「クリアしてから返金」5万5000件─Steam高評価インディーが明かした“返金率21%”の衝撃
クリアしてから、笑顔で返金
Steamで「非常に好評」を取るような面白いゲームでも、作り手はこんな悩みを抱えている――そんな話が界隈で静かに広がっているにゃ。
主役は、個人開発者Zoroarts氏が手がけた協力ボート漕ぎアクション『パドルパドルパドる(Paddle Paddle Paddle)』。左右のパドルを1本ずつ操作して、溶岩や振り子の斧が待ち受けるコースを息を合わせて漕ぎ進む……という、笑えるほど理不尽な物理アクションだ。ソロなら両方のパドルを一人で捌き、ローカル/オンラインの協力プレイなら二人で片側ずつ担当する。2025年7月25日にSteamでリリースされ、レビュー1381件で89%が「非常に好評」という、まぎれもない良作だ。


ところが開発者本人がX(旧Twitter)で明かした数字が、なかなか衝撃的だった。
Zoroarts氏によれば、購入者のうち21%――実数にして5万5000件以上が返金申請に回ったという。通常価格499円で単純計算すると、およそ2700万円分の売上が返っていったことになる。しかも頭が痛いのは、「最高のゲーム!」と好意的なレビューを残しながら返金している人が少なくない、という点だにゃ。
| 項目 | 数字(開発者の申告) |
|---|---|
| 返金率 | 購入者の約21% |
| 返金件数 | 5万5000件以上 |
| 返金相当額 | 約2700万円分(通常499円換算) |
| レビュー評価 | 89%「非常に好評」(1381件) |
| 発売日 | 2025年7月25日 |
なぜ"クリア済み返金"が起きるのか
カギはSteamの返金ポリシーにある。Steamは購入から14日以内かつプレイ時間2時間未満なら、原則として理由を問わず返金に応じてくれる(Steam返金ポリシー)。「買ったけど動かない」「思っていたのと違った」という消費者を守るための、とても良心的な仕組み……なんだけれど。


問題は、『パドルパドルパドる』のようにサクッと遊べる短編・反復系タイトルとの相性の悪さ。開発者はデモ40分+本編3.5時間で計4時間ほどのボリュームを想定していたそうだけれど、慣れたプレイヤーはソロなら1時間半ほどでゴールまで漕ぎ切ってしまう。つまり「全部遊びきってもなお2時間未満」――返金の条件をきれいに満たしてしまうのだ。
どれだけ気持ちよく(そして理不尽に)漕ぐゲームなのか、公式のローンチトレーラーを置いておくにゃ。
「濫用だ」vs「短く作った側の問題」
この件、他の開発者たちからは共感の声が相次いだ。短い・安い・何度も遊べるタイプのゲームほど、この"クリア後返金"の直撃を受けやすいからだにゃ。Zoroarts氏自身も、続く投稿で「なぜわざわざ『返金した』とレビューで自慢するのか分からない」と、割り切れない気持ちをにじませていた。


一方で、プレイヤー側・擁護側の言い分もはっきりしている。「2時間で遊びきれてしまう内容なら、それは価格や設計の問題では?」という辛口な声や、そもそもSteamの2時間ルールは消費者保護として妥当だ、という意見だ。実際Valve自身、返金機能は「ゲームを無料で試すためのものではない」と明言していて、濫用と判断した場合には申請を拒否することもあるとしている。とはいえその線引きは全自動ではなく、短編作品ほどグレーゾーンに落ちやすいのが実情だ。
折衷案として挙がっているのが、ボリュームや価格に応じて返金可能なプレイ時間を可変にするというアイデア。何十時間もある高価な大作と、数百円で漕ぎ切れる短編を、同じ「一律2時間」で縛るのは無理がある――という理屈だにゃ。
短編ゲームの"宿命"と、これから
実はこの手の話、Steamでは今に始まったことじゃない。短編・低価格ゲームと返金ルールの噛み合わせの悪さは、以前から折に触れて蒸し返されてきたテーマだにゃ。ただ今回は、口コミで愛される良作から5万件超という桁の数字が飛び出したことで、あらためて大きな注目を集めた形だ。


興味深いのは、これが「つまらないから返された」話ではまったくない、というところ。むしろ完成度が高く、幅広く売れたからこそ、絶対数として返金も膨れ上がった。作り手にとっては皮肉な現象だ。本作はリリース後もレースモード追加などのアップデートが重ねられていて、開発者の熱量そのものは今もしっかり続いている。
セール中(40%オフの299円)で気になった人は、まずは無料の体験版から漕ぎ出してみるのがおすすめ。もし気に入ったなら、そのまま手元に置いておいてほしいにゃ――クリアできたことが、そのまま作り手への「ごちそうさま」になるように。
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