壁も天井も足場になる一人称パズル『He Who Watches』、Steamで95%好評——発売2日後に難易度を緩和
弓で掴んだブロックを床に置けば、そのまま床に落ちる。ここまでは当たり前。ところがそのブロックを天井まで引きずり上げて手を離すと、今度は天井に貼りついたまま止まる。
『He Who Watches』は、そういう理屈で組み上がった一人称視点のパズルゲームだよ。9月3日にSteamで配信が始まり、レビューは113件のうち108件が好評の「非常に好評」(9月14日時点)。作ったのはソロ開発者のBobby Vanden、パブリッシャーは『A Monster's Expedition』『Bonfire Peaks』を手がけたDraknek & Friends。価格は2,500円で、リリース記念の15%オフが効いて現在2,125円。この割引は9月17日に終了する。
配信開始に合わせて公開されたトレーラーが、ちょっと変わっている。いつものゲームプレイ主体の映像ではなく、開発者本人のナレーションが入った「解説」映像になっているんだ。重力の切り替わりは映像を流すだけだと伝わりにくい、というのが公式の投稿に書かれた理由。
弓は武器ではなく、ブロックを動かすための道具
手元にあるのは弓と、たった1本の魔法の矢。これで何かを倒すことはない。矢を撃ち込んでブロックを掴み、扉を開き、スイッチを作動させ、伸びる鎖を手繰って隙間の向こうへ自分を引き寄せる——全部パズルを解くための操作だと公式のプレスキットが説明している。一人称だけど移動はマス目単位で刻まれていて、狙ってジャンプする類のアクションは求められない。
そこに重力の切り替えが乗る。壁に移れば壁が床になり、天井に立てば天井が床になる。冒頭の話がここで効いてきて、掴んだブロックは「手を離した面」に貼りつくから、どの向きで持ち込むかが答えそのものになる。連鎖を組み立てて、さっきまで届かなかった場所へ道を通していく作りだね。



収録されているのは手作りの面が100以上、想定プレイ時間は10〜15時間。加えてシークレット探しの時間が別に要る。倉庫番(Sokoban)を3次元へ持ち出した変種、というのが公式自身の位置づけで、詰まった人向けに「遊べるヒントシステム」が用意されている。このヒントは今年5月の更新で世界の側に溶け込む形へ作り替えられ、同じタイミングで11言語が追加された。
言語まわりは項目ごとに見ておきたいところ。日本語を含む12言語に対応しているものの、Steamの対応言語表で印が付いているのはインターフェースの欄だけで、フル音声と字幕の欄は12言語すべて空のまま。制作にも宣伝素材にも生成AIは一切使っていない、という一文もストアページに明記されている。
「難しすぎる」に応えて、発売2日後に面を差し替えた

配信から2日後の9月5日、さっそくパッチが届いた。パッチノートの冒頭には「難易度について、みんなの声は届いている」とあって、詰まりやすい箇所をまとめて手当てした内容になっている。
- 「Carry」は、もう少し素直な解法に辿り着けるよう作り直し
- 「Shear Strength」で見つかっていた非想定の解法を封鎖
- 「Chamber of Duality」の「Release」をボーナスエリアへ移動(難易度の釣り合いを取るため)
- 「Chamber of Duality」「Chamber of Transport」の両方で、次へ進む扉が開くまでに必要な面数を1つずつ削減
ついでにポーズメニューのスライダーへ数値表示が付き、クレジットから漏れていたプレイテスター2名の名前も追加された。落とした名前を後から足しに戻るあたり、ソロ開発らしい距離の近さが出ているにゃ。
ゲームジャム優勝作から4年かけて完成させた
出発点は2022年のDungeon Crawler Jam。ここで1位を獲ったのがこの企画で、翌2023年4月には最初の15面(本編12面+隠しボーナス3面)を収めたデモが公開されている。
道のりは平坦ではなかった。当初は2025年秋の配信を掲げていたものの、2025年11月7日に延期の告知が出る。「自分の計画が甘かったのもあるし、ひとりで作っていると人生のほうが起きてしまう」と本人が書き、締め切りをトレーラーに焼き付けてしまったのは失敗だった、とも付け加えている。
流れが変わったのが2026年3月のパブリッシャー発表。Draknek & Friendsが付いたことを伝える投稿で、開発者は『A Monster's Expedition』と『Bonfire Peaks』を制作に入る前から好きだった作品として挙げていて、相性の良さを自分の言葉で説明している。
配信後には、開発の裏側を扱う動画も4本まとめて公開された。レベル設計用の自作ツール、Substance Designerによる手続き的マテリアル、自動テストの仕組み、プレイテストで集めたデータの分析——いずれもDraknek & Friendsの公式チャンネルで見られる。100面を手作りする作業が何に支えられていたのかが分かる内容で、パズルを解き終わった人向けの副読本みたいな位置づけだね。


動作環境はWindows 7以降(推奨はWindows 10)と、macOS Big Sur以降でApple M1以降。Linuxは対象外で、必要な空き容量は9GB。コントローラーにも対応している。
延期を詫びる投稿に、具体的な時期の代わりに「soon™」とだけ書いてから、実際に配信されるまでにかかったのは10か月だった。
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