NVIDIA『DLSS 5』をRadeonで動かす有志ツール公開 ― RX 9070 XTで1080p約31fps
1080pで10fps。それが最初に出てきた数字だった。
NVIDIAのニューラルレンダリング「DLSS 5」をRadeonで動かすツール「DLSS-NR on AMD」がGitHubに置かれたのは9月3日の午前中。そこから2日でリリースは8本を数え、Radeon RX 9070 XTの『サイバーパンク2077』は1080pで約31fpsまで来ている。動くことは動く。ただ、動くというだけで、快適と呼べる状態からはまだ遠いにゃ。
DLSS 5の3D-Guided Neural Renderingは、エンジンが描き終えた1枚をAIが受け取り、光の回り込みや素材の質感を描き直す仕組み。NVIDIAの発表では対応するのはGeForce RTX 50シリーズとGeForce NOWだけで、初対応タイトルは『NBA 2K27』だった。要するに、この技術はRadeonで動くようには作られていない。
RTX 50シリーズ専用として始まったところは、こちらでも整理している。
「互換レイヤーではない」―開発者はゼロからの再実装だと説明
作者はdanielblnc氏。リポジトリのFAQで「これは互換レイヤーではない」とはっきり否定していて、HIPカーネル・メモリレイアウト・ゲームへの組み込みまで含めて、AMDのGPUアーキテクチャ向けにニューラルネットワークのランタイムをゼロから実装し直したものだと書いている。NVIDIAのコードは含めても実行時に変換してもいない、という説明だね。
対象はRadeon RX 9000シリーズ(RDNA4)とRX 7000シリーズ(RDNA3)。FSRを積んだDirectX 12のゲームなら基本的にどれでも、というのが謳い文句になっている。それより前の世代は今のところ非対応で、Vulkanは後回しの予定として挙がっている。
導入の手順はかなり素朴だ。ゲームの実行ファイルがあるフォルダ(『サイバーパンク2077』なら `bin\x64`)にセットアップ用のexeを置き、後述するDLLを同じ場所に並べてから実行する。あとはゲーム内でFSRを有効にすれば動き出す仕組みで、FSR 3でもFSR 4でも、品質設定はどれでも構わないとされている。Endキーを押すと専用のオーバーレイが開き、Mode(inline/async。asyncはフォトモード専用)、Tone intensity、Structure intensity、Skin structureの4項目をその場で触れる。モデルそのものを切り替える機能は「予定」の段階。
出力の見た目については、本来のハードウェアでDLSSが出す絵に「とてもよく似ている」としつつ、100%は動いていない効果もまだ残ると認めている。この手の移植で画質のほうを先に成立させているのは、なかなかのものだと思う。

1080pは10fpsから31fpsへ、2日で8回更新された
問題は速度のほうにある。リポジトリに載っている現状の数字は、RX 9070 XTの1080pでおよそ31fps。ニューラルレンダリングを切れば同じカードで十分に高いフレームレートが出る場面なので、有効化した瞬間に何が起きているかは想像がつく。
とはいえ、この2日間の更新ペースは異常と言っていい。公開されたリリースを並べるとこうなる。
| 版 | 公開 | 内容 |
|---|---|---|
| v0.1.0 | 9月3日 | 最初の公開 |
| v0.2.0 | 9月3日 | 1080pが10→23fps、3440×1440が4→10fps |
| v0.2.6 | 9月4日 | v0.2.0比で19%の向上 |
| v0.2.7 | 9月4日 | 1080pで30fpsに到達、v0.2.6比で12%の向上 |
| v0.2.8 | 9月4日 | さらに2%の向上 |
| v0.2.9 | 9月4日 | 一部のDLLを認識しない不具合を修正 |
| v0.2.10 | 9月4日 | 複数GPU構成での検出を修正 |
| v0.2.11 | 9月5日 | さらに2%の向上 |
リポジトリが作られたのが9月3日の午前9時42分、最初のビルドが上がったのが同日の午前9時54分。12分差だった。v0.2.7では「30 FPS has been achieved」という見出しがそのままリリースノートになっている。
作者が掲げている最終的な目標は、GeForce RTX 5070 Ti並みの速度で走らせること。現状との開きは大きいけれど、毎日詰めていくと明言している。動作確認が取れているのは『サイバーパンク2077』と『GTA V Enhanced』の2本で、RX 7000シリーズは「動くはず」という扱いのまま報告を募集中。

動かすにはDLSS 5のDLLが要り、アンチチートは切ることになる
ここが一番引っかかるところ。このツール単体では何も描けず、利用者が自分で `nvngx_dlssnr.dll` のビルド310.8.0.0を用意しなければならない。DLSS 5に対応したゲームから持ってくる、という説明になっているにゃ。
そのDLLがどこから世に出たかというと、『NBA 2K27』の早期アクセス版のフォルダに入ったまま配布されていたものが発端。有志の手に渡ってから、対応していないゲームへ持ち込む試みが一気に広がった。
必要なものは他にもいくつかある。Windows 11であること、Adrenalinドライバの26.1.1以降が入っていること、そしてアンチチートを積んだゲームではDLLがブロックされるため、切った状態でしか使えないこと。対戦要素のあるタイトルに持ち込む用途は最初から想定外だと考えたほうがいい。作者自身、NVIDIAともAMDとも無関係で、無保証・自己責任だと明記している。
開発資金を募る文面には「トークン代は高く、テスト用のGPUはもっと高い」とある。個人が数日でGPUランタイムを書き直した背景が、この一行にわりと素直に出ているように読める。
反応の速さも数字に出ていて、9月6日時点でスターは627、フォークは25、公開されたセットアップexeのダウンロードは全リリース合計でおよそ1万2,200件。未解決のIssueは68件が並んでいる。
アルファ版であること、DLLを別途調達する前提であること、アンチチートを切る必要があること――実用と呼ぶには条件が多すぎる。それでも、目標に掲げた5070 Ti相当まではまだ遠いとはいえ、10fpsから31fpsまでは2日しかかかっていない。
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