「Steam新作の約3割にAI申告」ホーム画面を埋める成人向け量産タイトルへの不満と、その裏の数字
Steamのストアを開いたら、見覚えのない成人向けタイトルのサムネイルが延々と並んでいた——そんな不満から始まったスレッドが、r/Steamで一気に伸びたにゃ。投稿者の言い分はごく短くて、「どうしてこの手のゲームが、四六時中こんなに出続けているのか」。
感覚的な話に聞こえるけれど、出続けているのは実際そのとおりだったりする。まずは数字と、Valveが敷いているルールの側から見ていくにゃ。
3年ぶん53,597本を数えたら見えたこと


Sulka Haroが2023年7月から2026年7月までのSteam新作53,597本を集計した分析(2026年7月13日公開)によると、ストアページに生成AIの申告が付いた新作の割合は、年を追うごとにはっきり上がっている。
| 年 | AI申告付きの新作の割合 |
|---|---|
| 2024年 | 10.9% |
| 2025年 | 19.9% |
| 2026年(7月時点) | 30.8% |
同じ集計では、AI申告付きの新作が月あたり約530本のペースまで増え、Steamの月間リリース数の伸びの60〜90%がこの層で説明できるとしている。申告なしの新作は月1,030本前後から1,320本前後へ緩やかに増えただけで、爆発しているのは片側だけ、というわけだにゃ。
そしてもうひとつ、この分析が突きつけている数字がある。レビューが付いた作品の推定収益は中央値でおよそ300ドル、売上全体の約94%は上位1%が持っていく。数を撃てば当たるという構造ではなく、大半はほとんど誰にも買われないまま流れていく。この先の話は、そこを踏まえておくと分かりやすい。
Valveは「隠すな」と言い、そのうえで一線を引いている
生成AIの扱いについて、Valveは2024年1月から申告制を導入していて、開発者が申告した内容はストアページの「このゲームについて」欄に表示される。申告はプリジェネレート(開発中にAIで作ってゲームに同梱される素材)とライブジェネレート(プレイ中にその場で生成される内容)の2種類に分かれ、後者には不正・違法な出力を防ぐためのガードレール実装が求められている(Steamworks Documentation)。
2026年1月にはこの説明が大きく書き直され、コード補完のような開発効率化のためのAIツールは申告対象外だと明確化された。焦点はあくまで「プレイヤーが実際に受け取る中身」にある。
そのうえで、成人向けについては明確な線が引かれている。ライブ生成の成人向け性的コンテンツは、法的・顧客対応上のリスクが「現時点では容認できないほど大きい」として配信を認めていない。あわせて、公開ルール側でも「決済代行会社やカードネットワーク、銀行、ネットワーク事業者の規約に反しうる内容」「適切なラベル付けと年齢ゲートのない成人向け内容」は publish 不可として挙げられている(Steamworks Documentation)。つまり、申告と年齢区分を通した作品まで一律に締め出す方針ではない。数が増えている理由の半分は、そこにある。
何が目に入るかは、アカウントの設定でかなり変わる
もうひとつ押さえておきたいのが、成人向け表示はそもそも自分で開けた扉だという点。Steamのストア設定には「成人向けの性的表現」「ヌードまたは性的表現」「暴力・グロテスク表現」といった項目があり、チェックを外していればストアの表示や検索結果から外れる。逆にチェックを入れている状態なら、人気の新作リストにも普通に混ざってくる。個別タイトルの「無視する」を押せば、おすすめから消すこともできる。
Steamの検索やフィルタは、こういうところを詰めておくと体感がかなり変わる。以前、100%割引の作品を拾う検索リンクを紹介したときも同じ話をしたにゃ。
Redditの反応
スレッドで交わされた声は、Steamの話から早々にはみ出していった。多かったのは「もう手遅れ」という疲れた諦めのほうだにゃ。
ネットのかなりの部分がAIの粗製品になってしまったのが本当につらい。しかも大半はぱっと見では分からない。どれだけAIのbotが溢れているか想像がつく?
正直に言うと、もう戻り道はないと思う。ゲームだけじゃなく書籍の翻訳もそうだし、NetflixやAmazonの番組だって音声や映像に生成AIを使っている。大作でもだ
全部同意するけど、僕は「もう最悪の時代に入った」と言いたい。黄金時代はAIとメモリやGPUの価格で終わった
話は字幕と吹き替えのほうへ流れていった。ここは体験談が多く、温度も高かった。
韓国のドラマを観ていたらAIがスペイン語に訳した音声で、一言聞いた瞬間にテレビに物を投げそうになった
有料サービスがそれをやるのが本当に腹立たしい。ある配信で字幕が前後の会話とまるで噛み合っていなかった。同じ作品を別の場所で見つけたら、有志の翻訳のほうはちゃんとしていた
「字幕で観れば?」と言うけど、その字幕がAI生成だったりする。アニメを扱うサービスがまさにそうで、人が仕上げるのではなくAIモデルが出したものが並ぶ
一方で、悲観一色でもなかった。作り手側の道が細くなることを心配する声と、それに正面から返す声が続いた。
AIとアートを気にする人にできる一番のことは、昔からやってきたことと同じ。選ぶ側でい続けることだよ。完璧じゃないけど、生成AIを使わない良い作品はちゃんと出ているし、昔の作品だってかっこいい
そんなに簡単じゃない。AIはプロの作家・絵描きになるまでの道そのものを壊してしまった
じゃあ人は作りたがらなくなるってこと? AIが作り手を食い物にする最新の形だとしても、それで創作が死ぬとは言えない。そういう気分こそが、テック側にとって都合がいい
こういう空気に対して、「本当にそこまで見かける?」という反論も少なくなかった。これが後半のいちばん噛み合った論点だったにゃ。
正直、みんなが言うほどAIの粗製品を見かけていない。みんなが話しているそれはどこにあるの? Steamでもそんなに目に入らないし、ホーム画面では特に。配信サービスを使っていないせいかもしれないけど
「新作すべて」のフィードを生で眺めているだけなんじゃないかな。僕のストアのおすすめも、少なくとも興味の範囲からは外れていない
その流れで、実際に確かめた人の報告も出てきた。
友人がAI製のアダルトゲームだらけだと言い出して、僕ともう一人で「一体何を検索したらそんなものがホームに出るんだ」と笑い飛ばした。ところが人気の新作まで下にスクロールしたら……
鬱陶しいのは確かだけど、Redditの住人が言うほどひどくはない
見えている光景が人によってここまで違うのは、そもそもストアの表示が設定と行動履歴に紐づいているからで、「AIの粗製品なんてどこにある?」も「トップページが埋まっている」も、両方が同時に本当になり得る。ただ、月530本という増え方は設定では消えないし、その大半が誰にも届かないまま積み上がっていくのも数字の側の話にゃ。ストアの棚を自分で整えられる範囲は、思ったより広い。まずはそこから、というのが現実的な落としどころかもしれない。
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