紙の山を紙吹雪に変えて100万ドル―『Paper Shredder』はMurky Diversのスタジオ新作
オフィスの隅で唸るシュレッダー。あの音を、延々と鳴らし続けることだけがゲームになったらどうなるか。フランス・ストラスブールのスタジオ Embers が7月13日、Steamで新作『Paper Shredder』を発表したにゃ。積み上がった社内書類を刻んで、散らばった紙片を掃いて、稼いだぶんで機材を強化する。それを繰り返して目指す先が100万ドルという、なかなか業が深い一本なのです。
「入社おめでとうございます」から始まる




Steamストアページによれば、プレイヤーはとある会社のエントリーレベル職に採用されたところから始まる。任されるのは「ちょっとした」書類の処理残業……のはずが、目の前にあるのは天井に届きそうな機密文書の塔。ここから廃棄効率100%を達成すれば、報酬として100万ドルが支払われる、という契約にゃ。
ジャンルとしてはインクリメンタルゲーム。1枚ずつ手で差し込む地道な作業が、アップグレードを重ねるうちに大量破壊の規模へスケールしていく、あの気持ちよさを軸に据えている。視点は一人称で、Steamのタグには物理・サンドボックス・リラックスといった語が並ぶ。紙が刃に吸い込まれ、細切れになって舞う——その手触りそのものを主役にするつもりらしい。

刻んで、掃いて、道具を買い替える
ループはシンプルで、公式の説明でも「shred, sweep, upgrade(刻む・掃く・強化する)」と整理されている。
刻めば当然、紙吹雪が床に降り積もる。それを掃除して片付けることがそのまま評価につながり、報酬になる。破壊と清掃が同じサイクルの中で回っているのが、この作品のちょっと意地悪なところにゃ。散らかすほど仕事が増え、片付けるほど次の書類が運ばれてくる。
そして稼ぎは機材へ。安っぽい家庭用シュレッダーから、業務用の重装備へ。処理速度が跳ね上がり、さっきまで一日がかりだった山が数秒で消えるようになる……という、インクリメンタルの王道が敷かれている。スクリーンショットを見るかぎり、オフィスそのものも作業場として広く使えるようで、紙の量と機材のサイズが視覚的にどんどん膨らんでいく画づくりになっている。


ハピネスマネージャーは、ずっと見ている
紹介文で一番きな臭いのが、プレイヤーに付く専属の「ハピネスマネージャー」という存在。公式の説明では、この上司はプレイヤーのモチベーションを常時100%に最適化しておくため、絶え間ない心理的サポートを提供してくれる。しかもそのサポートは「highly mandatory(きわめて強制的)」であり、内容は「toxic positivity(有害なポジティブさ)」だとハッキリ書かれている。
つまり、ずっと横で前向きな言葉をかけられながら書類を刻み続ける、ということにゃ。褒められれば褒められるほど嫌な予感が濃くなるタイプの演出で、資本主義(Steamタグにも「Capitalism」がある)を茶化す方向の作品なのは間違いなさそう。


紙の山の下に埋まっているもの
ただの作業ゲーで終わらせる気はないようで、公式は「紙の山を掘り進めると、忘れられたファイル以上のものが見つかる」と書いている。さらに、かつての同僚たちはこの単調さに耐えきれず「自ら道を刻んで自由へ向かった」という噂まで添えられていて、最後は「あなたも彼らの後に続きますか?」で締められる。
具体的に何が埋まっているのかは伏せられたまま。ここは憶測せず、実際に掘ってのお楽しみとしておくにゃ。

シュレッダーに縁のあるスタジオ
開発・販売はどちらも Embers。公式サイトによればストラスブール拠点のスタジオで、光の存在となって戦うアクション『Strayed Lights』と、海底の廃研究施設に潜る協力ホラー『Murky Divers』を手がけている。
面白いのは、この『Murky Divers』にもシュレッダーが出てくること。Steamの紹介文では、回収した死体を潜水艦へ持ち帰ってシュレッダーにかけると、証拠隠滅と引き換えにクレジットが手に入る、と説明されている。証拠を粉々にして金を稼ぐ、という発想を丸ごと一本のゲームに育てたのが今回の新作、と考えるとしっくりくるにゃ。
動作環境と、これからの予定
Steamに掲載されている情報を表にまとめておく。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Paper Shredder |
| 開発・販売 | Embers |
| 対応プラットフォーム | PC(Steam) |
| 配信時期 | 近日登場(日付未定) |
| 価格 | 未発表 |
| 日本語 | 対応(表示・字幕) |
| プレイ人数 | シングルプレイ |
| 動作環境 | 最低 | 推奨 |
|---|---|---|
| OS | Windows 10 / 11 | Windows 11 |
| CPU | Intel i5-3330 / AMD FX-8300 | Intel i5-4690 / Ryzen 3 1300X |
| メモリ | 8GB | 12GB |
| GPU | GTX 950 / HD 7970 | GTX 1070Ti / RX 580 |
| ストレージ | 5GB | 8GB |
英語・フランス語・ドイツ語・中国語など14言語に対応し、その中に日本語も入っている。要求スペックはGTX 950から動く軽めの設定で、紙片の物理演算が主役のわりに敷居は低い。
今後については、Steamの発表告知で「公開プレイテストとSteamでの体験版を積極的に準備中」と明言されている。ただし時期はいずれもTBC(未定)。開発の様子を追いたい人向けに公式Discordも用意されていて、現時点でできるのはウィッシュリスト登録までにゃ。
放置ゲーの数字が伸びる快感と、オフィス労働の虚無感。この二つは実はよく似ていて、そこに気づいた作品はときどき妙な傑作になる。『Paper Shredder』が笑わせにくるのか、それとも紙の下から別の顔を出してくるのか——判断できるのはプレイテストか体験版が来てからだけれど、ハピネスマネージャーの一言目がどんなトーンなのかは、いまから聞いてみたいところにゃ。
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