Steam『4Story』の名前が「**」に、所有者もダウンロード不可――Redditで所有権めぐり議論
ライブラリに並んでいるはずのタイトル名が、アスタリスク2つの「**」だけになっていた。アイコンもバナーも無く、ストアページを開いても中身が空。そして何より、ダウンロードができない。
Reddit の r/Steam に投げられた相談は、そんな話から始まった。投稿主が挙げたのは、基本プレイ無料のMMORPG『4Story: The Original』。「ストアから取り下げられたゲームがライブラリに残り続けるのは知っている。でもこれは話が違う」として、Steamの規約や配信契約でこれは許されるのか、開発元や販売元は所有者の手元から作品を取り上げられるのか、と質問を投げている。返ってきたのは、擁護と困惑と、それぞれが「失った1本」を語る声が入り混じったスレッドだった。
タイトルは「」、ヘッダーは460×215の黒一枚
まずは実際どうなっているのかを確かめた。Steamのストアページを見ると、タイトル欄には本当に「**」とだけ入っている。コミュニティハブの見出しも同じ。スクリーンショットも、動画も、対応言語の表記も丸ごと無くなっていて、ヘッダー画像は460×215ピクセルの真っ黒な1枚に差し替えられていた。購入やインストールの枠はどこにも無い。地域によっては「この商品は利用できません」と表示されるという報告もある。
開発・運営はZemi Interactive、Windows向けに2025年6月から配信されていた作品で、原作は2007年に韓国で始まったMMORPGだよ。欧米では長くGameforgeが運営してきたシリーズで、下の画面はその公式サイトで公開されているもの。


ページに残っているのは、サービス終了の告知文ひとつだけ。
大変残念ながら、『4Story: The Original』のサービス終了をお知らせします。
ゲームの所有権がGameforgeへ移ったことにより、当社ではサービスを継続できなくなりました。新規プレイヤーの受け入れはすでに終了しており、ゲームサーバーは2026年10月20日をもって恒久的に停止します。
既存のプレイヤーはサーバー停止までプレイを続けられますが、停止後はゲームにアクセスできなくなります。
Steamに掲載されている終了告知より・日本語訳
サーバーが止まるのは10月20日。つまり、まだ1か月ある。告知の文面では「既存のプレイヤーは停止までプレイできる」ことになっているのに、その手段であるファイルのほうが先に無くなっている、というのが投稿主の訴えだった。
スレッドで最初に落ち着いた指摘を入れたのは、事情を知っている人だった。
基本無料のMMOだった『4Story』だね。だから少なくとも、お金を払って買ったものが消えたわけじゃない。もう一度遊びたいなら、数は多くないけど非公式サーバーがいくつかあるみたいだ。
続いて、仕組みの話に踏み込む声。
Valveが実際に誰かのライブラリからゲームを取り上げるのは、きわめて珍しい。取り下げのあとに開発元や販売元がSteamのサーバーからファイルを消すことはできて、そうなると所有していてもダウンロードできなくなる。こっちのほうがずっと頻繁に起きている。
ここは裏が取れる部分にゃ。Valveがパートナー向けに公開している「Removing a product from Steam」という文書には、取り下げたあとの扱いがはっきり書かれている。
リタイアしたゲームはプレイヤーのSteamライブラリに残り、そのプレイヤーはダウンロード・インストール・起動を続けられます。
ゲームのストアページはアクセス可能なまま残りますが、ストア内の一覧からは外れます。
Valveのパートナー向け文書より・日本語訳
文書が描いているのは「買ったものは残る」という姿で、今回起きていることはそこから外れている。ただしSteamサブスクライバー規約の2.Aは「コンテンツおよびサービスは販売ではなくライセンスされるもので、ライセンスは権原や所有権を与えない」と定めていて、こちらを読むかぎり、手元に残り続けることが約束されているわけでもない。同じプラットフォームの2つの文書が、微妙に違う方向を向いている。
4StoryのIPはGameforgeへ渡っていた
なぜこんな消え方をしたのか。ヒントは、同じ開発元が運営する別タイトルのお知らせ欄にあった。Zemi Interactiveは8月に補足の告知を出している。
『4Story: The Original』を終了した理由について説明します。4Storyの知的財産(IP)がGameforgeに売却されたため、サービスを続けることができなくなりました。
つまり開発元の手元には、もう「4Story」という名前もロゴも残っていない。ストアページのタイトルが「**」になり、バナーが黒一色に置き換わったのは、権利上その名前と絵を出せなくなったからだとみられる。ライセンス自体を取り消すのではなく、中身だけを空にして名前を伏せた、というのが実態に近い。スレッドでも同じ読み筋が出ていた。
引っかかるのは、彼らが持っているライセンスを取り消したわけじゃない点。名前もロゴもバナーもファイルも消すアップデートを投げたように見える。開発元の判断としては、正直かなり妙だ。
引き取った側のGameforgeは、8月21日付の公式ニュースで、買収後はソースコードやツール、アセット、ドキュメントの把握を進めている段階だと説明している。「現状を保存するために4Storyを取得したわけではない」として、機能や時期の約束はまだ出せないという書き方だった。実際の成果として挙がっていたのは、パーティ人数の上限を外して5対5のバトルグラウンドを動かせるようにした、といった技術面の話。
一方のZemi Interactiveは、今年2月から別のMMORPG『Iverian Wars: Craxion vs Defugel』を基本無料で配信している。4Story終了のお知らせには、課金していたプレイヤー向けにこちらで使える補償コードを配る案内も添えられていた。IPの移転には含まれておらず、運営は続くとのこと。


スレッドの後半は、話が「自分の場合はどうすればいいのか」へ移っていった。
すでにインストール済みなら遊べるままだよね? じゃあ念のため20TBのHDDでも買って、全部落としたまま残しておくべきなんだろうか。皮肉じゃなく、本気で聞いている。
それも確かに一つの手ではある。オンライン接続が必須でない作品なら、それで通用する。
ここから、常時接続への不満が噴き出す。
「オンライン接続が必要」というあれは本当にひどい。とくにシングルプレイのゲームで。なぜあんなものを入れるのか分からない。
好きなタイトルではあるけど、『Age of Empires II』のリメイクはLAN対戦にもオンラインが要る。
作品によるとしか言えない。Second Extinctionが分かりやすい例で、開発元がサーバーを止めた時点で遊べなくなった。
Second Extinctionは2023年に販売が終了し、その際オフラインモードを追加する余力が無いと説明されていた恐竜シューター。『4Story』も常時接続のMMOだから、手元にファイルを残せていたとしても、10月20日を過ぎれば同じ結末になる。バックアップは有効な手だけど、効く相手と効かない相手がはっきり分かれる。
終盤は、それぞれの「もう起動できない1本」を挙げる流れになった。
失ったのはNosgothとHeroes & Generalsだけ。どちらもサーバーが止まったから、落とし直しても意味がない。無料だったし、実害は無いといえば無い。Steamもこの手のタイトルは、ライブラリに置いておく意味が無いと見ているのかもしれない。
Nosgothが恋しい。
同じく。非対称型のPvPはそこまで得意じゃないんだけど、あれは課金まわりがきつくなる前は本当に面白かった。
まだ遊べるのを知ってる? 小さいけど活発なコミュニティがある。
Nosgothは『Legacy of Kain』の世界を使った基本無料の対戦アクションで、2016年5月末にサーバーが停止している。10年経っても名前が挙がるあたり、惜しまれ方が分かる。
Valve側の判断に触れた声もあった。
発売初日に買ったのに、あとからValveの側で強制的に返金されて、同意なく手元から消えた。インストールはまだ残っているのに、ボタンは「購入」に戻っている。
マルウェアを配った場合も消される。それで削除されたゲームはいくつかある。
今回の件を整理すると、Valveがライブラリから取り上げたわけではなく、配信元が中身を空にした、という形になる。IPが別の会社へ渡った以上、元の運営に取れる選択肢が限られていたのも確かだろうね。ただ、Valve自身が「リタイア後もダウンロードできる」と書いている横で、名前も絵もファイルも消えたページが放置されているのは、やはり奇妙な光景にゃ。
10月20日にサーバーが止まったあと、ライブラリに残るのは「**」という2文字だけになる。
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