Ubisoft Connectを起動せずSteamで遊べる新方式、『失われた王冠』で先行テスト
『プリンス オブ ペルシャ 失われた王冠』のSteam版に、ゲーム本体とは別の小さなプログラムがひとつ増えている。Steamのアプリ情報に載っている名前は「Ubisoft Connect Services」、種別は「ツール」、アプリIDは4099820。DirectXなどのランタイム類と同じ「共有インストール」の枠で、本編と一緒に入ってくる作りになっている。
Ubisoftのゲームを買った人が何年も文句を言い続けてきたのが、「Steamで起動したのに、その手前でUbisoft Connectが立ち上がる」という二段構えだった。その二段目を外すための仕掛けが、まずこの1本で動き出している。
アプリID 2751000にUbisoft Connect用デポが含まれる
Steam側のアプリ情報を見ると、『失われた王冠』(アプリID 2751000)には本編のデータとは別に、Ubisoft Connect Servicesから引いてくるデポがぶら下がっている。共有インストールの指定が付いているので、扱いとしてはSteamworksの共通ランタイムと同じ。ライブラリに独立したアプリとして並ぶわけではなく、ゲームの一部として静かに同居する。
Ubisoft自身の説明は、Steam上のゲーム所有者向けの投稿に置かれている。クロスセーブ(進行データの持ち越し)、クロスプレイ、チャレンジや報酬といったConnect側の機能はそのまま使えるようにしたうえで、Connect PCランチャーのインストールも起動も要らなくする、というのが趣旨。これを「第一歩」と位置づけ、今後はほかのSteam版タイトルへ段階的に広げていくとしている。
ただし、この投稿はストアの公開ニュース欄には並んでいない。外からストアページのニュース一覧を開いても出てこず、ゲームを持っている人のライブラリからしか読めない。だから大々的な発表というより、テストの案内が対象タイトルの持ち主にだけ届いた、という温度感に近いにゃ。
ここは取り違えやすいところ。ストアページの表記は今も「サードパーティーのアカウントが必要: Ubisoft Account(Steam アカウントとのリンクに対応)」のままで、DRMのDenuvo Anti-Tamperも据え置きになっている(Steamストアページ)。無くなるのは常駐するランチャーであって、アカウント制そのものではない。
『失われた王冠』のSteam版は2024年8月8日から配信されていて、価格は4,180円。日本語はインターフェースと字幕に対応しているが、音声は非対応で、フルボイスが用意されているのは英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・ペルシャ語の5言語だけ。開発はUbisoft Montpellier。



歓迎より先にシージ10年分の認証エラーが並んだ
この話題が回ってきたr/Gamesのスレッドを上から追っていくと、真っ先に伸びていたのは新しい仕組みへの期待ではなく、Connectに何度も止められてきた記憶のほうだった。
10年遊んできた『レインボーシックス シージ』で、急に「所有権の認証に失敗しました」が出るようになった。これで直ってくれると助かる。別のアサシン クリード作品も起動直後の画面から先へ進まなくて、返金してもらったところ。
自分は『サウスパーク』のやつで同じ目に遭った。あれ以来、Ubisoftのゲームは買っていない。
不具合の話はアカウント側にも及んでいて、しばらく放置していたUbisoftアカウントに海外からのログイン通知が溜まっていた、という報告や、設定まわりが自力ではどうにもならなかったという声も並んだ。
なぜか自分のUbisoftアカウントの国がジンバブエになっていて、通貨はユーロ。設定画面からは変えられないのでサポートに連絡したら、4日待たされた末に「自動で決まるので変更できません」と返ってきた。
これには別の人が公式のヘルプ記事を示して「変えられるはず」と返している(Ubisoftアカウントに紐づく国の変更について)。最初の人も「何年も触っていなかったから、帰ったら試してみる」と応じていて、サポートの案内と公式のヘルプが食い違っていた形になる。
もっとも、全員が地雷を踏んできたわけでもない。
自分は一度も困った覚えがない。Steam以外のランチャーの中では、いちばん引っかからない部類だと思っている。
面白かったのが、話の出どころを自分で確かめにいく流れ。所有者にしか読めない投稿だから、当然こうなる。
リンクされている元のページ、誰か見られる? Steamへのリンクみたいだけど自分は開けない。『失われた王冠』のストアページにもそれらしい記載が見当たらない。
出すのが早すぎたか、直前に何か見つかったかで、更新はいったん巻き戻されているように見える。ただ「Ubisoft Connect Services」への参照そのものは確かに存在する。
こっちのライブラリにも入っている。
実際に確認できる範囲で言うと、公開のニュース欄からその投稿は読めない。一方で、共有インストールのデポとして本編に紐づいているのはSteam側のアプリ情報にはっきり残っていて、ツールの存在自体は疑いようがない状態にゃ。
歓迎ムードにいちばん冷や水を浴びせていたのが、この論点。ランチャーの窓が消えても、Ubisoftアカウントへサインインする画面が残るなら、手間はほとんど減らないのでは、という指摘だ。
ランチャーの部分は確かに無くなる。でもUbisoftアカウントへのログインを求めるオーバーレイは残るはず。だから「ログインの手間がひとつ減る」わけじゃない。
そもそもなぜログインが要るのか分からない。SteamとUbisoftのアカウントはもう紐付いているんだから、Steamで認証されている時点で向こうも済んでいるはずでは。
後者には自己補足も付いていて、Ubisoftアカウントに他社アカウントでサインインする仕組みで選べるのはPSN・Xbox・Facebookに限られる、という話だった。ストアページに「サードパーティーのアカウントが必要」と書かれたままなのも、そのあたりと地続きになっている。
そもそも前提から疑う声もあった。
ずっと分からない。別のランチャーが立ち上がるのは問題で、ログインは問題じゃないのか。それならUbisoftのランチャーから直接起動すればいい話では。
とはいえ、方向としては悪くないという受け止めも確かにある。距離を置いていた側が、少しだけ様子を見る気になった、くらいの温度で。
やっとか。まだやることは山ほど残っているし、今のところ『失われた王冠』で試しているだけ。それでも、また買ってもいいかと考える程度には近づいた。1年後にもう一度見に来る。
「For Honorが直近のアップデートで動かなくなった」という別の話題が同じフィードのすぐ上に流れてきて複雑な気分になった、という書き込みもあり、全体としては期待と警戒が半々といったところ。この仕組みが入っているSteam版のUbisoftタイトルは、いまのところ1本だけだ。
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