投げたゲームを数年後に遊び直したら名作だった―Redditに『Outer Wilds』『Kenshi』が集まる
Steamの返金が通るのは、購入から2週間以内で、プレイ時間が2時間未満のとき(Steam 返金について)。合うか合わないかを見極める猶予としては、けっこう短いにゃ。
r/Steam に立った「合わなくて放り出したのに、数年後に遊び直したら実は最高だったゲームは?」という問いかけには、まさにその2時間で切り捨てられかけた作品が次々に挙がった。うち1本は、返金まで済ませたあとに買い直されている。
『TUNIC』は、拾い集めた説明書そのものが最大の謎になる
最初に伸びたのは、タイトルを名指ししないまま称える一連の書き込み。
頭がひっくり返るような沼だった。10点満点で10点
これに続いたのが、褒めながらも不満を添える返信。
たしかに隠されすぎたパズルはある。それでも素晴らしいゲームだった
ゴールデンパスは頂点だった
ゴールデンパスは『TUNIC』の仕掛けの名前。子ギツネが主人公のクォータービュー・アクションで、プレイヤーは冒険の道中に散らばった「失われた説明書」のページを1枚ずつ拾い集めていく。この説明書が架空の文字で書かれているので、図と数字を頼りに意味を推測することになる。ゴールデンパスは、その説明書の複数のページにまたがって隠されていて、ページが揃わないと存在にすら気づけない。「隠されすぎ」という評と「頂点」という評が同じ相手を指しているわけだね。



開発はTUNIC Team、販売はFinji。Steamでの配信は2022年3月17日で、価格は3,400円。レビューは18,360件中16,743件が好評で、総評は「非常に好評」になっている。
ローグライクが苦手で置いた『Hades』、ゴッドモードで戻った人たち
次の枝は、置いた理由がはっきりしている。
『Hades』。コロナ禍で買ったときは、ダンジョンを潜るものの気分じゃなかった。先月ようやく初めて遊んで、1作目をクリアして、いまは2作目をやっている
ここに、素直な感想がぶら下がる。
先月始めてもうクリアしたのか。自分はよっぽど下手なんだな
乱数の神々が味方してくれれば、そこまで難しくはない
そこへ、数字付きの告白が入った。
ゴッドモードを入れて(いまは46%くらいまで上がってる)、19時間遊んでエリュシオンに2回たどり着けただけ。ゲーム部分の良さは分かるけど、好きなのは絵と物語のほう
ゴッドモードは難易度の補助で、公式のFAQには「いつでも使える機能で、ダメージに強くなり、死ぬたびにもう少しだけ頑丈になる」と書かれている。エリュシオンは冥界を上っていく道のりの3番目の区画だから、19時間で2回というのはたしかにゆっくりした歩みだね。同じ悩みを持つ人からは、身も蓋もない攻略が返ってきた。
拳の武器を取って攻撃を押しっぱなし、あとは良い乱数を祈る。1作目はそれで通った
面白いのは、その"乱数の神々"が比喩じゃないところ
恩恵をくれるのがオリュンポスの神々なので、運がすべてという話と神頼みの話が字面のうえで一致してしまう、という返しにゃ。

妙な話だけど、自分も最初は1作目でつまずいた。後で戻ってきて、コロナ禍のあいだにすっかり好きになった。2作目は「1時間で一戦だけ」みたいな遊び方ができて、ここしばらくお気に入り
『Hades』は2019年12月10日に早期アクセスが始まり、2020年9月17日に正式版。価格は2,800円で、レビューは307,769件中301,647件が好評。日本語はインターフェースと字幕に対応していて、音声は英語のみ。続く『Hades II』は2025年9月25日に正式版が出ていて、3,400円。「2作目をやっている」という書き込みが成立するのは、こちらもすでに完成しているから。
返金までした『Kenshi』に、手足の無い胴体の動画が呼び戻した
この日いちばん極端な例が『Kenshi』。
『Kenshi』。人生で一番ひどいゲームだと思って返金した。そのあと、手足の無い胴体だけで遊んでいる誰かの動画を見て、もう一度試したら急に噛み合った。とっつきは悪いけれど、腰を据えて向き合えば返してくれるものが大きい
胴体だけで遊ぶという発想が成立するのは、この作品が負傷を細かく扱うから。ストアの説明には「深手を負うと、損傷箇所が切断され、義肢を取りつけねばならなくなる」とはっきり書いてある。脚をやられれば歩けなくなるし、出血や失神もそのまま処理される。物語に沿って進む作りではなく、870平方キロメートル超のマップに放り出されて、商人にも盗賊にも反乱分子にも農民にも奴隷にもなれるスクワッド制RPG。同じページの一文がこの作品の立ち位置を要約している――「あなたは選ばれし者ではない。偉大で力強くもない」。



この告白を読んで、心が動いた人もいた。
自分ももう一度やってみようかな。気の弱い人向けではないけれど
そうなるまでの時間は、作った側もかけている。開発元のLo-Fi Gamesは公式サイトで、2006年にChris Hunt氏が立ち上げてから6年間ひとりだったこと、2013年の早期アクセスの成功でようやく2014年夏にチームを組めたことを説明している。正式版が出たのは2018年12月6日。価格は3,500円で、レビューは115,784件中110,663件が好評、総評は「圧倒的に好評」。
2時間遊んで2年放置した『Outer Wilds』が、一番好きなゲームになるまで
締めくくりに近い位置で伸びていたのがこれ。
自分は『Outer Wilds』。2時間くらい遊んで、そこから2年触らなかった。もう一度やってみたら、人生で一番好きなゲームになった
放置した長さと着地点の落差が大きいぶん、共感も強かった。
ゲームというより体験として記憶に残るタイプ。記憶を消してもう一度遊べるなら、たぶんこれを選ぶ
ストアページの言葉を借りれば「終わりのないタイムループに囚われた恒星系で繰り広げられるオープンワールドミステリー」。恒星系は時間の経過とともに姿を変えていくので、「砂に埋まる前に地下都市を訪問したり、破壊される前に惑星を探査しよう」と説明されている。装備が増えて強くなるのではなく、知ったことだけが手元に残る作り。中身に触れると台無しになる種類の作品なので、詳しく書けるのはここまでにゃ。



開発はMobius Digital、販売はAnnapurna Interactive。Steamでの配信は2020年6月18日で、価格は3,250円。レビューは106,754件中102,066件が好評。日本語は表示と字幕に対応していて、音声は英語のみ。
4本のうち3本は、いま好評率95%を超えている
挙がった4本を並べると、こうなる(価格とレビューは2026年8月21日時点)。
| 作品 | Steam配信日 | 価格 | 好評率 | 日本語 |
|---|---|---|---|---|
| TUNIC | 2022年3月17日 | 3,400円 | 約91% | 対応 |
| Hades | 2020年9月17日 | 2,800円 | 約98% | 音声は英語のみ |
| Kenshi | 2018年12月6日 | 3,500円 | 約96% | 対応 |
| Outer Wilds | 2020年6月18日 | 3,250円 | 約96% | 音声は英語のみ |
好かれていない作品が発掘されたわけではなく、どれも評価は最初から高い。それでも一度は閉じられている。「大した期待もせずに始めたら面白かったゲームは?」という問いかけが同じ場所で立ったときは『Prey』や『Titanfall 2』が上位に来ていたけれど、今回は"一度やめた"という条件が付くぶん、顔ぶれの理由がはっきりしている。
読めない説明書、死ぬ前提の周回、手足を失う医療システム、進むほど何も強くならない恒星系。4本とも、返金の期限である2時間の中では正体を見せてくれない作りをしている。
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