PS新作ディスク終了の先にある「買えないゲーム」問題 配信停止を巡りRedditで議論
7月1日、PlayStation公式ブログに数行の告知が載った。2028年1月以降、PlayStation向け新作の物理ディスク生産をやめる、という内容にゃ。それから3週間あまり、反発はまだ収まっていない。
その騒ぎのなかで、r/Steamのスレッドが少し違う角度から刺していた。ディスクの話も大事だけれど、すでに「買えなくなった」ゲームのほうは何年も放置されたままじゃないか、という指摘だ。スレ主は、PCなら非公式な手段で何とかできてしまう一方、現行コンシューマ機では初期に買っていなければ手の打ちようがなく、全デジタル時代に入ればこの問題は無視できなくなる、と書いている。
ディスクを作るのをやめる、と公式ブログは書いた

告知の中身はごくそっけない。「消費者の嗜好とエンタメ産業全体が物理ディスクからデジタルへ移行し続けていることを受け、PlayStation向け新作すべての物理ゲームディスク生産を2028年1月から終了する」——以降の新作はPlayStation Storeと小売店でデジタル版のみ、というのがSony Interactive Entertainmentの説明にゃ。2028年1月より前に出た(出る)ディスク版には影響しない、とも明記されている。
反応は数字にはっきり出ている。カナダの小売業者PNP GamesのJade Pearce氏が同日に立ち上げた署名「Don't Kill the Disc」は、7月26日時点で34万筆を超えた。呼びかけ文は「次の世代が、借りるのではなく自分の遊ぶゲームを所有できるように」と書いている。
買えるうちに買え、が本当の話になっている
ディスクが無くなれば、購入経路はストアの棚だけになる。そしてその棚は、けっこうな頻度で片付けられる。
分かりやすい例が『The Lord of the Rings: War in the North』にゃ。Steamのストアページはいまも残っているのに、購入ボタンは無い。原作の権利まわりのライセンス期限が理由とみられるが、公式に説明が出たわけではない。2006年版『Prey』も2009年末を最後にSteamから買えなくなったまま、今日まで戻ってきていない。どちらも「すでに持っている人のライブラリからは遊べる」タイプの停止で、被害が見えにくいぶん、話題にもなりにくい。


配信停止された作品はキー転売サイトに流れ、値段が需要だけで決まるようになる。ここから先はスレッドの体感談なので数字は各自の観測だけれど、「以前は数ドルだった作品が三桁ドル」という話が複数出ていた。
87%が「買えない」
この話には裏づけになる調査がある。Video Game History Foundationがソフトウェア保存ネットワークと2023年7月に公開した調査では、米国で発売された2010年より前のゲームのうち、普通に買って遊べる状態にあるのは13.27%だけという結果が出た。残る86.73%は市場から消えている。


制度の側はどうかというと、動きは鈍い。米国著作権局は2024年10月、図書館やアーカイブが所蔵する絶版ゲームを遠隔でも利用できるようにする例外規定を認めなかった。欧州でも、129万4188筆を集めて2026年1月に提出された市民イニシアチブ「Stop Destroying Videogames」に対し、欧州委員会は6月16日の回答で法的義務化を見送り、2026年末までに業界の行動規範づくりを促す、という形にとどめている。つまり今のところ、買えなくなった作品を合法的に手に入れる道は、ほとんど広がっていない。
Redditの反応

スレッドで真っ先に伸びたのは、かなりストレートな一言だった。
物理版の新品も売らない、デジタル版も売らない。そうなった時点で、海賊行為は100%正当化されると思う。
そこからは道義的にセーフだし、半分合法みたいなものだよ。
ただ「半分合法」という言い方には、すぐ突っ込みが入った。
半分合法かどうかは怪しい。本当に見捨てられた作品を落として裁かれた例は聞かないけど、配布サイトのほうは今も次々に潰されているし、運営者は法的措置を受けている。
裁判にならないのは、落とした側が勝ちうるからだよ。著作権局は図書館・アーカイブ・博物館、時には所有者本人に対して、放棄されたソフトの技術的保護手段の回避を認める狭い一時的例外を定期的に出している。
補足しておくと、この例外は範囲がかなり狭い。図書館などの構内での利用は認められても、遠隔での提供までは認められていない——先に触れた2024年の判断がまさにそこだ。「国によっては完全に合法だ」という声もあったが、これも国ごとに事情がまるで違う。
値段の話に移ると、温度が一段上がった。
こういう作品は結構ある。びっくりしたのは『War in the North』で、あちこちのサイトで200ドルくらいになっていた。
デリスト作品の転売はずっとあったけど、この2〜3年で明らかにひどくなった。2年前に買ったときは平均30ドルだったし、当時3〜5ドルだった作品が今は数百ドルだ(2006年の『Prey』とか)。
だからリパックに走る人を責める気になれない。ゲーム保存が闇市になってしまった。
そのうえで、原因をどこに置くかで意見が割れた。
Netflixは一般社会から海賊行為をほぼ消しかけた。ソニーとマイクロソフトは、全力でそれを呼び戻そうとしている。
公平に言えば、作品を配信停止にすると決めているのは普通この2社じゃない。ディスクを殺すほうは別の話だけどね。
そもそもそれ以前から海賊行為は増えていた。配信サービスからの作品削除、値上げ、十数社への分裂で、2021年ごろから伸び始めていた。
最初の一文からして正しくない。Netflix全盛期にも「これは海賊版ではありません」系アプリのイタチごっこがあったし、音楽やゲームは勘定に入ってすらいない。
議論の落としどころは出ていない。ただ、ディスクが無くなること自体より、棚から降ろされた瞬間にその作品へ辿り着く道が消えるという構造のほうを問題視する声が、通して多かった。2028年1月を過ぎれば、その棚がすべてになる。
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