『Hyper Light Drifter』の開発元がほぼ全員を解雇、パブリッシャーの資金打ち切りで存続も不透明
2013年9月に立ち上がったKickstarterの目標額は、2万7,000ドルだった。集まったのは60万ドル超。その資金でAlx Prestonはプログラマーとアーティストを雇い、2016年に『Hyper Light Drifter』を送り出し、Heart Machineというスタジオの形ができあがった。
それからちょうど13年後の9月に、Prestonは自分が集めたその人たちの「ほぼ全員」を手放すことになった。

「次に何をするか分からない」―創業者が語る資金打ち切り
Prestonが自身のLinkedInに書いた文章は、「今日は非常に厳しい知らせがある」という一行から始まっている。Heart Machineは未発表のタイトルを、あるパブリッシャーの出資で開発していた。そのパブリッシャーが今週、この企画を先へ進めないと決めた。スタジオにとって頼みの綱だった収入が消え、すぐに当てにできる別の話も、つなぎの資金も無い。結果として、ほぼ全員を解雇せざるを得なかった――というのが起きたことの全部にゃ。
解雇された人たちには再就職の橋渡しを含めてできる限りの支援をするとしていて、「並外れて才能があって、優しい人たちに合う職があれば連絡してほしい」と、Preston自身が求人の取り次ぎを呼びかけている。スタジオそのものの行方については、「厳しさを増していく業界を渡っていくのは本当に難しかった。Heart Machineが生き残るために次に何をするのか、自分でもまだ分からない」と率直な書き方。それでも文章は「ここに居られるうちは、道を作るために踏ん張り続ける」で締められていた。
出資していたパブリッシャーがどこなのか、開発中だったのがどんなタイトルだったのかは明かされていない。未発表のまま、表に出ることなく終わる可能性が高い。
Heart Machineはロサンゼルス拠点で、公式サイトには『Hyper Light Drifter』『Solar Ash』『Hyper Light Breaker』『Possessor(s)』の4本が並んでいる。Annapurna Interactiveと組んだ『Solar Ash』は2021年、荒廃した宇宙空間をスケートのように滑り抜ける3Dアクションで、Steam版はその翌年に出た。日本語はUIと字幕に対応していて、音声は英語のみ。
2025年12月から止まったままの『Hyper Light Breaker』
今回の解雇は、いきなり降ってきたものではないんだよね。綻びは去年の秋から表に出ていた。
『Hyper Light Drifter』の世界を3Dのオープンワールドへ移した『Hyper Light Breaker』は、2025年1月にArc Games販売で早期アクセスを開始した。ただ評判は伸び悩み、Steamのレビューは現在も「賛否両論」で好評率53%。その後2025年10月に開発の縮小と人員削減が伝えられ、12月23日にはSteamのニュース欄へ短い告知が出た。
Hyper Light Breakerは当面のあいだ、これ以上の開発を受けません。早期アクセス以来、示していただいた情熱とご支援に心から感謝しています。
この一文を出したのは開発元ではなくArc Gamesのチーム名義だった。そして今もストアページは早期アクセス表示のまま。「完成版は早期アクセス版とどう違うのか」という欄には、プレイヤースキンを全種類仕上げる、アップグレードとModを揃える、OSTを全ステージ分完成させる……といった当初の計画がそっくり残っている。その一方で、「あとどれくらい早期アクセスが続くのか」「価格は変わるのか」といった他の質問の答えには、軒並み例の「当面のあいだ、これ以上の開発は行わない」が後から継ぎ足されていて、読み進めるほど計画と現実が食い違っていくページになってしまった。



価格は税込3,400円のまま据え置かれている。当初は「早期アクセスを抜けたら値上げする」と書かれていた項目だけど、その前提になる作業のほうが止まってしまった格好だね。
直近の『Possessor(s)』は2025年11月発売、Switch 2版も加わっていた
その最中に世に出たのが、Devolver Digital販売の『Possessor(s)』にゃ。発売は2025年11月で、対応はWindowsとPS5。都市が異次元の災厄で引き裂かれ水没した隔離区域を舞台に、宿主のLucaと、彼女に取り憑いた非協力的な相棒Rhemを操って進んでいく横スクロールのアクションで、格闘ゲームから引っ張ってきた手触りの戦闘とメトロイドヴァニア的な探索を組み合わせた作りになっている。
Steamのレビューは700件超で好評率75%の「やや好評」。価格は税込1,350円と、この規模の作品としてはかなり手を出しやすい水準に置かれている。日本語はUI・字幕ともに対応済み。
移植も進んでいて、2026年4月にNintendo Switch 2版が追加された。同じ日付でSteam側にも「Post Release Patch 7」が配信されていて、Steamのニュース欄に並ぶ更新はそこで止まっている。作品としては手が入り続けていたわけで、評価が振るわなかったから畳んだ、という単純な話ではないんだよね。今回の引き金になったのは発売済みのタイトルではなく、まだ誰も知らない次の企画のほうだった。
| 作品 | 販売 | 状況 |
|---|---|---|
| Hyper Light Drifter | Heart Machine | 2016年発売・完結済み |
| Solar Ash | Annapurna Interactive | 2021年発売・完結済み |
| Hyper Light Breaker | Arc Games | 早期アクセスのまま開発停止 |
| Possessor(s) | Devolver Digital | 2025年11月発売、Switch 2版あり |
Kickstarterで2万7,000ドルを募ったところに60万ドルが集まった13年前から数えて、Heart Machineが自社パブリッシングで出した作品は最初の1本だけ。あとの3本は、いずれも別のパブリッシャーの資金に乗って形になっている。今回止まったのは、その仕組みそのものだった。
Steamの『Hyper Light Breaker』のページには、いまも「当面のあいだ」という留保だけが貼りついたまま残っている。
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