灯台守が消えた息子を追って北の海へ――ナラティブ航海パズル『WILL: Follow The Light』が静かに刺さる
灯台のらせん階段を上って明かりを灯すのが日課の、孤独な男がいる。ある晩、その静けさを無線が破った。故郷を災害が襲い、たったひとりの息子の行方が分からない――。
そこから旅立つのが、TomorrowHead Studioの一人称ナラティブ航海パズル『WILL: Follow The Light』にゃ。灯台守のウィルが愛艇「モリー」を駆り、荒れる北の海を越えて家族のもとへ帰ろうとする物語。2026年5月7日から配信されている作品だけど、その静かで重い設定が今もじわじわと拾われていて、あらためて名前を見かけることが増えている。
物語の芯にあるのは、父と息子の関係だ。プレイヤーはウィルとして、嵐や雪原、忘れられた場所をたどりながら南でも北でもない“遠い緯度”を進んでいく。道中に散らばる環境パズルはただの仕掛けではなく、解くたびに過去の断片がほどけていく作りになっていて、「自分が何者で、何を目指して海を渡っているのか」が少しずつ像を結ぶ。答えを急がず、風景と沈黙のなかで気持ちを掘っていくタイプの一本にゃ。
舞台となる北の海と大地は Unreal Engine 5 で描かれていて、水面のうねりや雪の質感が旅の孤独をそのまま画にしている。移動手段も帆船だけじゃなく、雪原では犬ぞりを操る場面まで用意されているのが面白いところ。


この作品でいちばん尖っているのは航海まわりのこだわりにゃ。海の上では実際の経度・緯度の座標を使って進路を読む必要があり、ヨットの挙動を作るにあたっては開発元が実在の航海者に相談して設計したという。雰囲気だけの“それっぽい船”ではなく、海と向き合う手触りそのものを再現しにいっているわけだ。
音づくりも独特で、実験的なテクスチャと風変わりな楽器を織り交ぜ、キャラクターごとのテーマを世界の音そのものに溶かし込んでいる。プレイの映像込みで空気を確かめたいなら、公式の映像を見てほしい。


日本語で読めるのに声は英語しか出ない
購入前に押さえておきたいのが対応まわり。Steam版は価格3,150円で、対応OSはWindowsのみ(Mac・Linuxは非対応)。PlayStation 5とXbox Series X|Sでも配信されている。
言語は日本語を含む多言語に対応しているものの、Steamストアページの表記を項目ごとに見ると、日本語はインターフェースと字幕までで、音声(フルボイス)が付くのは英語だけ。会話は英語音声+日本語字幕で追う形になるので、そこは割り切って手に取りたい。
作っているのは、米ワシントン州スポケーンを拠点にする自主資金の小さなスタジオ。派手な物量で押す作品ではないぶん、静かな海と father & son の物語に浸れる人には、しっかり残る一本になりそうにゃ。
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