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NVIDIA「DLSS 5」のDLLが『NBA 2K27』早期アクセス版から流出、有志が既存ゲームへ移植

投稿: 2026/08/29by tobariware8分で読めます
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未発表の技術が世に出るきっかけは、たいてい派手な内部告発ではなく、消し忘れたファイル1個だったりする。

`nvngx_dlssnr.dll`。末尾の nr はニューラルレンダリング(Neural Rendering)を指すとみられるこのファイルが、『NBA 2K27』の早期アクセス版のインストールフォルダに、そのまま入っていた。NVIDIA が今秋の投入を予告している DLSS 5 のランタイムだ。

見つかったDLLは約158MB。Windowsのファイル情報では「NVIDIA DLSSNR」バージョン310.8.0.0と表示される。DLSS 4のスーパーレゾリューション用DLLが20〜50MB程度で収まっているのに対し、大きめのものと比べても3倍近い。AIモデルの重みを丸ごと抱えている、と考えると納得のいくサイズだね。

ただし『NBA 2K27』側にはDLSS 5やニューラルレンダリングを有効にする設定項目が存在せず、ゲーム内から呼び出す手段はない。NVIDIAもこのタイトルをDLSS 5対応として告知してはいないので、同梱されていただけで動いてはいなかった、というのが実際のところ。

『NBA 2K27』の早期アクセスは日本時間8月27日午前1時に開始していて、正式発売は9月4日。DLLのタイムスタンプも早期アクセス開始と同じ日付になっていた。つまり出荷直前のビルドに紛れ込んだ形にゃ。

RenoDXが数時間で『Control』に組み込んだ

ファイルが見つかってしまえば、あとは早い。ゲームの色味を作り替えるMOD群を手がけるRenoDXの開発者が、このDLLを『Control』へ組み込んでみせた。しかも発見から数時間という速さだった。

公開された映像では、主人公ジェシー・フェイデンの顔がスライダー1本で変わっていく様子が写っている。用意されていたのは全体の適用強度に加えて、トーンの強さ、局所的なディテールの強さ、肌のディテールだけを別枠で調整する「NR skin structure」、モデルに肌の領域を自動判定させる「auto skin mask」など。スタイルのプリセットも複数あった。

肌のスライダーを既定値から上げていくと、毛穴や皺の情報が急に増えて、顔が別人のように見えてくる。これを「情報量が増えて写実的になった」と受け取る人と、「揚げすぎた画像みたいで気持ち悪い」と突き放す人で、反応はきれいに割れている。『The Last of Us Part II』へ持ち込んだ例も出回っていて、そちらでも評価は真っ二つだった。

もっとも、このスライダー群はMOD作者が実験用に組んだものであって、NVIDIAが用意する最終的なUIではない。見えているのは製品版ではなく、剥き出しの中身という点は忘れずにおきたいところ。

代償もはっきり出た。適用対象がキャラクターモデルだけに限られている状態でも、4K・RTX 5070 Tiでの計測は71fpsから35fpsへ。ほぼ半減だね。しかもニューラルレンダラーがパイプラインのかなり後段、アップスケールやトーンマッピングの後ろで走る作りになっているため、HDR環境ではまともに表示されないという報告も出ている。古いゲームに外から無理やり接ぎ木しているのだから、本来の想定とは処理順が食い違って当然ではある。

その後、実験的な組み込みは『Cyberpunk 2077』『Red Dead Redemption 2』『Starfield』『Black Myth: Wukong』『Silent Hill 2』『Monster Hunter Wilds』など十数本に広がった。『GTA V』のマイケルまでニューラルレンダリングをかけられている。現在はNexus ModsにControl向けのページも立っている状況にゃ。

非対応のはずのRTX 4090で動いた

さらに厄介な——というか、多くの人が気にしていた——話も出てきた。DLSS 5はRTX 50シリーズ専用として発表されている。実際、流出したDLLの中にはBlackwell向けにコンパイルされたCUDAバイナリが含まれていて、そのままではAda Lovelace世代では動かない。

ところが、RTX Remix界隈のモッダーがその非互換の部分を差し替え、RTX 4090やRTX 4080で実行してみせた。RTX 4090でのテストでは、有効化によっておよそ135fpsから82fpsへ、4割近く落ちている。

これで「RTX 50専用」という線引きが技術的な必然なのか、それとも製品戦略上の線なのか、という話が当然出てくる。とはいえ現時点で分かっているのは「パッチを当てれば実行はできた」ということだけで、品質や安定性が担保された動作なのかは何も確認されていない。NVIDIAはこの件について何も表明していない。

照明と材質をAIが描き直す3月発表の新技術

DLSS 5が発表されたのは3月16日のGTC 2026。これまでのDLSSが「少ないピクセルから足りない分を補う」技術だったのに対し、DLSS 5は毎フレームの色情報とモーションベクトルを入力として受け取り、照明と材質をAIが描き直す。肌の内部で光が散る表現や布の光沢といった、これまで手作業のシェーダーで近似してきた部分を、モデル側が引き受ける格好だ。

NVIDIAが公開している比較画像を見ると、狙いは分かりやすい。左が従来、右がDLSS 5適用後。

開発者側には強度・カラーグレーディング・マスクの制御が渡され、既存のStreamlineフレームワークに乗る形で組み込まれる。NVIDIAの発表では最大4Kまでリアルタイムで動作するとされ、対応予定タイトルには『バイオハザード レクイエム』『Starfield』『ホグワーツ・レガシー』『鳴潮』ならぬ『Where Winds Meet』などが並ぶ。BethesdaやCAPCOM、Ubisoft、Warner Bros. Gamesといった顔ぶれが名を連ねている。

7月のSIGGRAPH 2026では強度スライダーやモデルの種類、オブジェクト単位でのマスク指定といった中身が示されていて、開発者が「どこに、どれだけかけるか」を握る設計であることは最初から明言されていた。今回MODで露出したスライダー群は、その設計思想がそのまま剥き出しになったもの、と見ることもできる。

📄 NVIDIA「DLSS 5」は今秋登場 ― 画質を上げるのではなく、AIが絵を描き直す

ゲーム開発者がエンジン内部の適切な段階で呼び出し、対象を絞り、最適化した上で使う——それが本来の姿だ。今回出回っているのは、6年前のゲームに外側から無理やり噛ませた結果でしかない。フレームレートの落ち込みも、崩れた肌の質感も、製品版の性能を示す数字ではない。

それでも、この数日で撮られた無数の比較画像は、正式発表のどんなスライドよりも雄弁に「この技術が絵をどう変えるのか」を見せてしまった。3月の発表時点で賛否が割れていた論点——AIが描き直した顔は、アーティストが作った顔より本当に良いのか——に対して、荒っぽい実物が先に届いた形になる。

NVIDIAが公式に見せる予定だった順番は、これで完全に狂った。今秋のリリースまでに残っているのは、この印象を上書きできるだけの完成度を用意できるかどうか、だね。

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