中止された『Mass Effect』次回作の流出トレーラーは本物、題名は『Mass Effect: Universe』か
画面の最後に出るのは「coming soon」の文字。ただ、この作品が出ることはもうない。
BioWareの閉鎖と、開発初期だった『Mass Effect』次回作の中止が発表された翌日、Redditの公式ファンコミュニティ「r/masseffect」に約2分のトレーラーが投稿された。題名は「Mass Effect Universe Trailer」。最初は作り物を疑う声も多かったけれど、ゲーム業界の取材で知られる記者などが「本物のトレーラー」と認めたことで、中止された作品の姿を伝える映像として広まったにゃ。
スタジオの閉鎖そのものと、EAが発表した内容については、こちらの記事にまとめてある。
映像の冒頭には、まだ制作前の段階の素材で作ったもので、小さなチームが手がけている、という趣旨の注記が入っている。発売の時期どころか、本格的な開発にも入っていない段階のトレーラーということになる。一部のアクションがほかの場面よりぎこちなく見えるのも、そのためだと思う。
誰がなぜ投稿したのかは分かっていない。毎年11月7日に開かれるシリーズのファン向けの記念日「N7 Day」で見せるために用意されたのではないか、という見方もあるけれど、これも推測の域を出ない。EAとBioWareは、この映像について公式には何も発表していない。
映像の最後に出るタイトルは「Mass Effect: Universe」。ファンの間で「Mass Effect 5」と呼ばれてきた作品が、この名前で作られていたとみられる。
映像の中心にいるのは、シリーズの主人公だった司令官シェパードではない。トレンチコートを着た男性で、過去の場面ではアライアンス軍の兵士としてクロガンと銃を撃ち合っている。冒頭のバーでアサリに「軍人みたいね」と声をかけられ、その手下たちに凄まれる場面から話が転がっていく。スパイ映画の主人公に近い雰囲気だね。

舞台はアンドロメダ銀河ではなく、初代3部作と同じ天の川銀河。船内には銀河の地図が映り、サラリアン、ターリアン、クォリアン、ヴォルス、ドレルといったおなじみの種族が背景にも戦闘にも出てくる。イリウムに似た惑星や、雪原の上を飛ぶ小型の宇宙船も見える。


いちばん話題になったのは終盤だにゃ。バーの乱闘のさなかに、アサリのリアラ・ティソーニが現れ、バイオティクスで周りの人々をなぎ倒す。リアラは初代3部作でシェパードの仲間だった人物で、BioWareは2023年のN7 Dayで公開したティザーにも、彼女の声とみられる音声をひそかに入れていた。次回作に登場するという見方は前からあったけれど、本人の姿がはっきり映った映像が出たのはこれが初めてになる。

舞台は『ME3』から約600年後の天の川銀河
トレーラーの流出のあと、オーストラリアのYouTuberで、BioWareが開発中の作品について意見を聞いていたファン向けの「Mass Effect Council」の一員だったDantics氏が、自分が聞かされていた構想を動画で語っている。公式の発表ではなく、内容を確かめる手段も今のところ無いので、そのつもりで読んでほしい。
同氏によると、舞台は『Mass Effect 3』の最後の戦いから約600年後の天の川銀河。シリーズのファンが一番気にしていた『Mass Effect 3』の結末の扱いについては、どれか1つを正史に決めず、プレイヤーが選んだ結末を引き継ぐ形だったという。
- コントロールを選んだ場合: 生き残ったリーパーは、本作の時代にはもう時代遅れの技術になっている
- シンセシスを選んだ場合: サイボーグ化の技術が広まっていて、機械と生体の融合が早く進んでいる
- デストロイを選んだ場合: シェパードは600年前に亡くなっているが、その功績は今も語り継がれている


銀河の情勢は「冷戦」として描かれる予定だったとされる。人類・クロガン・バタリアンの同盟と、ターリアン・サラリアン・アサリの評議会側の同盟がにらみ合い、そこへゲスが第三の勢力として割って入る。その後ろには、プレイヤーが探っていくことになる正体不明の勢力がいた、という話だね。リーパーのような分かりやすい外敵ではなく、勢力同士の駆け引きを軸にするつもりだったみたい。リアラはアサリの中でも強い力を持つマトリアークになっていたという。
N7の主人公は『Hitman』型の任務に挑む
遊び方についての話も具体的だ。主人公は性別や見た目を作れるN7エージェントで、トレーラーの男性は標準の見た目にすぎないという。頭に埋め込んだ実験的な技術を使って、壁の向こうを見通したり、機械を見分けたり、離れた場所の仕掛けを動かしたりできる。トレーラーで主人公がサラリアンの頭部を「読み取る」ように見える場面とも話がつながる。
ミッションは『Mass Effect: Andromeda』のような広いオープンワールドではなく、初代3部作のように一つずつ作り込んだ構成に戻す予定だったとされる。そのうえで、攻略の道筋は『Hitman』のように自由に選べる。戦闘は狭い場所での格闘を重視し、近接でとどめを刺す荒っぽいアクションも入っていたという。
仲間同士の関係にも手を入れていて、『Mass Effect 2』でジャックとミランダ、テイリとレギオンがぶつかったように、仲間どうしが対立する場面が用意される予定だった。ロマンスも、角を取った当たり障りのないものにはしないつもりだったという。
Mass Effectの小説を手がけた作家キャサリン・M・ヴァレンテ氏も、閉鎖の後にSNSで、スタジオが「素晴らしいゲーム」を作っていたと書いている。トレーラーと関係者の話を並べると、何を作ろうとしていたのかはかなり見えてくる。それでも、この作品はもう誰の手でも完成しない。初代3部作は今も『Mass Effect Legendary Edition』で遊べるにゃ。
シェパードの物語から600年後の銀河で、リアラがどんな役回りを担うはずだったのか。分かっているのは、約2分のトレーラーの中でバーの客をなぎ倒していた姿だけだ。
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