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Valveロゴの「バルブ男」、正体は今も不明 r/Steamの「判明」投稿は冗談の応酬に

投稿: 2026/09/21by tobariware6分で読めます
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起動するたびに画面を占領しておいて、誰なのかは誰も知らない。Valveのゲームを立ち上げると最初に流れる、あの短い映像の男のことだよ。後頭部にバルブ(弁)を差し込まれた大柄な人物と、その前の世代では眼球にバルブを埋め込まれた痩せ型の人物。どちらも実在の人間を撮った写真がもとになっていて、そして30年近く、名前が分かっていない。

r/Steam に「Valve intro guy revealed(バルブ男の正体判明)」と題した写真が投稿されて伸びていた。ただ、その下に並んだのは身元の特定作業ではなく、まるごと冗談の応酬だった。スレッドの中身は後半にまとめるとして、先に「実際のところどこまで分かっているのか」を整理しておきたい。

街角のポラロイドから選ばれ、名前だけが残らなかった

社名が「Valve」に決まったのは1995年から1996年ごろ。そこからロゴまわりの見た目を作る作業が始まった。当時ブランディングを担当したRay Ueno氏の説明によれば、起用するモデルを探す段階で最初につまずいたらしい。キャスティング会社から上がってくるのが、揃いも揃って整った顔立ちのプロばかりだったから。

欲しかったのは逆で、どこにでもいそうな、少し人目を引く普通の人。そこで会社側は「街へ出て探してきてほしい」と頼み、エージェンシーはシアトルのブロードウェイ地区を歩き回って、条件に合いそうな人のポラロイドを大量に撮ってきた。Ueno氏は、選ばれた男性について「文字通りコーヒーショップか書店から引っ張り出されてきた」と語っている。プロのモデルではない、本当にただの通行人だったわけだね。

その山の中から2人が選ばれた。痩せていて顎ひげのある男性と、頭を剃った体格の良い男性。前者が眼球にバルブの刺さった「Open your eyes」、後者が後頭部にバルブの刺さった「Open your mind」になる。前者は1998年の『Half-Life』などで使われ、後者は2007年の『The Orange Box』以降に引き継がれて、『Portal 2』『Dota 2』『Half-Life: Alyx』と現在まで続いている。

問題はここから。Ueno氏本人が「仕事をしてから相当な時間が経っているので、モデルが誰だったのか分からない」「プロではなかったので探し出すのは非常に難しい、後頭部しか写っていない方は不可能に近い」という趣旨を述べている。撮影に使った素材は残っても、撮られた人の連絡先は残らなかった。作った側が手がかりを持っていないなら、外から特定できる望みはかなり薄い。

ちなみに、ロゴ映像に流れる音はHalf-Lifeの音楽を手がけたKelly Bailey氏によるものとされていて、「あの男は実はBailey氏本人なのでは」という説もずっと流れている。ただしこれが公式に認められたことは一度もない。裏付けのない推測が長く生き延びている典型例だと思う。

「オリジナルのイントロ映像を復活」―25周年アップデートの一項目

この男が改めて意識される機会が、2023年11月にあった。『Half-Life』の25周年アップデートだよ。

公式サイトに並んだ更新内容には、遊び心のある復刻項目が混ざっていた。

  • オリジナルのValveイントロ映像を復活させた。起動オプション「-novid」でスキップできる
  • メインメニューを、1998年当時のメインメニューを下敷きにしたデザインへ変更
  • 既定のモデルを、HD版ではなくオリジナルのものに戻した
  • プレイヤーモデルとして Ivan the Space Biker、Prototype Barney、Skeleton、Too Much Coffee Man を追加

Half-Life 25周年アップデートの公式ノートより・日本語訳。主な項目だけを抜き出している

つまり、当時のプレイヤーが最初に見せられていたあの顔は、いったん引っ込んだあとにわざわざ呼び戻された。スキップ用のコマンドまで添えてあるのが律儀にゃ。Valveの初期をたどる素材としては、公式が公開している25周年のドキュメンタリーも残っている。Gabe Newell氏やMike Harrington氏を含む当時の面々が、会社を立ち上げてから『Half-Life』を出すまでを振り返る1時間超の内容だよ。

Redditの反応

さて、冒頭の投稿の話に戻る。1枚の写真に「正体判明」とだけ添えられた投稿へ、最初に付いたのがこの返しだった。

サウナで俺のことを撮るのはよくないと思うんだけど

写っている人物が自分だと言い張る、という形の冗談。ここから流れは完全にそちらへ傾いていって、

もっとないの?

DM送る

受信箱がえらいことになるやつだね

と、実在しない写真コレクションの取引が勝手に進んでいく。途中で加工画像を投げ込む人が現れ、

“我々”の写真だ、同志

という共産趣味の改変ネタに転ぶと、

急に共産主義が始まった…?

と困惑する声も出た。話題の中心が「誰なのか」から「この顔は何に見えるか」へ移っていったのが、このスレッドのいちばんの特徴だと思う。剃り上げた頭と据わった目つきから連想されるのは、だいたい悪役だった。

ハルコンネン家の人なのでは

「私のレジデント。私のイービル」

Tウイルスを解き放て。そうすればCEOにしてやろう

『デューン』の一族、『バイオハザード』の製薬企業の重役。どれも「悪の組織の上層部にいそうな顔」という一点で繋がっている。一方で、まったく別方向から差し込まれた一言もあった。

フロドのために

そして終盤、見立て合戦は現代のインターネットへ着地する。誰かが「こっちの方がまだマシ、Discordのモデレーター」と書いたところ、

いや。平均的なRedditのモデレーターだ

と自嘲が返り、さらに、

どれも真の完成形には及ばない。Twitchのモデレーターだ

で締められた。自分たちの住んでいる場所をオチに使う流れで、結局この日も特定は1ミリも進まなかった。

そもそも進みようがない、というのが正確なところ。手がかりは1990年代半ばにシアトルの街角で撮られたポラロイドの山で、それを選んだ当人たちがもう覚えていない。バルブを差し込まれた頭は、これからも名前のないまま何千万回と起動画面に現れ続ける。

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