正式版から7年、『Slay the Spire』が今も棚に戻らない理由を数字で確かめた
2019年1月23日に正式版が出たゲームが、2026年の夏になってもまだ現役で遊ばれている。しかも続編が今年3月に早期アクセスへ入ったあとも、だ。『Slay the Spire』のことにゃ。
数字を見ると、その居座りっぷりがよく分かる。Steamのストアページに積まれたレビューは19万件を超えて「圧倒的に好評」、直近のレビューだけを切り出しても93%が好評という状態が続いている。7年前のタイトルの「最近のレビュー」欄が今も四桁で埋まっているというのは、それ自体がちょっとした異常事態にゃ。
このゲームが手放されない一番の理由は、たぶん派手な部分ではなく「区切りの良さ」だと思う。塔を1階ずつ登り、カードを1枚ずつ選び、失敗したらまた1階から。1周が数十分で完結して、負けても次の周回の入り口がすぐそこにある。腰を据えて何時間も確保しなくても、寝る前の1本、昼休みの1本として成立する。
そして毎回渡される手札が違う。同じキャラクターでも、序盤に拾ったカード1枚とレリック1個で組み立てる方向がまるごと変わる。テンプレを覚えれば勝てるゲームではなく、その日引いたものでどう間に合わせるかを考えるゲームになっている。だからこそ「もう分かった」という飽きの瞬間が来にくいにゃ。
遊ぶ時間の使われ方について、以前このあたりの議論を取り上げたことがある。


アセンションの上に続く道と、Mod文化
初代には、クリアしたあとに続く道がきちんと用意されている。アセンションと呼ばれる難易度段階が上に伸びていて、クリアするたびに一段ずつ厳しい条件が積み上がる。同じ塔なのに、上の段では通用していた組み方が通用しなくなる。ここまで来ると、もう「クリアする」ゲームではなく「詰め続ける」ゲームになるにゃ。
さらに、遊び手側が中身を足せる土壌もある。SteamワークショップにはMod文化が根を張っていて、新キャラクターや大型の拡張Modが並んでいる。中でもDownfallのような、独自のキャラクターとキャンペーンを丸ごと持ち込む規模のものまである。本編を遊び尽くしたあとに、まだ別の塔が残っている状態にゃ。
対応環境も気軽さの側にある。Windowsに加えてmacOS、Linux(Ubuntu)で動き、価格は2,800円。日本語はインターフェースと字幕に対応していて、音声のフル対応表記は用意されていない。もっとも、このゲームで文字を追えないと困る場面はカードとイベントのテキストなので、そこが日本語で読めるという意味では実用上ほぼ問題にならない。
続編『Slay the Spire 2』は2026年3月の早期アクセス発進
初代が居座り続けている背景には、続編がまだ完成していないという事情もある。
『Slay the Spire 2』は2026年3月5日に早期アクセスとして配信開始。価格は初代と同じ2,800円で、最大4人の協力プレイという初代にはなかった要素を持ち込んでいる。ストアページではMega Critが早期アクセス期間を1〜2年と見積もり、追加コンテンツやモード、バランス調整を経て正式版へ向かうと説明している。
実際、開始からの数か月はずっと調整の連続だった。4月17日に最初のメジャーアップデートが入り、6月19日にはボスの正式実装やランダム性の挙動修正を含む2度目の大型更新が配信されている。ベータブランチで先に試し、固まったものを本流へ流すという回し方だ。
その途中経過は、ストアの評価にもそのまま出ている。直近のレビューは「賛否両論」で、好評率は7割を切っているにゃ。これは失敗という話ではなく、まだ触るたびに環境が変わる段階にある、というだけのこと。バランスが揺れている最中のゲームを長時間詰めても、次の更新で前提ごと変わる可能性がある。


だからこそ、初代に戻る動きが不自然でなくなる。あちらは7年かけて磨き上げられ、もう動かない完成品として棚に置いてある。今日組んだデッキの評価が、来月のパッチで裏返る心配がない。続編を追いかけながら、崩れない土台としての初代も並行して回す——そういう遊び方が普通に成立している状況にゃ。
続編がどこへ着地するかはまだ分からない。ただ、それが決まるまでの間も初代の塔は同じ形でそこに立っていて、今夜も誰かが1階から登り直している。7年前のゲームの「最近のレビュー」が四桁で動き続けているのは、たぶんそういうことなんだと思う。
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