『Skyrim』ENBSeriesが規約を改定、プリセットの解析・変換ツールを禁止 Community Shaders新機能の2日後
『Skyrim』のPC版で絵作りを支えてきた2つの仕組みが、8月に入って2日ちがいで動いた。片方は「ENBSeriesのプリセットをそのまま読める」機能を出し、もう片方は「プリセットを読み取るツールを禁じる」条文を利用規約に足した。名指しの応酬こそ無いものの、並べて読むとかみ合い方がはっきりしている。
ENBプリセットを読み込む「Effects 11」が8月3日に公開された
Community Shaders は、SKSE のコアプラグインとして動くオープンソースのグラフィックフレームワーク。GitHub のリポジトリではライセンスに GPL-3.0(Skyrim 本体や DLSS・FSR3 といった SDK を除く例外付き)が指定されている。Nexus 版は8月7日に v1.8.3 が上がったところで、累計ダウンロードは400万件を超え、推薦は2万5000件を上回っている。動的キューブマップ、地形の影、スクリーンスペースのGIや反射、サブサーフェススキャタリングあたりを機能ごとに足し引きできる作りだね。
そのアドオンとして8月3日に公開されたのが Effects 11。作者は Community Shaders と同じ doodlum で、ページには「ほぼすべてのENBプリセットに対応し、ENB Helper と ENB Extender の代替を内蔵する」「ENBSeries の完全なオープンソース代替」と書かれている。土台になっているのは D3D11 向けの Effects ライブラリ(FX11)の最新版。長年積み上がってきたENBプリセットという資産を、ENBSeries 本体を入れずに動かそうという発想にゃ。
対応していない効果——レターボックス、ブラー、シャープニング——はプリセット側を自動でパッチして切る、という力技も入っている。加えて光源に反応するパーティクルシェーダー、物理ベースの雨、ボリュメトリックレイ、プロシージャルな太陽といった項目が並ぶ。
もっとも、万能とはうたっていない。導入には Particle Patch が必須で Skylighting が推奨、ENBSeries とは同居できず、CS Particle Patch も入れるなと明記されている。「Picta – Weathers of Aurbis – Repainted」は非対応、ENB Sky Scattering を多用するプリセットは手直しが要る、といった但し書きも自分で並べている。



2日後、ENBSeriesの規約にセクションX・Y・Zが足された
ENBSeries は Boris Vorontsov が長く続けているクローズドソースのソフトで、規約上はドネートウェア(寄付歓迎の無償配布)として扱われている。公式サイトのニュース欄には8月5日付で v0.505 の告知が出ていて、シェーダーコンパイラの差し替えによる起動時間の短縮と並んで、規約の改定がアナウンスされた。「ENBSeriesのライセンス規約を米英の知的財産法にもとづいて改定し、エコシステムとコミュニティの制作者を守るためのもの」という趣旨で、悪意ある技術的抽出・不正競争・ブランドの無断利用に対して線を引く、と書かれている(ENBSeries公式ニュース)。
足されたのがセクションX・Y・Zだ。規約ページを開くと、想定している行為がかなり具体的に列挙されている。
- セクションX:競合・代替ソフト向けに、ENBSeries固有のパラメータ名を機械的に対応付け・抽出・変換するソフトを作ることを禁止。ただしプリセット作者が自作の設定値を手作業で移植するのは認める。
- X.1:第三者のソフト、ラッパー、フック、互換レイヤー、スクリプト、AI、ツールを使ってプリセットを読み込む・実行する・解析する・変換する行為を、書面の許可なしには認めない。
- X.2:ハッシュ化した対応表や難読化で上を回避すること、実行中のメモリ読み出し・フレーム傍受・グラフィックAPIのフックでレンダリング状態を取り出すこと、ENBSeriesを貶める意図のベンチマークも禁止。
- セクションY:「ENBSeries」「ENB」やその派生語を、代替ソフトのメタデータや検索タグ、隠し文言に使って利用者を誘導したり、同等の機能だと思わせたりすることを禁止。
- セクションZ:プリセットの無断の一括変換・移行を禁止。作者本人の同意があってもセクションXに反する形なら不可で、有志が変換用の対応表をデータベース化することも認めない。
一方で「善意の例外」も置かれている。非商用で競合しないユーティリティ——天候の割り当て、カメラ、SKSEプラグインの類——が実行中のENBSeriesに接続し、メモリを読んだり変数へアクセスしたりして機能を拡張するのは認める、という書き方。置き換えるものと、補うものを分けたい意図がうかがえる。
なお、改定前からある条項でも、逆コンパイル・リバースエンジニアリング・逆アセンブル・デバッグ・リソース改変は禁じられている。v0.505 のページには「ENBSeriesのバイナリをNexus系サイトに投稿することは固く禁じる」という一文が大文字のまま残っていて、配布の線引きにはもともと神経を使ってきた側だと分かる。

規約が名指ししているのは、modではなく行為のほう
改定された条文に特定のmod名は出てこない。禁じられているのは「プリセットの設定を機械的に読み取って別のレンダラーで再現すること」という行為の型であって、そこに誰が当てはまるかは書かれていない。ただ、その型の説明を読んでから Effects 11 の説明文へ戻ると、ほぼそのまま重なる。ENBプリセットを解析し、対応しない効果を自動で切り、別のレンダリング基盤で動かす——禁止事項の列挙と、機能紹介が、同じ動作を裏表から書いているような格好だね。
現時点で Effects 11 の配布ページは公開されたままで、Community Shaders 側からこの件についての告知は、GitHubのリポジトリにもNexusのページにも出ていない。開発そのものは止まっておらず、リポジトリでは8月20日にも更新が動いている。
ENBSeriesは長らく『Skyrim』の見た目を決める標準的な選択肢で、その周りにプリセットを作る人たちの層が厚く積み上がってきた。その積み上がりを「誰が読み書きしていいのか」という一点が、いま規約の条文になって書き出されている。Effects 11 の公開が8月3日、規約改定の告知が8月5日。あいだは2日しかない。
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