個人開発MMO「SpiritVale」早期アクセス開始 デモ95%から一転、初日は「賛否両論」に
オーストラリア・メルボルンの開発者がほぼ一人で組み上げたMMORPGが、7月15日にSteamで早期アクセスを開始したにゃ。「SpiritVale」——Kickstarterでは目標の約4.8倍を集め、無料デモは95%の高評価。前評判だけ見れば、今年のインディーMMOでいちばん幸せなスタートを切れるはずだった。
ところが翌16日時点、Steamストアページのユーザーレビューは736件で「賛否両論」、好評率は49%。デモ版が339件・95%(「非常に好評」)を維持しているのと比べると、落差はかなり大きい。何が起きているのか、公式の情報から辿ってみるにゃ。
ラグナロクオンラインの手触りを、一人で組み上げた


開発・販売はBaikun Interactive。中心にいるのはメルボルン在住のPhil Yum氏で、ボランティアのアーティストやモデレーターが制作を支える体制だという。ストアの紹介文は「クラシックRPGに影響を受けたクラス制アクションMMO」。開発者が影響元として挙げているのはラグナロクオンラインだ。
カード220枚と33のアーティファクトセット
基本クラスはAcolyte、Mage、Summoner、Knight、Warrior、Scout、Rogueの7種。そこへ220枚を超えるカードと33のアーティファクトセットを組み合わせて、自分の型を作っていく。世界は30以上のマップで構成され、230体超のモンスターと20体以上のワールドボスが待つ。

早期アクセス初日に配信された0.30.0のパッチノート(Steamニュース)を見ると、ギルドシステム、オークションハウス、露店(Vending Stalls)、チャットルーム、コントローラーの照準改善、そして15言語のローカライズ追加と、盛り込みっぷりはなかなかのもの。「サーバー地域をクラスタとして扱う」「スケーラビリティのためのサーバーアーキテクチャ大幅改善」という項目まで、ちゃんと並んでいたにゃ。

「サーバーが落ちていたら、気長に待ってて」
その改善項目が、いちばん皮肉な形で試されることになった。開発チームは早期アクセス開始の告知を「ついにこの瞬間が来ました!」と喜びいっぱいに書き出しているのだけど、その締めくくりの一文がこれだった。
If servers are crashing, be patient!
(サーバーが落ちていたら、気長に待ってて!)
実際、初日の低評価レビューはラグと接続不良の話でほぼ埋まっている。「高pingでラグくて、人が多すぎる。今の状態では15ドルの価値はない」「死ぬと動けなくなる。ポータルを通っても、ワープを使っても動けなくなる。設定の『スタックした』を使っても、やっぱり動けない」——プレイ自体を諦めた人の声が目立つにゃ。


面白いのは、怒っている人の多くがゲーム本体は褒めていること。「ゲームは素晴らしい、ラグナロクオンラインみたいだ。でも最高のMMORPGでも、人がプレイできなければ意味がない」という一文が、今の空気をよく表しているにゃ。
無料になるはずだった1,500円
もうひとつ、レビュー欄に燻っているのが価格の話。2025年の時点でSpiritValeは「基本無料+見た目課金」の作品として紹介されていた。それが早期アクセスでは1,500円(14.99ドル)の買い切りに変わり、しかも見た目・利便性のショップは残っている。「一度払うのは構わない。基本無料+コスメ課金も構わない。でも両方くっつける必要ある?」という書き込みがストアの掲示板に立つくらいには、腑に落ちていない人がいる。

Kickstarter自体は7月2日に終了し、3,066人から357,436オーストラリアドルを集めている(目標は75,000豪ドル)。お金は集まった。ただ「5倍集めておいて有料化した上にサーバーがこれか」という文脈で語られてしまうと、成功が逆風に回ってしまうにゃ。
バランス調整に怒っている支援者もいる。0.30.0ではスキルダメージカードと武器属性カードが削除され、Siphonのスケーリングが下方修正、必要経験値は増え、エッセンスやボスクリスタルのドロップ率は下がった。プレイテストで組み上げたビルドが消えた人にとっては、なかなか重い初日だったはず。
動作環境は控えめ、日本語はテキストのみ
ここは一項目ずつ確認しておくにゃ。特に音声まわりは要注意で、Steamの言語表ではフルオーディオ対応の言語がひとつも無い。日本語対応は、インターフェースと字幕(テキスト)まで。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配信開始 | 2026年7月15日(早期アクセス) |
| 価格 | ¥1,500 / $14.99(買い切り・月額なし) |
| 対応プラットフォーム | Windowsのみ(Mac・Linux非対応) |
| 対応言語 | 日本語含む18言語(インターフェース・字幕のみ/音声対応は全言語なし) |
| 最低動作環境 | Windows 10 / Core i5 / RAM 4GB / GTX 660・Radeon HD 7870 / DirectX 11 / 4GB |
| 推奨動作環境 | Windows 10 / Core i7 / RAM 4GB / GTX 1060以上 |
GTX 660が最低ラインというのは、2026年の新作としてはかなり優しい部類。要求スペックの低さは、そのまま「人を集める設計」でもあるにゃ。


これから6〜12か月
Baikun Interactiveは早期アクセス期間を6〜12か月と見込んでいて、その間にクラス、バイオーム、ダンジョン、ボスの追加とインターフェースの調整を進めるとストアページで説明している。
サーバーの詰まりは、直れば評価が戻る種類の問題にゃ。一人で作ったMMOに想定を超える人数が押し寄せた、というのは失敗というより計算違いに近い。ただ、有料化で「とりあえず触ってみる」層を締め出した状態で初日の印象を落としたぶん、取り返す猶予はあまり長くない。49%という数字が今週どっちへ動くかで、この作品の一年が決まりそうな気がするにゃ。
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