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「正当に評価されてる」と挙がったゲームを、10年後のSteamの数字で答え合わせしてみた

投稿: 2026/08/02by 編集部9分で読めます
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「過大評価」でも「過小評価」でもなく、世間の評判と中身がだいたい一致していると思うタイトルを挙げる——掲示板にそんなお題のスレが立ったのは、2016年12月25日の夜のことだった。クリスマスにやる遊びではない気もするけれど、書き込みは静かに伸びていった。

面白いのは、そのスレがいま読み返せる状態で回ってきたことにゃ。当時「これは正当な評価だと思う」と挙げられた名前は、10年近く経ったあとも同じ場所に立っているのか。売上とレビュー比率という、当時は誰も持っていなかった答え合わせの道具で追いかけてみた。

「熱烈なアンチも信者も居らんゲームは、大体正当に評価されとる」

スレの序盤、まだタイトルが単語で投げ込まれていた段階で、いきなり核心みたいな一言が出てくる。

熱烈なアンチも信者も居らんゲームは大体正当に評価されとるやろ。やっとる奴が極端に少ないゲームは偏るやろうけど

これに近い温度の書き込みが、前後にいくつも並んでいる。

正当評価って難しいよな

やってきたゲームの大体は正当評価だろうから別に…

つまりこのスレ、お題に答えているようでいて、途中から「正当とは何を指すのか」を手探りしている。声の大きい層がいない作品ほど評価が落ち着く、という指摘は、レビューサイトの点数分布を眺めているとなんとなく肌感に合う。逆に、極端な少人数しか触っていない作品は、偏った少数意見がそのまま総意の顔をしてしまう。

その「落ち着いた合意」の実演みたいなやり取りが、『ワンダと巨像』のところで起きている。

ワンダと巨像。ICOはそうでもないけど、ワンダは楽しかったわ

わかる。巨像の倒し方を探すのも楽しいし、倒し方を見つけてからのタイムアタックも楽しい

とてつもなくデカいモンスターと相対したときの、あのなんとも言えん浮遊感が大好きや

褒め方の中身がきれいに一致していて、誰も「そこじゃない」と言わない。逆方向の合意もある。

グランディア。過小評価だなんだ言う奴いるけど、あんなもんや

そして、この遊び自体の難しさを一行で片づけた人もいた。

シリーズモノで正当な評価は難しい

続編が出るたびに前作との比較で採点が上下し、シリーズ全体の総和が個々の作品の評価を汚染する。ここから先で挙がる名前は、まさにその難しさに当たっていくことになる。

期待だけが高かった宇宙は、8年かけて85%まで戻った

スレに、いま読むと少し切ない一行がある。

ノーマンズスカイとかいう期待だけはめっちゃ高かったゲーム

『No Man's Sky』のSteam版が配信されたのは2016年8月12日。このスレが立ったのはその約4か月後で、まだ「期待だけ高かった」が過去形で語れる最悪のタイミングだったにゃ。発売前に語られた要素の多くが入っていない、という失望がレビュー欄に積み上がっていた時期にあたる。

で、2026年8月現在。Steamの全体レビューは41万2858件のうち35万836件が好評、比率にしておよそ85%で、ステータスは「非常に好評」になっている。開発元のHello Gamesが有料DLCを挟まずに大型無料アップデートを重ね続けた結果で、直近では2026年5月27日に「The Swarm」アップデートの映像が公開されている。

ここで効いてくるのが、さっきの「正当評価って難しいよな」だ。2016年12月の時点で下された評価は、その時点の中身に対しては正しかった。でもSteamのレビューは古い書き込みも新しい書き込みも同じ器に溜まり続けるので、8年かけて中身が変わると、器の中の比率もゆっくり書き換わる。正当かどうかは、いつ測ったかとセットでしか言えないにゃ。

「足して2で割ると、あのゲームの感想になる」

スレでいちばん唸ったのが、『メタルギアライジング リベンジェンス』を挙げた書き込みだった。

賛否両論で、実際叩いてる側の言う事と褒めてる側の意見を足して2で割ると、大半の人が感じたあのゲームの感想になる

賛否が割れていること自体が正しい状態、という主張。すぐに具体的な賛否が返ってくるのも律儀にゃ。

面白いけど短いで終わりやろ、あれ

キャラはクセが強すぎ、ストーリーはキャラが無理ならクソと化すあたりもあるで

同じ論法が、もう一本のメタルギアにも向けられていた。

MGSVは賛否両論で、いつまでも評価が決まらない状態が正当な気がするわ

シリーズで一番面白かったわ。ちゃんと完成させなかったのが残念

ところが数字を見にいくと、この「決まらないのが正当」はきれいに裏切られている。Steam版『METAL GEAR RISING: REVENGEANCE』は8万8594件のレビューのうち8万5075件が好評で、ステータスは最上位の「圧倒的に好評」。おおよそ96%だ。『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』も10万7486件中9万8666件が好評で「非常に好評」、こちらは約92%になる。

ただ、これをもって「賛否両論という見立てが間違っていた」と断じるのは早い。Steamのレビューは、その値段でその作品を選んで買った人が書くものにゃ。物語の畳み方に納得がいかないという不満と、アクションとして手触りが良いという満足は矛盾なく同居できて、親指を上に向けるボタンはその両方を1票に潰してしまう。賛否が割れていたのは作品の「どこを見るか」であって、買ってよかったかどうかではなかった、ということだと思う。

移植と復刻で、評価はもう一度ひっくり返る

スレで素直に褒められていたタイトルほど、そのあと数字が動いていて面白い。

評価されててその通り面白かったのは、クロノトリガーかな

その『クロノ・トリガー』、Steam版が配信されたのは2018年2月27日で、スマートフォン版を土台にした画面まわりと操作性に不満が集中し、レビュー欄は荒れた。スクウェア・エニックスはこれに対してPatch #1を2018年4月10日に、Patch #5を同年8月3日に投入し、ドット絵寄りの表示オプションやPC向けUI、キーコンフィグを追加していった。さらに2022年3月と2023年8月にも更新が入っている。現在の全体レビューは1万3357件中1万1783件が好評で「非常に好評」。作品の評価は最初から定まっていて、揺れていたのは移植の出来のほうだったにゃ。

スレで熱く推されていたのが『ニーア レプリカント』で、ここは反応も割れている。

ニーアレプリカントは、個人的にPS3和ゲーRPGの最高傑作やと思う

動きが苦手やわ

この「動き」の不満に手を入れたのが、2021年4月23日に出たリメイク版『NieR Replicant ver.1.22474487139...』だった。スクウェア・エニックスは2026年2月24日、同作の全世界累計出荷・ダウンロード販売本数が200万本を突破したと発表している(同時に『NieR:Automata』は1000万本を突破)。2016年当時、これを「最高傑作」と書いた人はかなり分の良い賭けをしていたことになる。

そして、スレで最も鮮やかに「正当評価」を証明していたのがこれ。

素人「ネタゲー」/玄人「ネタゲー」/外人「ネタゲー」

『メタルウルフカオス』についての書き込みにゃ。国も習熟度も超えて評価が一致している、というだけの三行だけど、実際そのとおりになった。原作は2004年の日本国内向けタイトルで、海外の熱心なファンが動画を通じて見つけたことが復刻につながり、フロム・ソフトウェアは2019年8月6日に『METAL WOLF CHAOS XD』を配信している。Steamの全体レビューは908件と規模こそ小さいが、764件が好評で「非常に好評」。なお日本語はインターフェイスと字幕の対応で、フルボイスに対応する言語は英語のみとなっている。

もうひとつ、答え合わせが早々に済んでいた声も拾っておく。

ベヨ2が神ゲー評価なのは正しいけど、WiiUやからあんまり売れてないのは勿体無い

『ベヨネッタ2』は2014年9月20日にWii Uで発売され、その約1年2か月後にこの書き込みが投げられた。実際にはこの1年ちょっとあと、2018年2月17日にNintendo Switch版が発売され、前作とセットで遊べる形になり、シリーズは『ベヨネッタ3』まで続いている。ハードごと沈むかに見えた評価が、移植でちゃんと拾い直された例にゃ。

こうして並べてみると、10年前のスレの見立てはおおむね外れていない。ただし外れていないのは「面白いかどうか」の部分で、「その評価が定まっているかどうか」のほうは、無料アップデートや移植や復刻によって、当時の想定よりずっと動く余地が残されていた。正当な評価は、下すものというより、後から追いつかれるものらしい。

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