指輪物語『Conquest』メタスコア55、『Thief』67──それでも支持を集めたRedditの談義
『スター・ウォーズ バトルフロント』を作ったスタジオが、同じ骨組みをそのまま中つ国へ持ち込んだ作品がある。2009年1月に出た『The Lord of the Rings: Conquest』がそれ。r/gamingに「これまで遊んで楽しかったなかで、いちばん評価が低かったゲームは?」という問いが投げられたとき、最初にまとまった票が集まったのがこの一本だった。
4クラスで大軍を駆ける中つ国版バトルフロント
開発はPandemic Studios、販売はエレクトロニック・アーツ。PC・PS3・Xbox 360・ニンテンドーDSへ同時に出ている。戦士・弓手・斥候・魔法使いの4クラスから選んで大軍のなかを走り回り、条件を満たすとアラゴルンやサウロンといったヒーローを操作できる作り。キャンペーンは「指輪戦争」8面と、悪側で映画の展開をひっくり返す「サウロンの台頭」7面の2本立てだった。
Metacriticのスコアは、PS3版が54、Xbox 360版が55、PC版が57、DS版が61。スレッドに集まった声の多くは、その数字を後から知って驚いたという書き方をしている。
低評価だったなんて知らなかった。当時は子どもで、指輪物語のバトルフロントだと分かった時点で買うと決めていた
なぜ点数が伸びなかったのか、丁寧に整理する書き込みも付いた。
グラフィックは発売時点ですでに時代遅れだったし、アニメーションは硬い。キャンペーンは短くて、いるはずのキャラクターが足りず、カスタマイズもない。ボイスや効果音も妙で、とにかく粗い作りだった
当時のレビューが突いたのもだいたい同じところで、崖から歩いて落ちていく敵AI、魔法使いが強すぎるクラスバランス、チェックポイントが無くて面を丸ごとやり直す羽目になる構造などが並んだ。褒められたのはヒューゴ・ウィーヴィングのナレーションくらい、という評まであったほど。ただスレッドでは、その粗さ自体を面白がる声のほうが目立っている。
斥候の背後からの一撃が、ヒーロー相手でも即死で入る。あの壊れっぷりが10点満点で楽しかった
EAはその後もコンテンツを足していて、2月26日に発表された「Heroes & Maps Pack」ではゴスモグ・ボロミア・アルウェンの3人と、最後の同盟の戦い/アモン・ヘンの2マップ、ミナス・ティリスと風見が丘のヒーローアリーナが追加された(EAの発表)。とはいえオンライン対戦のサービスは2010年3月16日で終了し、Pandemic Studios自体も2009年11月17日に閉鎖されている。点数と、遊んだ人の記憶が最後まで噛み合わなかった一本だにゃ。
『War in the North』が8月12日に復活
スレッドで繰り返し出てきたのが、現行機で遊べるようにしてほしいという要望だった。
次に移植してくれるのはこれであってほしい。またオンラインで遊びたい
その願いに近いことが、同じ指輪物語の別作品で実際に起きている。2011年にSnowblind Studiosが作った『The Lord of the Rings: War in the North』が、Aspyrの手で「Legacy Edition」として8月12日に配信を開始した。PS5、Xbox Series X|S、Switch、Switch 2、そしてPCはSteam・Epic Games Store・GOGと、まとめて同時に出ている。



中身は作り直しというより、原作をそのままに手を入れた版。セーブスロットの追加、戦闘中のロックオン、UIの情報量の改善、レベル途中でのキャラクター強化といった調整が入っている。協力プレイは2人まで対応で、オンラインでも画面分割でも遊べる。Steamでの価格は通常2,300円、いまは発売記念の10%オフで2,070円。対応言語は英語・フランス語・イタリア語・スペイン語・ドイツ語・ポーランド語・ブラジルポルトガル語・ロシア語・簡体字中国語で、日本語はインターフェース・音声・字幕のいずれにも入っていない。
Aspyrはこれを自社にとって初の指輪物語タイトルとしたうえで、今後もシリーズの旧作を出していくとしている。どの作品なのかは、まだ何も明かされていない。
Conquestとは別の方向から票を集めたのが、2014年の『Thief』。Eidos-Montréalが開発しスクウェア・エニックスが販売した、あのステルスシリーズの再起動版だね。Metacriticの数字はPS4版67、PC版70、Xbox One版69で、ユーザースコアは927件で6.1。低いとまでは言わないけれど、シリーズの看板を背負った作品としては物足りない位置に落ち着いた。
完全ステルスで通した。誰かに一度でも見つかったら自動的にゲームオーバー、という設定にできて、ボス戦でさえそうだった。今まで遊んだステルスのなかでも指折りの体験
これは実際に用意されている機能で、カスタム難易度の「No Alerts」を入れると、人でも動物でも自分を発見した時点でミッションが失敗になる。ほかにも「殺しも気絶もさせない」「ダメージを受けた時点で失敗」「死んだら最初からやり直し」「移動速度を落とす」といったモディファイアが並び、HUDの要素も一つずつ消せる。



評価が悪かったの? ステルス寄りで遊んで、ものすごく楽しかった。あれはそのために作られていた
当時の批判が集中したのは主に戦闘まわりで、そこを一度も使わない遊び方を選んだ人の感想とは、そもそも噛み合わない。同じ製品を触っていても、採点している場所が違っている。
日本語は非対応で、Steamでの価格は2,770円。
話が転がった先で、こんな一言が出た。
正直なところ、先入観なしで始めて、レビューもRedditも見なければ、大抵のゲームは面白い
これに対して、すぐ横から短い返しが付く。
評価が低かったのは、それ以前のThiefシリーズどれよりも出来が悪かったからだよ
スコアというのは、シリーズの過去作や同時期の他作品と横に並べた結果として出てくる数字で、自分がその一本に何を求めているかとは別の物差しになっている。粗いAIも、短いキャンペーンも、「友人と2人で中つ国の戦場を走り回りたい」という目的の前では減点材料になりきらない。合わないと感じた時点で手を止める遊び方が広がっているという話も、同じ板で人を集めていた。
メタスコア67の内訳をどれだけ細かく読んでも、「全編を通して一度も見つからなかった」という遊び方の点数は、そこには入っていない。
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