『薬屋のひとりごと ~偽りの皇弟~』2027年初頭発売 ― 推理パートは5つの手法で真相へ
証拠を突きつければ事件が終わる、という作りではないらしい。相手が詭弁を弄したり感情を爆発させたりすれば、そこで真相は遠のく。9月9日のNintendo Directで発表された『薬屋のひとりごと ~偽りの皇弟~』は、コーエーテクモゲームスが送り出す宮廷推理譚。テレビアニメ『薬屋のひとりごと』としては初めての家庭用ゲームで、発売は2027年初頭が予定されている。
原作者・日向夏が書き下ろす、4機種同時の完全新作
対応機種はNintendo Switch、Nintendo Switch 2、PlayStation 5、Steamの4つ。原作者・日向夏氏が原案を手掛けた完全新作のオリジナルストーリーで、公式サイトは「薬と推理がすべてを明らかにする、宮廷推理譚」という一文を看板に掲げている。
物語の起点は、花街の薬師・猫猫が後宮で下働きを始めて間もない頃。顔のない宦官、夜ごと嘆く蔵、一夜で赤く染まる衣――理屈の通らない出来事が「五つの謎」と呼ばれて広まり、後宮は急速に落ち着きを失っていく。後宮管理者・壬氏から一方的に調査を押し付けられた猫猫が、薬の知識と観察眼で一件ずつ片付けていく、という入り口だね。
そこから時間が飛ぶ。子の一族の反乱が収束した直後の都で、今度は「五つの呪」の噂が蔓延し、ついに事件が起きる。現場にたまたま居合わせた猫猫が目撃するのが、覆面姿の皇弟。壬氏は関与を否定するものの、都の熱気はかえって膨らみ、覆面の皇弟を支持する謎の集団まで現れる。後宮の謎と都の呪がなぜ響き合うのか、葬り去られた禁断の歴史まで巻き込んで話が広がっていく――というのが公式の示す筋書きにゃ。
猫猫と壬氏に並んで公式サイトの前面に立っているのが、今回のために作られたキャラクター・冠宇(ガンユウ)。都で大評判の旅の一座に所属する役者で、路上の舞台では自信に満ちた振る舞いと朗々と響く声で観客を沸かせる。ところが舞台を降りた途端、本来の気の小さい性格へ切り替わってしまう。落差が激しすぎて同一人物だと気付かれないこともある、と紹介されている。里帰り中の猫猫が彼に薬を処方したことが、そのまま厄介事への入り口になるらしい。
システム紹介ページを読むと、1つの事件が「探索」「情報整理」「推理」「事件解決」の4段階で進む構造になっている。
探索では後宮や花街、市井を歩き回って聞き込みをし、手がかりを拾う。同時に薬の材料を採取して調薬もできて、完成した薬が事件解明の糸口になったり、親しい人の困りごとを片付ける道具になったりする。素材集めが趣味の領域で終わらず、そのまま捜査の手札になる作りだね。



手がかりがそろうと、次は情報整理。断片のまま抱えている証言や物証の相関関係を可視化して、選択肢形式でおさらいしていく段階になる。ここを通すことで、事件の全貌が誰にでも分かる形に組み直される。推理に入る前に一度立ち止まって整理させる、という順番が明確に切られている。

猫猫の推理は5種類、間違えれば事件は迷宮入り
いちばん目を引くのがここ。公式は「ただ単に証拠を突きつけるだけでは、相手のきべんや激情などによって事件が迷宮入りしてしまう」とはっきり書いている。動かぬ証拠を出すのは手段のひとつでしかなくて、猫猫は場面ごとに違う手を使い分ける。
- 解選び:集めた情報の4択から、正解だと思う選択肢を選ぶ
- 証拠呈示:証言と証拠が揃った手帖から、正解だと思うものを突きつける
- 人心鎮め:推理の最中に相手が取り乱したとき、制限時間内に適切な言葉を選んで落ち着かせる
- 現場の記憶:現場に潜んでいた物的証拠をもとに「真実」を指摘する
- 組み合わせ:二つの証拠を組み合わせ、新たな真実を浮かび上がらせる
制限時間つきで相手をなだめる「人心鎮め」が独立した手法として立っているあたり、証拠の正しさだけで押し切るゲームではないことがうかがえる。調薬による再現も推理の手札に数えられていて、薬師が主人公である意味が推理パートまで伸びている。
そして最後の「事件解決」で、集めた証拠の意味が効いてくる。証拠には事件解決に必須のものと、必須ではないけれど犯人の真の目的が分かるものの2種類があるという。後者を握っているかどうかで、猫猫が口にする言葉が変わる。ただ解決するだけでなく、被害者や犯人を少し幸せにすることもできれば、逆に世の中の厳しさを教えることもできる。公式が「薬屋の選択」と名付けているこの分岐は、「推理の結果分かった真実」と「せめてもの慰めになる言葉」の二択で示されていた。真相を明かすことが必ずしも救いにならない、という原作の手触りをそのまま仕組みに置き換えてきた形になる。

キャストも発表と同時に出そろっている。アニメでおなじみの顔ぶれが並び、新キャラクターの冠宇には阿座上洋平が付いた。
| キャラクター | 声優 |
|---|---|
| 猫猫(マオマオ) | 悠木 碧 |
| 壬氏(ジンシ) | 大塚 剛央 |
| 冠宇(ガンユウ) | 阿座上 洋平 |
| 高順(ガオシュン) | 小西 克幸 |
| 小蘭(シャオラン) | 久野 美咲 |
| 李白(リハク) | 赤羽根 健治 |
| 玉葉妃(ギョクヨウヒ) | 種﨑 敦美 |
| 梨花妃(リファヒ) | 石川 由依 |
| 里樹妃(リーシュヒ) | 木野 日菜 |
| 羅門(ルォメン) | 家中 宏 |
| 虞淵/やぶ医者(グエン) | かぬか 光明 |
| 紅娘(ホンニャン) | 豊口 めぐみ |
| やり手婆 | 斉藤 貴美子 |
| 梅梅(メイメイ) | 潘 めぐみ |
| 白鈴(パイリン) | 小清水 亜美 |
妃たちも緑青館の三姫も名前が挙がっているので、後宮と花街の両方をきちんと行き来する物語になりそうだね。



Steamストアページも公開済み。ジャンルはアドベンチャー、開発・販売ともにコーエーテクモゲームス名義で、PCはWindowsのみ。シングルプレイ専用で、Steam実績、フルコントローラサポート、DualSenseコントローラーサポート、いつでもセーブ可能といった項目が並んでいる。リリース日欄は「発表予定」のままで、日付まではまだ出ていない。
言語まわりは内訳を見ておきたいところ。日本語・英語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)の4言語がインターフェイスと字幕に対応する一方、フル音声が付くのは日本語だけとなっている。上のキャスト表の声を英語圏でも聞ける、という話ではない。
任天堂の告知には「本ソフトの対象年齢は『15歳以上』相当です」という注記が添えられていた。
発売までは1年以上あるけれど、実物に近づける機会は今月やってくる。9月17日から21日まで開催される東京ゲームショウ2026のコーエーテクモブースに出展され、等身大パネルの展示やノベルティ配布が予定されている。ステージは9月20日13時30分から14時20分まで。
覆面の皇弟の正体が明かされるのは2027年だとして、猫猫がどんな手つきで薬を混ぜ、どんな顔で相手をなだめるのかは、来週の幕張で先に分かる。
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