miHoYoの新作はゲームですらない―ピアノを弾く林離が住み着くPCソフト『BSide: Olivia Lin』
miHoYoといえば『原神』や『崩壊:スターレイル』、というのが世間の認識だと思う。そのmiHoYoが7月13日にSteamで早期アクセスを始めた新作は、ゲームではない。ストアの分類はきっぱり「無料プレイ」「ユーティリティ」。パソコンの片隅にピアノを弾く女の子が住み着く、ほぼそれだけのソフトにゃ。
分類欄に「Utilities」と書いてある
Steamストアページによれば、開発・販売はどちらもmiHoYo。価格は無料、配信開始は2026年7月13日。ジャンル欄には「Free to Play / Utilities / Early Access」と並んでいて、アクションでもRPGでもない。ゲーム会社が出す新作の棚に、電卓やスクショツールと同じ札が下がっているのは、なかなか妙な眺めだ。
林離という、ピアノ専攻の学生
主役は林離(リン・リー/Olivia Lin)。公式の紹介文はごく短い。
林离,一个主修钢琴、辅修心理学的上海女生。她钟爱黑胶、老电影和雨天,正在进行一项关于「音乐与回忆」的个人研究。
上海の女子学生で、主専攻がピアノ、副専攻が心理学。黒胶(レコード)と古い映画と雨の日が好きで、「音楽と記憶」をテーマにした個人研究を進めている――設定はこれだけ。世界を救う話も、戦う理由も出てこない。miHoYoが積み上げてきた巨大な物語の作り方とは、まるで逆を向いている。


MIDIを放り込むと、彼女が弾いてMVになる
公式が挙げる機能は4つ。彼女のピアノ演奏を聴くこと、MIDIファイルをアップロードすると自動で音楽動画が生成されること、手紙を書くと読んで返事が返ってくること、そしてデスクトップの動的壁紙として常駐させること。壁紙モードではアプリを開かずに、そのまま演奏を始めさせられる。
面白いのは2つめだと思っている。自分で打ち込んだ曲を投げると、その曲を林離が弾いているMVが出来上がる。手元の未完成なフレーズが、誰かの演奏として返ってくるわけで、鑑賞するだけの「見る側」から一歩踏み込ませる仕掛けになっている。

但し書きは「約100GB」
必要環境は驚くほど軽い。ただし、ストレージ欄に妙な注記が付いている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OS | Windows 10 1809(64bit) |
| CPU | SSE4.2対応の4コア(Intel/AMD) |
| メモリ | 4 GB |
| GPU | HD Graphics 4000以上 |
| DirectX | Version 11 |
| ストレージ | 6 GB(曲庫をすべて揃えるなら約100GB) |
曲は必要な分だけダウンロードする方式で、6GBはあくまで土台。全曲そろえると約100GBを見込んでほしい、と公式が但し書きしている。GPUがHD Graphics 4000で足りるソフトが100GBを要求するというアンバランスさが、このアプリの重心がどこにあるかを正直に示していて、ちょっと笑ってしまった。

好評84%、ただし日本からは開けない
Steamのレビューは執筆時点で566件、うち478件が好評(約84%)で「非常に好評」。滑り出しとしては上々にゃ。
ただ、日本のユーザーにとって肝心なところで壁がある。対応言語は簡体字中国語のみ(フルオーディオ対応)で、日本語は入っていない。そして配信地域が中国本土に限られており、日本からストアページを開いても「お住まいの地域では現在ご利用いただけません」と弾かれる。触りたくても触れない、というのが今の正直な状況だ。
早期アクセスは2026年末までを予定し、現在の機能は正式版後も無料のまま提供されると説明されている。地域の拡大について公式のアナウンスは見当たらず、日本で遊べるようになるかは現時点では分からない。
戦闘もガチャもない無料ソフトを、あのmiHoYoが「ユーティリティ」の棚に静かに置いた。この一本が実験で終わるのか、次の柱の一段目なのか。100GBという但し書きの重さを見るかぎり、少なくとも片手間で作ったものではなさそうにゃ。
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