個人開発の海賊オープンワールド『Kaperfahrt』発表、『Pirates!』後継を掲げ開発者がRedditで設計を議論
ドイツのソロ開発者が、2004年の名作『Sid Meier's Pirates!』が20年以上受け取れなかった“後継”を、たった一人で作ろうとしている。作品の名は『Kaperfahrt(カーパーファート)』、手がけるのはKleinod Games名義のソロ開発者だ。しかも本人はその構想をRedditのr/Gamesに投げ込み、集まった意見と一つひとつ言葉を交わしながら設計を詰めている最中だよ。
プレイヤーが手にするのは、小さなスループ一隻とひらけたカリブ海だけ。そこから海戦で他の船に斬り込み、奪った船はそのまま自分のものにできる。最大4隻を隊列に組んで一緒に走らせられるというから、身一つの海賊から艦隊を率いる存在へ、という上がり方をイメージしているんだと思う。
海には5つの勢力(house)が交易でしのぎを削っていて、プレイヤーがある港を封鎖すると、その影響で価格が地図の各地へ波及していく。さらにBlacklistと呼ばれる23人の名の知れた海賊船長がいて、それぞれ違う戦い方をする。世界を埋めるのは200人を超えるAI船長たちで、プレイヤーが近くにいようがいまいが、各々の目的のために動き、交易し、勝手に生きている——公式が掲げているのは、そういう“放っておいても回るカリブ海”だね。
配信は2026年12月2日にSteamで予定されている。価格はまだ公表されていない。対応言語は英語とドイツ語で、どちらも字幕だけでなく音声(フルボイス)まで対応する一方、日本語には対応していない。ここは触っておきたい人の判断材料になるところ。
現時点でSteamのストアページからはプレイテストへの参加登録ができる。10月のSteam Next Festでは体験版の公開も予定しているとのことなので、製品版を待たずに手触りを確かめる機会はありそうだ。

船を降りて陸上も歩ける
この作品がおもしろいのは、中身そのものより、開発者がRedditで設計の悩みを開いて見せているところにあるにゃ。『Pirates!』には、酒場のダンスや剣の決闘、歳を取っていつか引退する船長といった細かな仕組みがいくつもあった。その一つを、あるユーザーがこう切り出す。
ダンスも決闘も、老いていく船長も、当時は楽しかった。ただ実際の出来だけで言えば、遊んだ記憶のほうが美化されている部分もあると思う。後継を作るなら、あれをそのまま入れる?
これに別の人がこう応じた。
どれも“そのままで傑作”だったわけじゃない。でも懐かしく思い出されるのは、「自分は船の上だけの存在じゃなく、船を降りても生きている船長なんだ」という手応えをくれたからだと思う。だからアイデアは残して、実装は捨てればいい。
開発者の反応が、この一言に食いついた。
「アイデアは残し、実装は捨てる」。ここまで明快に言ってもらえたのは初めてだ。僕が追いかけているのはまさにその感覚——船を降りてもそこに“居る”船長なんだよ。ただ、それを成立させるのに世界がどれだけの出来事を“覚えて”いなきゃいけないのか、まだ答えが出せていない。
議論はそこから、具体的な仕掛けの話へ転がっていく。あるユーザーは、プレイヤーが最も打撃を与えた船長や交易勢力、逆にプレイヤーに最も損害を与えた相手を世界が記憶していれば、そこから自然に因縁が生まれるはずだと提案した。開発者はそこに、もう一段の問いを重ねる。
気づきは、何かが自分のところに“届いて”はじめて起きる。じゃあ、その因縁はどうやってこちらへ届く? 港で流れる噂か、自分の首にかかった賞金か。
戦闘についても温度差のある声が並んだ。「ダンスや決闘は小さなミニゲームで、そこまで思い入れはない。自分が好きなのはむしろ『Mount & Blade』に近い感覚だ」という人もいて、序盤はまだ勝てない相手が海にいる、という緊張感の話になった。開発者は「その“まだ手が届かない強さ”は、どこから来るべきだと思う? 単純に相手の船が大きくて武装が上なのか、それとも操る船長が自分より上手で、風を読み、こちらには取れない角度を保ってくるのか」と、設計の分かれ道をそのまま投げ返している。
名前とモデルには容赦なくダメ出しする
温かい設計談義ばかりではなくて、率直な注文もいくつも飛んだにゃ。とりわけ多かったのが、タイトルの“通りの悪さ”を心配する声。
はっきり言うよ。海外向けには別の名前を考えたほうがいい。英語圏だと「タイトルが英語じゃない=中身も英語じゃなさそう」と敬遠されて、見つけてもらいにくくなる。
開発者が「率直なやつ、ありがとう。じゃあ君ならどう名付けた?」と受けると、横から笑いを含んだ指摘も入った。
少なくとも最後の点は当たってると思う。自分は一瞬で「caper fart(おなら)」って読んじゃったからね。ゲーム自体は良さそうだけど。
見た目についても遠慮はなかった。ある人は「『Pirates!』の精神的続編は大歓迎。ただ自分の好みだと、船の地図は情報が多すぎるし、キャラクターモデルはどうしても受け付けない。角ばっていて作りが粗く見える」と正直に書いた。開発者は突き放さず、何が引っかかるのかを具体的に掘っていく。
ごちゃついている、というのは正しい指摘で、船のマップはプレイテストに向けて直す予定に入れてる。モデルのほうは、何が駄目に見える? プロポーションか、顔か、絵柄そのものか、それとも背景がずっと精細だから浮いて見えるのか。
返ってきたのは「全部ではあるけど、いちばんは他の素材との噛み合わなさ。あそこだけ場違いに見える」という答え。開発者は「モデル単体というより一貫性の問題、ということだね。それでかなり絞れた」と受け止め、参考にしたい良い例はないか、と逆に教えを乞うていた。



こうした一連のやり取りで一貫しているのは、開発者が反対意見や手厳しい感想を切り返さず、「それはどこから来ている感覚?」と一段掘り下げていく姿勢だ。名作の“感触”をどう現代のゲームに移し替えるか——その難しさを、一人の作り手が公開の場で手探りしている。答えの一部が見えるのは、まずはプレイテスト、そして年末の配信ということになりそうだね。
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