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『MARY - メアリ姫の奪還』完全版がSteam決定、ボタンに1文字足して物語を壊す言葉遊びADV

投稿: 2026/08/14by tobariware4分で読めます
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設定画面に並んでいる「ログ」というボタン。ここに1文字足して「ローグ」にすると、そのままローグライクゲームが始まる。ゲームの中の話ではなく、メニュー画面の話にゃ。

個人開発の夜路地(YORUROJI)が8月14日、テキストアドベンチャー『MARY - メアリ姫の奪還』完全版をSteam向けに制作中だと発表し、ストアページを公開した。配信時期は2027年を予定している。元になっているのは、ゲーム投稿サイトのunityroomで無料公開されている同名の短編。1週間でゲームを作るイベント「Unity1週間ゲームジャム」から生まれた作品で、先週50万PVを超えたと開発者は説明している。

文字を1つ足すと敵がアイテムに変化

物語の骨組みは、とても素直だ。魔王にさらわれたメアリ姫を助けに、勇者が旅に出る。ここまでは何百回と見てきた導入だね。

変わっているのは、プレイヤーに許されている操作がひとつしかないところ。主人公の行動を決めるボタンに、好きな1文字を書き足せる。それだけ。たったそれだけなのに、言葉の意味がずれて、勇者の行動そのものが変わってしまう。

「強そうな“相手”を見つけた」に1文字を足して「強そうな“アイテム”を見つけた」にする。ボス戦で「きる」を「キレる」にする。斬るはずだった勇者が、そこで怒り出す。日本語の音の並びに寄りかかった、翻訳がまず成立しないタイプの遊びにゃ。

王道のまま進めることもできるし、勇者に都合のいい言葉を作って有利に運ぶこともできる。逆に、明らかにおかしな単語をひねり出して物語を斜めに崩しにいくのも自由。ブラウザ版の時点で分岐は400通り以上あり、公開後のアップデートで押せるボタンの種類が増え、シークレットエンドも追加されている。数分で一周できる短さと、毎回違う展開に転ぶ手触りが噛み合って、PVが伸びた作品だと言える。

unityroom版は制作期間が1週間しかなく、当初考えていたギミックやストーリーの多くを削って出した——というのが開発者の弁だ。完全版は、その削った分を取り戻す作業でもあるらしい。収録されるギミック・ストーリーはブラウザ版の5倍以上になる予定だという。

ただし作り直しではなく、短時間で何度も遊んで毎回違う展開を掘り当てる、という元の気持ちよさは残したまま、より自由度を上げる方向で再構築しているとのこと。

公開された予告映像では、新しい場面がいくつか確認できる。これまでひとつだけだったボタンが、複数の選択肢として同時に並ぶ場面。そして冒頭に書いた、設定画面の「ログ」→「ローグ」でローグライクが始まる仕掛け。物語の中の選択肢だけでなく、ゲームそのものの仕組みにまで「1文字を加える」遊びを持ち込んできた形だね。メニューが攻撃対象になるタイプのメタ的な作りは、ブラウザ版を遊び尽くした人ほど不意を突かれると思う。

ストアページで確認できる範囲を整理しておく。開発・販売はいずれも夜路地(YORUROJI)名義。対応プラットフォームはWindowsとmacOSの2つで、必要なストレージはどちらも300MB。ストアの対応言語欄に載っているのは日本語だけで、インターフェース・音声・字幕のいずれの項目にも他言語は入っていない。言葉遊びが遊びの中心にある以上、当然といえば当然の構成にゃ。

価格はまだ出ておらず、ストアの配信日表記も「近日登場」のまま。2027年という時期は開発者側の発表による。

夜路地は短い期間で作る実験的な作品を数多く出している作り手で、Steamでは人のいなくなった世界で目覚めたロボットを描く『人のいない世界に』も準備中だ。1週間で作った小品を、時間をかけて本来の形に組み直す——今回の発表は、そちら側の動きにあたる。

完全版の配信までは2027年まで待つことになるけれど、unityroom版はいまも無料で置かれたままだ。400通りのほうを先に崩しておくことはできる。

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