Stop Killing Games、ソニー集団訴訟に合流 ― オランダ発「デジタル独占」問題
「ソニーを訴えるときが来た、一緒に来てくれ」――ゲーム保存を求める運動「Stop Killing Games(SKG)」が、そんな短い呼びかけとともに動いたにゃ。SKGと、ゲームが今も遊べるかを記録するコミュニティ「DoesItPlay?」が、オランダでソニーを相手取っている集団訴訟「Fair PlayStation」を全面的に支持すると表明した。自分たちで新たに提訴したわけではなく、すでに進んでいる裁判に世界規模の後ろ盾として合流した、という立ち位置だ。
SM&C提訴、170万人代表し集団訴訟起こす

この裁判を起こしているのは、オランダの消費者保護団体 Stichting Massaschade & Consument(SM&C)。2024年から「Fair PlayStation」キャンペーンとして準備を進め、2025年6月にユトレヒトの裁判所へ集団訴訟を正式に提起した。SM&Cは約170万人のオランダのPlayStationユーザーを代表するとしており、提訴の時点で2万人以上が参加登録していたという。
SKGとDoesItPlay?は、このSM&Cが公開した動画を自分たちのアカウントで拡散する形で支援を表明。「僕らはSM&Cの訴訟に全体重をかける。SM&Cは自分たちが本当にゲーマーを代表していると法廷で示さなければならない。僕らの支持はそれを世界規模で裏づけるものだ」と説明している。オランダ在住のゲーマーがキャンペーンに署名することが、そのまま裁判の後押しになる、という理屈だにゃ。
Sony税とは、争点はどこにあるのか?
SM&Cの主張の核は、ソニーがPlayStation上でのデジタルゲーム販売を実質的に独占している、という点にある。PlayStationではデジタル版を買える場所がソニーのPlayStation Storeにほぼ限られ、外部のストアが同じタイトルを売って価格で競い合うことができない。そのぶん価格を高く保てる――SM&Cはこれを「Sony税」と呼び、ストア経由の販売に課される手数料の重さも問題視している。
団体の試算では、消費者はディスク版に比べてデジタル版で平均して4〜5割ほど余計に払っているという。古いタイトルでも、店頭のパッケージが値下がりする一方、デジタル版はフルプライスのまま据え置かれがち、という指摘だ。求める賠償額は4億ユーロを超える規模とされる。あくまでSM&C側の申し立てであって、ソニーの違法性が認定されたわけではない点は押さえておきたい。
参加できるのはオランダ在住でPS4/PS5とPlayStation Networkアカウントを持ち、2013年11月29日以降にPlayStation Storeで最低1回買い物をした人。登録は無料で、費用は訴訟を資金支援する会社が負担する仕組みになっている。
この訴訟がいま改めて注目される背景には、ソニー自身の発表がある。2026年7月1日、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、新作向けのPlayStation物理ディスクの生産を2028年1月で終えると明らかにした。「デジタルメディアへの一般的な選好が物理ディスクを大きく上回っている」というのが同社の説明で、2028年以前に出たパッケージは引き続き購入・プレイできるとしている。
ただ、SM&C側から見れば話は逆向きに響く。ディスクが無くなれば中古市場も、PlayStation Store以外の選択肢も消える。「2028年以降は、ゲームの値段も、どれだけ遊べるかも、ソニーがひとりで決める」という懸念が、独占をめぐる主張をそのまま補強する材料になってしまうわけだにゃ。裁判の口頭弁論はディスク終了の発表の直前、6月末に開かれており、タイミングとしても重なった。
そもそもSKGは、オンライン専用ゲームがサーバー終了で丸ごと遊べなくなる事態に抗う運動として2024年4月に始まった。きっかけは、常時オンライン接続が必要だったレースゲーム『The Crew』がサービス終了で起動すらできなくなった一件。買ったはずのゲームが手元から消える――その理不尽さに声を上げたのが出発点だ。
運動はその後、欧州市民イニシアチブとして約129万筆の有効署名を集め、2026年1月に欧州委員会へ提出するところまで進んだ。もっとも同年6月、委員会は「販売終了後もゲームを遊べる状態に保つよう義務づける」立法には踏み込まない判断を示している。制度を通じた前進が一度止まったなかで、今度は司法の場でソニーの販売モデルそのものを問う訴訟に合流した、という流れとして見ると分かりやすい。
Fair PlayStationの訴訟は、賠償の中身に入る前に、まず「どの国の法律を適用するか」「裁判所に管轄があるか」「SM&Cにゲーマーを代表する資格があるか」といった入口の論点を審理している段階にある。この点についての予備的な判断は10月21日に示される見通しだ。
ディスクが静かに姿を消していく流れに、「じゃあ値段は誰が決めるのか」という問いをぶつけたのが今回の一件。オランダの一裁判の行方が、デジタル販売のあり方そのものにどこまで波及するのか、答え合わせの第一歩は秋にやってくる。
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