『Happy Wheels』が9月21日Steam配信、初公開から16年で初のストア版―広告なし・投稿ステージ500万超
「準備不足のレーサーを選び、深刻な結果は気にせず、短命な勝利をひたすら追いかけろ」——ストアページに置かれた一文が、そのまま遊びの説明になっている。2010年からブラウザで動き続けてきた横スクロールの物理アクション『Happy Wheels』が、9月21日23時にSteamで配信開始となる。開発は Jim Bonacci、販売は Fancy Force。価格は、この記事を書いている時点ではまだストアに出ていない。
中身は昔から変わっていない。ぐにゃぐにゃのラグドール人形を、棘と落差と刃物だらけのコースに突っ込ませる。操作キャラクターは複数用意されていて、それぞれ専用の乗り物と、ストアの言い回しを借りれば「期待外れな能力」を持っている。無事にゴールへ着くことより、どこでどう壊れるかのほうが見どころ、という作りにゃ。
広告なし、パッド対応で戻ってきたSteam版
ブラウザ版との一番大きな違いは、画面の周りから広告が消えること。ストアの特徴欄には「広告は無し。広告は好きじゃないので」と、開発者の一人称のまま書かれている。ここだけ妙に人の声がしていて面白い。
もう一つの変更点がコントローラー対応で、Steamの分類上は「コントローラー サポート (一部)」。矢印キーとスペースで16年間やってきたゲームだから、パッドで遊べるのは素直にありがたい追加だと思う。
看板機能のレベルエディタもそのまま載る。ストアページによれば投稿されたステージは500万本を超えていて、日替わりの新着を並べるレベルブラウザから順に漁っていける。ゲーム本編よりこっちが本体、という人も多いはず。
対応プラットフォームはWindowsとLinuxで、Macは含まれない。言語は英語のみ、音声も英語だけで、日本語は入っていない。とはいえ文字を読んで進める種類の作品ではないので、そこで詰まる場面は少なそう。最低動作環境もWindows 10 64bit・Core i3相当の2.0GHz・メモリ4GB・DirectX 11・ストレージ1GBと、かなり軽い。ストアの内容表記は「風刺的なカートゥーン調の暴力表現」で、性的な内容は無いと明記されている。
『Happy Wheels』はもともとFlashで作られていて、長らく totaljerkface.com という個人サイトが唯一の遊び場だった。Flashのサポート終了が迫った2020年1月、開発者は「Happy Wheels is not dying」と題した投稿でJavaScript移植の存在を明かし、同年12月28日にJS版を公開している。あの移行を乗り切ったブラウザゲームは、そう多くない。
そして、その12月28日の投稿が、公式サイトのニュース欄では今も最新のまま。2026年9月8日時点で更新は6年近く止まっている。続編に触れた最後の投稿はさらに古く、グラフィックエンジンとエディタの進捗を報告した2018年3月のものだった。問い合わせ先としてストアに載っているのも公式サイトではなくDiscordサーバーで、つまり今回のSteam配信は、表向きほとんど何の前触れも無く出てきた話になる。

r/Steamは2013年の実況全盛期を思い出した
このストアページを見つけたRedditのr/Steamでは、まず時間の巻き戻りに驚く声が並んだ。
一気に2013年ごろまで引き戻された。
本当に。実況動画でこれが大流行していたのを覚えてる。
『Happy Wheels』が最も見られていたのは、大手ゲーム実況チャンネルがこぞって取り上げていた2012〜2014年あたり。スレッドに「TOP OF THE MORNIN'!」と書き込む人がいたのも、その時代の空気をそのまま呼び出している。ほかにも作中で耳に残ったフレーズを短く投げ込むだけの書き込みが並んでいて、説明が要らない人には一言で通じる、という感じの流れになっていた。
「あああ、俺の脚が」
このサンドイッチ、七面鳥が入ってないぞ!
スピードがすべてだ!
一方で、驚きの矛先が作品そのものではなく開発者に向いた反応も目立った。
開発者もあのゲームもまだ生きてたのか。とはいえ、いい知らせだ。
この「まだ生きていたのか」に、大喜利の形で答える流れが続く。誰も本気で説明しようとしていないのが、逆にこの作品らしいところ。
自転車の大事故から復帰したばかりらしい。
ロケット車椅子でひどい事故に遭ったおじいさんの介護をしてたって聞いたぞ。
もっとも、全員が手放しで喜んでいるわけでもない。タイミングを不思議がる声には、それなりに冷静な理屈があった。
今これが来るのは正直かなり妙だ。昔からのプレイヤー以外に知っている人がいるのか分からないし、その昔からの層も多くは卒業したか忘れているはず。公式サイトのニュース欄にも何も書かれていない。最後の更新は2020年だ。
この指摘は事実で、上に書いたとおりニュース欄は2020年12月28日から動いていない。ただ、これに対しては別の遊び場を挙げる返信も付いていた。
ゲームのページに行ってプレイを押せば、告知が出てくるよ。
そして、賛否がひととおり出そろったあとに残ったのは、たった二語の書き込みだった。
至高のゲーム。

公式サイトのニュース欄が6年ぶりに動くとしたら、その日付はおそらく9月21日になる。
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