような立ち位置だ。

もうひとつが本編。手持ちの正規版の`Data Files`フォルダをフォルダピッカーで指定すると、File System Access API経由でディスクから直接読み込まれる。数GBをどこかへアップロードする必要はなく、必要になったファイルをその都度読みに行く方式。指定したフォルダは次回以降も記憶される。しかも同じフォルダに入っている拡張『Tribunal』『Bloodmoon』や`.esp`/`.esm`/`.bsa`のMODは自動で検出して読み込んでくれる。ゲームデータ自体は一切同梱・配布されていないので、遊ぶには自分の正規のコピーが要る、というのが前提にゃ。

セーブの扱いも真面目で、本編モードでは指定フォルダ内の`openmw-web-saves`に実ファイルとして書き出される。ブラウザのデータを消しても消えないし、普通のファイルと同じようにバックアップも取れる。サンプルワールド側のセーブと、設定・キーコンフィグはブラウザのIndexedDBに保存される。

動く環境は、けっこう狭い

項目内容
対応ブラウザデスクトップのChrome/Chromium系(Edge、Braveなど)
必要な機能SharedArrayBuffer、WebGL2、EXT_clip_control、File System Access API
ダウンロード量約42MB(Brotli圧縮時は約11MB)
ライセンスGPL-3.0-or-later(上流のOpenMWに準拠)
ゲームデータ同梱なし。正規購入版が必要

必要な機能が揃って安定して使えるのが実質Chromium系だけ、という理由でこの範囲になっている。スマホやタブレットは対象外にゃ。

重さの調整はゲーム内の Options → Video にある解像度スケールで行う。Full/High(75%)/Half/Third/Quarterから選べて、3D部分だけ低い解像度で描いて引き伸ばし、メニューやHUD、文字は等倍のまま鮮明に保つ作り。非力なGPUなら一段落とす、という使い分けができる。

Steam版をそのまま指すと弾かれる

引っかかりやすい落とし穴が公式に案内されている。ブラウザのFile System Access APIは`Program Files`配下など保護された場所のフォルダを開けない仕様で、Steamの既定のライブラリはまさにそこにある。つまりWindowsでSteam版をデフォルト設定のまま入れている人は、`Data Files`フォルダをドキュメントやデスクトップなど普通の場所へコピーしてから指定する必要がある。これはChromium側の挙動なのでブラウザを変えても解決しない。GOG版の`C:\GOG Games\`配下なら影響を受けないとのこと。

音楽やムービーが鳴らない場合は、`Data Files`内の`Sound`/`Music`/`Video`フォルダが欠けている可能性がある。これらは`.bsa`の中ではなく素のフォルダとして置かれているもので、通常のSteam版・GOG版なら揃っている。

なお現在Steamで売られているのはGame of the Year Edition。対応言語は英語・フランス語・ドイツ語で、日本語の表示・音声はいずれも用意されていない点は先に知っておいた方がいい。

土台のOpenMWも現役

足回りになっているOpenMWそのものも動き続けていて、最新の0.51.0が2026年6月19日にリリースされたばかり。Luaスクリプト経由での魔法効果の作成や、コンテンツエディタでの地形の頂点ペイントなどが入っている。OpenMW-Web側は上流の特定コミットを追いかける形で、そこにWASM向けの改造を重ねる構成になっているにゃ。

リポジトリが作られたのは2026年7月2日、v1.0.0が7月19日、v1.0.1が7月27日と、公開まではかなりの駆け足。リリースには「解凍して`python3 server.py`を叩けば動く」ビルド済みバンドルと、GPLv3の完全な対応ソースの両方が置かれていて、自前のサーバーで立てることもできる。

ちなみにVirtastic側の棚には、同じ手法でブラウザへ持ち込んだFreeCADや、『Jagged Alliance 2』のオープンソース実装Stracciatellaもプレビューとして並んでいる。ヴァーデンフェルの霧の中を歩けるようになったのは、その一連の実験のひとつというわけだにゃ。

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