一度も使わないゲーム機能は何か Redditで挙がった「効果2%のバフポーション」と、擁護された『ウィッチャー3』
曲がり角の手前で、体を横に傾けて向こう側だけを覗く。リーンと呼ばれるあの動作は、タクティカルシューターにもホラーにも、ずいぶん前から標準装備として入っている。ところが「自分は一度もまともに使っていない」という人が、Redditのr/gamingに現れた。
リーンで得をした記憶がほとんどない。シューターはあまり遊ばないし、シングルプレイのホラーだと敵がそこまで賢くないから、わざわざ傾く時間をかけるより体ごと横にずらしたほうが早い。ほかに、どこにでも実装されているのに使っていない仕組みってある?
リーン自体は真面目に作られた機能ではある。『レインボーシックス シージ』のように、覗き込みの角度と速さが読み合いの中心に置かれている作品もある。ただそれは、撃ち合いの精度が勝敗を分けるゲームの話。ホラーやシングルプレイのアクションだと、傾かなくても大抵なんとかなってしまう。
そして、この問いかけに返ってきた答えは、リーンよりずっと大きな塊になったにゃ。
最も共感を集めたのは、消費アイテム——それも回復以外のポーション類だった。
体力とマナを回復する以外のポーション全部。作りたくないし、一時的なバフも好きじゃない。数が足りているか気にして持ち物を管理して、毎回飲むなんてやりたくない。だから最初から存在しないものとして遊んでいる。
言い方は素っ気ないけれど、心当たりのある人は多いと思う。RPGの錬金・調合まわりは、素材を集めて、レシピを覚えて、作って、使うタイミングを覚えておく——という工程がどうしても長い。そのわりに戻ってくるのが数十秒ぶんの小さな数値だと、工程のほうが重く感じられてしまう。
こういう素材は売って回復薬を買う元手にするもの。なんであんなに種類があるのか分からないけど、まあいいや。
素材を売って回復薬を買う。結局そこへ落ち着く、という自己申告。作った本人が使わないなら、その仕組みは何のために置かれているのか。話はここからもう一段進んだ。
でも「55秒間、冷気ダメージへの耐性が2%上昇」があるじゃないか。「35秒間、スタミナ消費が3%減少」も。(棒読み)
この皮肉に、条件をどんどん細かくしていくジョークがぶら下がっていった。
1年の最初の満月の夜、最初のフルリロードを行うと、翌年の最初のリロードに10秒間だけ効く5%のバフがスタックする。
ただし対象はバースト射撃のサブマシンガンで、名前にyの文字が入っているものに限る。
こういうスキルやポーションが本当に苦手。「クリティカルヒット時、5秒間スタミナ回復速度が5%上昇」——もっと面白いものを考えてほしい。バランスがそこまで重要じゃないシングルプレイなら特に。
笑いとして流れているけれど、指摘の中身は割と真っ当だ。効果が小さすぎる強化は、覚える手間と釣り合わない。プレイヤーはその都度「これは覚える価値があるか」を判断していて、価値が低いと分かった時点で以後は目に入れなくなる。表示だけが残って、選択肢としては死んでいる状態。
もっとも、こんな反論も出ていた。
でも3%のバフを10種類重ねると、いきなり2秒間だけ1000万ダメージ増えたりする。4ダメージ増えるどころの話じゃなく。
積み上げが噛み合ったときに爆発するビルド。ハクスラ系の作品が長く支持される理由のひとつでもある。同じ「3%」でも、それが合成される設計になっているかどうかで意味がまるで違う、という話でもあるね。
成長要素そのものが作業に見えてしまう、という近い議論も別のところで起きていた。
『Fallout 4』のメンタスは知力と知覚を上げるが判定には届かない
具体的な作品名が出たところで、スレッドの空気が変わる。『Fallout』シリーズのケミカル(薬物)を巡って、はっきり意見が分かれたからだ。
『Fallout』のケミカルにまさにこれを感じる。メンタスを飲めば知力と知覚が少し上がって、スキル判定にもわずかに乗る。でもそれは、スキルチェックの9割で足りる量じゃない。

『Fallout 4』のメンタスは知力と知覚を上げる。ただ、その上げ幅で届くようになる判定がどれだけあるか、と言われると心もとないのは確か。この不満に対して、「使いどころはある」という声が続いた。
『Fallout 3』でひとつだけ良い体験があった。ケミカルを使って、本来より数レベル早くメガトンの武器庫に入れた。実質レベルで縛られた報酬が目の前にあるなら、これはすごく良い。ただのドアを開けるだけの端末ハッキングなら、まあ……。
ケミカル次第だと思う。消費アイテム嫌いには99%同意するけど、『Fallout』にはジェットがある。あれは異常。あとメッドXは、いつも最高難易度で遊ぶから生命線になっている。
ジェットは体感時間を遅くして、囲まれた場面をひっくり返せる。メッドXはダメージ耐性を大きく引き上げる。どちらも「数値がちょっと動く」タイプではなく、その場の生死をはっきり変える種類のもの。効果が大きければ使われる、という単純な話がここで裏付けられた形。
ラッドアウェイとラドXもある。放射線を取り除いて、耐性を上げるやつ。あれには何度も助けられたから、『Fallout』の消費アイテムが全部役立たずというのには賛成できない。



一方で、こんな一言も置かれていた。
『Fallout』ではスティムパック以外のケミカルを使ったことがない。
そして、効率とはまったく別の理由を挙げた人もいる。
ロールプレイとしては格好いい。サイコとバフアウトとメッドXを詰め込んで、全力疾走でデスクロー相手に殴りかかる中毒者を演じる。作品によってはケミカル使用を後押しするPerkもあるし。
効くから使うのではなく、そのキャラクターならそうするから使う。数値の議論の横で、この理由がしれっと成立しているのが面白いにゃ。
瞑想1回で錬金アイテムが自動補充される
議論が一周したあたりで、「これは使った」という具体例が挙がった。『ウィッチャー3 ワイルドハント』の錬金術だ。
『ウィッチャー3』はここが上手かった。ポーションとオイルのバフはかなり強力なのに、作り置きの管理がいらない。瞑想(戦闘外ならいつでもできる)するとアルコヘストを1本消費して、調合済みの錬金アイテムが自動で補充されるから。
実際その通りの作りになっている。一度レシピを覚えて作ったポーションや爆弾は、アルコールを持った状態で瞑想すれば補充される。使い切ったら素材から作り直し、という工程が丸ごと消えている。集める手間が要るのは最初の一回だけで、そこから先は「使うかどうか」だけを考えればいい。
判断のための情報も揃っている。怪物は獣・呪われし者・吸血鬼といった種別に分かれていて、剣に塗るオイルもその種別ごとに用意されている。目の前の相手がどの分類なのかはゲーム内の書物で調べられるから、「調べる→備える→狩る」がひと続きの流れとして成立する。
この設計が支持された理由として、効率よりも別の点を挙げる声が目立った。
しかも設定的にすごく噛み合っている。彼が実際にやっていることそのものだから。調べて、弱点を見つけて、それに合わせて備える。
まさに。これはウィッチャーであることの醍醐味の一部だと思う。あの工程を踏むと、自分がこの世界の怪物狩りなんだと本当に感じられる。そこが良い。
支持されているのは「手間が少ないこと」ではなく、「手間の中身が、そのキャラクターがやるはずのことと一致していること」。ケミカルをロールプレイのために使うという声と、根っこは同じところにある。
リーンの話から始まった雑談は、そんなところに着地した。使われない機能に共通しているのは複雑さでも面倒くささでもなく、払った手間が返ってこないこと。55秒の2%は、その計算が最初から合っていない。
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