インベーダーから妖怪ウォッチまで――思い出ゲーム談義が明かした40年の世代差
ある掲示板に、たった一行の問いが立った。「お前らが中学生の頃に流行ってたゲームは?」——それだけのはずが、返ってきた答えがまるで時代の地層みたいに縦に積み上がっていって、読んでいるこっちが目を丸くしたにゃ。誰もが自分の中学生時代を思い出して素直に書いただけ。なのに一覧にして並べると、軽く40年ぶんの日本のゲーム史になってしまう。
中学生といえば、だいたい13〜15歳。つまり「中学の頃に流行っていたゲーム」を答えるという行為は、遠回しに自分の生まれ年をさらけ出すのとほとんど同じだ。そこに気づいているのかいないのか、スレにはこんな声が次々と並んでいく。
COD BO2
GTA5
『コール オブ デューティ ブラックオプスII』は2012年、『グランド・セフト・オートV』は2013年の作品。この2本を中学で遊んでいたなら、いまはだいたい20代後半あたりということになる。オンラインで友達と繋がって、放課後がそのまま夜まで延長された最初の世代とも言えるにゃ。
さらに若い層もいる。
妖怪ウォッチ
スプラ2やってたな
『妖怪ウォッチ』の3DS版が出たのは2013年7月11日(レベルファイブの発表)、『スプラトゥーン2』は2017年7月21日。妖怪ウォッチで小中学生時代を過ごした子たちも、もう社会に出ている頃だ。実際、別の人からは「君の年齢は24くらいかな?」と、書き込みの中身から相手のだいたいの歳を言い当てにいくような一言も飛んでいた。読み手のこちらまで、うっかり自分の年が透けそうで少しヒヤッとする。
ところが、だ。若い世代の思い出が続くなかに、突然こんな単語が投げ込まれる。
インベーダー
リブルラブル
『スペースインベーダー』の稼働は1978年。『リブルラブル』にいたっては1983年12月、ナムコのアーケード作品で、紐の両端に付いた「リブル」と「ラブル」でキャラを囲む、あの独特な一本だ。もしこれを“中学生の頃”に遊んでいたのなら、前者を挙げた人は還暦を越えている計算になるし、後者でも50代後半。そこへ「とんでもないジジイ出てきたな」という驚きの声が混じるのも無理はない。ただこの一言、悪意というより畏敬に近い響きがあった。
同じ空気で、こんな並びもある。
ドラクエ4 FF3 女神転生II ウィザードリィ 黄金世代だった
『ドラゴンクエストIV』『ファイナルファンタジーIII』『女神転生II』がそろって世に出たのが1990年前後。ファミコンのRPGが一気に厚みを増した時期で、本人が「黄金世代」と胸を張るのもうなずける。いま50歳前後、ちょうどゲームと一緒に大人になっていった人たちだ。
一番人が多いのは、90年代後半からゼロ年代
面白いのは、書き込みが最も密集するのが90年代後半から2000年代にかけての層だということ。ここは声の数がとにかく多い。
ゴールデンアイ スマブラDX
ゴールデンアイ息長いな
『ゴールデンアイ 007』はNINTENDO64で1997年8月。「息長いな」の一言どおり、2023年にはNintendo Switch Onlineの64タイトルとして復活していて、四人でプロキシミティマインを撒き合った記憶が、いま親になった世代の手元にまた戻ってきた。
マリオカート64
糸井重里のバス釣りNo.1
こちらも1996〜97年組。『バス釣りNo.1』は1997年2月のスーパーファミコン用ソフトで、プロデューサーに岩田聡の名が並ぶのがいま見ると味わい深い。テレビの前で兄弟げんかしながらカートを走らせ、あるいは架空の湖でひたすら竿を垂れた——そんな家庭内の光景が浮かぶタイトルたちだ。
そして、放課後の主戦場がゲームセンターだった証言も厚い。
バーチャ2
KOF94,95,96
鉄拳タッグトーナメント
太鼓の達人
『バーチャファイター2』のアーケード稼働は1994年。SNKの『KOF』は年号がそのままナンバリングになっていた時代で、『鉄拳タッグ』もこの流れの延長にある。百円玉を握って筐体に張り付き、『太鼓の達人』のバチを鳴らした——学校帰りの寄り道が、まるごと思い出になっている人が多いのがこの世代だにゃ。
PSPを持ち寄って、放課後に狩りへ
ゼロ年代後半になると、思い出の舞台が“みんなで一つの画面”から“各自の携帯機を持ち寄る”形に変わる。ここでスレの空気を一気に温めたのが、やっぱりこの単語だ。
MHP3
モンハン2ndG 俺はやってなかったけど
モンハン ちょっとしてから内輪で.hack
モンハン2ndG ディシディア 俺はどっちもやってなかった
『モンスターハンターポータブル2nd G』は2008年3月、『MHP3』は2010年12月の発売で、後者は国内で500万本近くまで伸びた大ヒット作。PSPを持ち寄ってアドホック通信で狩りに出る——休み時間や放課後にみんなで頭を突き合わせた光景は、この世代の共通言語みたいなものだ。「俺はやってなかったけど」という距離を置いた証言がいくつも混じっているのも、逆に“周りがみんなやっていた”ことの裏返しに見える。
同じ温度で、こんな声もある。
ポケットモンスターエメラルド
スマブラXも流行ってたか
俺はしてないけれどパズドラとかしてる人らはいたな
『エメラルド』は2004年、『スマブラX』は2008年、そしてスマホの『パズドラ』が2012年。とくにパズドラのくだりは「自分はやってないけど周りが夢中だった」という距離感で、携帯ゲーム機からスマホへ遊びの入り口が移っていく、まさに切り替わりの瞬間を写している。
一つの短い問いが、還暦を越えた人からいまの20代までを平気で横断してしまう。インベーダーの筐体に張り付いた人も、放課後にPSPを囲んだ人も、スプラでインクを塗り合った子も、「中学の頃、これに夢中だった」と同じ熱量で書いている。ハードもジャンルも遊んだ場所もまるで違うのに、思い出の温度だけがそっくりなのが、なんだか妙にあたたかいスレだったにゃ。
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