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『Rooted』開発ログ38、飛行場はオレゴン州の航空規則から設計 街区の自動生成も公開

投稿: 2026/09/23by tobariware9分で読めます
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滑走路を1本引く前に、読むものがある。州の航空規則、滑走路の標識を定めた連邦の通達、それに作業用道路を公道へどうつなぐかを定めた道路マニュアルだ。

Headlight Studioが開発しているオープンワールドのサバイバルクラフト『Rooted』が、9月21日にSteamで週刊開発ログの第38回「A City, One Block at a Time」を公開した(Steamの開発ログ)。書いたのは開発者のMat氏で、前回の9月4日分から1週遅れたぶん、今回は2週間ぶんをまとめた回になっている。前回「次は映像を戻す」と約束していたとおり、10本の短い映像が付いた。

舞台は2100年近く、世界規模の細菌戦争で文明が崩れたあとのアメリカ・オレゴン州。生き残りの1人として廃墟を探索し、使える物を回収・修理し、拠点を築いていく作品で、ソロでも協力プレイでも遊べる。ただし今回の映像のほとんどは、崩壊前の「2080年の状態」の世界を映したものだと断りが入っている。荒れた姿や草木に呑まれた様子、修理の跡は、別の工程として作業し、別の回で紹介する予定だという。ここで紹介される内容は、どれもまだ公開中のアルファ版には入っていないにゃ。

設計図を渡すと、中まで歩ける街区が出てくる

今回の中心は、1月から取り組んできた都市の生成ツールだ。Mat氏が区画の計画を用意すると、エンジンの中に道路網・街区・敷地がそろった地区が組み上がって返ってくる。いま試している地区で敷地はおよそ100、建物はおよそ200。細かいモデルはまだ作っていないので見た目は灰色の箱の段階だけど、当たり判定もキャラクターの移動経路もすでに付いている。アルファ版の街並みは眺めるだけで中に入れなかったのに対し、こちらは入って歩けるのが大きな違いだね。

残っている課題は「変化」。通りの種類、広場の形、地区ごとの街並みの違いをこれから増やしていく。そのうえでMat氏がいちばん避けたいと書いているのが、どの建物も同じ話しかしない通りだ。そこで街区ごとに「状態」を持たせる作業を進めている。建物がどれだけ傷んでいるか、誰かが住んでいるか、誰かがバリケードを築いたか、どこまでなら通り抜けられるか。街区がそれぞれ「自分に何が起きたか」を語れるようにして、ただの埋め草ではなく作品の物語を運ぶ場所にしたい、という考え方だ。

建物を建てる生成ツールは5種類。一軒家、ガソリンスタンド、地下壕、格納庫、オフィスビルで、最も大きくて最も未完成なのがオフィスビルだという。このツールは外観と内装を同じ寸法・同じグリッドから一度に作るので、窓の向こうに部屋の絵を貼って済ませるのではなく、本物の部屋ができあがる。階段室、エレベーターシャフト、空間に余裕があれば会議室まで入る。家具を置くのは別のツールの担当で、部屋の広さを読み取り、歩ける通路を残したまま物を置き、頼めば部屋ごと配置をやり直す。生成したその日のうちに、1時間前は数字の並びだった建物を階段で最上階まで上がり、屋上へ出られるところまで来ているにゃ。

飛行場づくりは、オレゴン州の規則を読むところから

場所づくりはモデリングからは始めない、というのが今回の開発ログでいちばん目を引く部分だと思う。飛行場の例について、Mat氏はこう書いている。

公式の開発ログより(日本語訳)

飛行場のような場所なら、まずは読むことから始まる。州独自の航空規則、滑走路の標識を定めた連邦の通達、作業用道路を公道へどうつなぐべきかを示した道路マニュアル、そして実在するオレゴンの飛行場の公開記録――こちらは照明の無い草地の滑走路、あちらは舗装し直した滑走路、といった具合に。ゲームの舞台はオレゴンなので、場所はオレゴンが実際にやっていることから作る。

目を通しているのは法令だけでなく、実在の飛行場が照明を持っているか、いつ舗装し直したかといった個別の記録まで含まれる。架空の世界の飛行場でも、実際の州のルールで作られた場所がどういう姿になるかを先に確かめる。崩壊前の2080年の姿から作り始めているのも、この順番と地続きなのかもしれない。

こうした仕組みはゲーム内の機能ではなく、あくまで制作用のエディタツール。建物は手続き型のツールで生成してエンジンに取り込み、取り込んだあとでも1棟を選んで寸法を変えれば、それに合わせて建て直せる。大まかな形の段階ではモデリングソフトの上でスクリプトが組み立て・確認用の画像出力・チェックまでを受け持ち、技術的な図面も同じ工程から出てくるという。

その飛行場は、ゲームの中ではすでに歩いて入れる場所になった。格納庫の扉は制御ボックスから動かせて、途中で止めることも、入口に止まった車両への対応もでき、動かしたところでそのまま止まっている。

物理で沈むバイクのフォーク、25種になった植物

移動手段の話も長い。マップが広がって行きたい場所が増えるにつれ、場所から場所への移動を「空白の時間」ではなくゲームの一部にする必要が出てきた、とMat氏は説明する。燃料になる何かを持っていれば、という但し書き付きで。

車両にはUnreal Engine標準のChaos Vehicleを使わず、独自の仕組みを組んでいる。タイヤが1本ずつ地面を判定し、バイクの車体は「互いを無視する2つの車輪」ではなく1つのかたまりとして計算する。路面の感触が伝わり、次にどう動くかが乗り手に分かるようにするためだ。フロントフォークが沈み込み、スイングアームが動く様子もアニメーションではなく、サスペンションの計算結果そのもの。その動きは全プレイヤーに同じように送られ、協力プレイでも全員が同じ挙動を目にする。映像のバイクは操作感を詰めるための仮のモデルで、最終的な車両モデルは別の作業になるそうだ。

植物は既製品を買わず、独自のライブラリを作り始めた。舞台のオレゴンの生態系に合わせることと、オープンワールドで大量にまいても重くならないことが条件で、植物の科ごとに「器官を1つずつ組み立てるレシピ」を持たせている。最初に手を付けたのは、アルファ版からずっと背景になってきた森。収録数は25まで増えた。

内訳は草、地面を覆う植物、ソードファーン(ウエスタンソードシダ)、サラール、それに構想から組み込みまでを一気に終えたカリフォルニアポピー、セイヨウノコギリソウ、ドワーフオレゴングレープの3種。針葉樹も新しく、幹を1本ずつリグし直して、木がしなっても樹皮がずれないようにした。木々は天候が生む1つの風にまとめて反応するという。アルファ版にある木は、作業中のビルドには1本も残っていないそうだにゃ。

「アルファ版の性能はひどい」から始めた最適化

最適化の節は、率直な告白から始まる。創設メンバー向けに一斉に公開した試作版に中身を足し続け、最適化を後回しにしてきたので、アルファ版の性能は悪い。試作期間もプリプロダクションも無しに、すでに遊ばれている状態でオープンワールドを作る――それを「野心的」と呼んでおこう、とMat氏は書いている。

変わったきっかけは、1月に本格的な制作段階へ入ったこと。今回は先にツールを作り、性能を後から消す火事ではなく最初から守るものとして扱っている。新しく入れるものは、複数の条件で、CPUとGPUの負荷、それにネットワーク越しの持ちこたえ方を測り、通ってから残す。エディタの外で同じ場面を記録し、重い箇所を直して、もう一度同じ場面を記録して比べる手順だ。結果が「ダメ」になることも多く、タダで得をするように見えたライティングの設定は測ると悪化したので元に戻し、草の圧縮方式は覆う範囲が減ったので不採用にしたという。

ゲーム側の進み具合もまとめて報告された。

  • 家庭菜園: 種まき・水やり・ポンプの運転・収穫・堆肥づくりまでひと通り動く。ホースやメーター、状態ランプで、貯水の不足やポンプの停止が外から分かる
  • 野生動物: ハクトウワシが1種、飛び立ち・採食・人が近づくと逃げる動きまでそろい、仕留めたあと解体もできる
  • ボルトアクションライフル: スコープはレンズの中だけが拡大され、画面の残りは等倍のまま。狙いを解いたときにボルトを引くので、照準を保ったまま着弾を見届けられる
  • その他: ゲーム内テキストを25の言語・地域向けに組み、キリル文字と中国語のフォントも用意。描画の最終的な色の出し方の変更や、天候に対するキャラクターの反応、背負ったリュックと括り付けた荷物の物理も手が入った

『Rooted』はWindows向けで、2027年後半にSteamとEpic Gamesストアで早期アクセスを始める予定(6月の告知)。具体的な日付はまだ決まっていない。Steamのストアページで対応言語に並ぶのは英語・フランス語・ドイツ語・簡体字中国語など8言語で、現時点では日本語は載っておらず、今回の「25言語」に日本語が入るかどうかも書かれていない。

1月に始めた都市ツールは、ようやく街を丸ごと吐き出すところまで来た。次の山は、その街に2100年の荒廃を上書きする工程になる。

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