UO開発者コスター氏の「次のヒットは粗いグラフィック」論、Redditは絵作りの話で盛り上がる
昔は256×256のテクスチャ1枚で済んでいた。それがいまは、鏡面反射用や凹凸用などに分けた4096×4096のテクスチャを何枚も描いて作られている。
こう書いたのはラフ・コスター氏。『ウルティマ オンライン』の開発に携わり、『スター・ウォーズ ギャラクシーズ』ではクリエイティブディレクターを務めたベテランだね。この9月、Redditのr/gamingで「次の大ヒット作は、開発費の高騰から逃れるために“しょぼいグラフィック”でなければならない」とコスター氏が語ったという見出しのニュースが上位に入った。粗い画面を推すような言い方が目を引くけど、本人は同じ問題を何年も前から数字で示してきている。
開発費は「10年で10倍」、2018年にはもうグラフで示していた
コスター氏は2018年1月、自身の公式ブログに「The cost of games」という長い記事を載せた。1980年代から当時までに出た250本以上のゲームについて、マーケティング費を除いた開発費を業界の知人の協力なども得て集め、グラフにまとめたものだ。
コンソールとPC向けの線は、10年ごとに10倍のペースで上がっているのが見て取れる。少なくとも1995年ごろからずっとそうだ。念のため言っておくと、これはすでにインフレ分を調整した数字だ。
ブログではこうまとめている。一方で、買う側が払う金額は購買力で見ると1980年代のおよそ半分に下がったという。容量あたりで見ればもっと下がっている、というのがコスター氏の見立てだね。作る費用は指数関数的に増えるのに、1本の値段はむしろ安くなっている。この差を埋めてきたのは遊ぶ人の数の急増で、それもいつまでも続くものではない、という筋立てになっている。

同じ記事では「容量あたりの開発費」も調べている。こちらは2004〜2005年ごろから横ばいが続いていた。UnityとUnreal Engineが広まった時期と重なることから、コスター氏は、2つのエンジンに揃ったことでコストを下げる新しい手法が生まれにくくなったのではないか、という仮説も書いている。どちらも決まった素材を流し込む作り方を軸にしていて、プロシージャル生成への対応が薄い、という見方だね。
「コストをリセットする転換は尽きかけている」とまで書いていた
今回の「粗いグラフィック」論も、2018年の記事の結びにつながっている。
業界全体を、成熟した市場だと考えてほしい。コストを振り出しに戻してくれるプラットフォームの転換は、もう尽きかけている。
家庭用ゲーム機からPC、携帯電話へと遊ぶ場所が移るたびに、最初は小さく安く作ったゲームでも勝負できる時期があった。r/gamingで話題になったニュースの見出しも、この延長にある。つまり、次に来る新しい場で求められるのは、見た目の豪華さではなく「そこでしか遊べないもの」だ、という話だね。コスター氏は2018年の時点で、決まった素材を大量に作るより、システムで遊びを生む作り方やプロシージャル生成、プレイヤー自身が作るコンテンツ、コミュニティの力に寄せるべきだとも書いていた。
その考えをいま形にしようとしているのが、コスター氏のスタジオPlayable Worldsの『Stars Reach』だよ。惑星ごとに生態系や天候、経済をシミュレートしていて、プレイヤーの行動がそのまま世界に残り続けるという触れ込みのSFサンドボックスMMORPGだ。



2026年8月にSteamで早期アクセスが始まっている。対応はWindowsのみで、価格は3,850円。対応言語は英語だけで、日本語はUIも字幕も入っていない。ストアの説明では、早期アクセスは少なくとも6か月続け、正式版では基本無料にする予定とされている。見た目は写実路線ではなく、色づかいのはっきりした絵作りだにゃ。
Redditでは「マイクラもそうだった」から始まった

スレッドで最初に上がったのは、ごく短い一言だった。
マインクラフトがそれをやったよね。
これに、別の人がタイトルを継ぎ足していく。
テラリアもそう。スターデューバレーも。Factorioもだね。まあFactorioはあの手のゲームにしてはかなりきれいだけど。
ここまでは「実例ならとっくにある」という流れだった。そこから話は「画質」より「絵作り」へ移っていく。多くの賛同を集めていたのはこの意見だ。
大事なのは画質の忠実さより美術の方向性。メディアや投資家から第一印象で「すごい」と言われることはないかもしれないけど、見た目がよく設計されたゲームは古びない。
さらに「美術の方向性が無いまま画質だけ上げると、茶色がかった茶色の塊になるだけ」という皮肉が続き、スレッドは思わぬ方向へ脱線した。写実的な画面で「登れる壁」を示すために塗られる黄色いペンキをめぐる応酬だ。
黄色いペンキはレベルデザイナーの力不足のせいだと思う。縦の移動がほとんど無いゲームに壁登りを入れるから、登れる1枚の壁を登れない700枚の壁と見分けるために塗るしかなくなる。
「プレイヤーが迷うから仕方ない」と乱暴に言い返す声もあった。一方で、こんな指摘も出ている。
アサシン クリードにも、形で示す黄色いペンキみたいなものはあった。登れる場所はどれも同じ見た目をしていたからね。
写実的な画面ほど、どこに行けるのかを見分けにくい。そこを別の目印で補うことになり、その手間もまたコストになる。コスター氏が言う「素材が増えるほど、それを確かめる作業も増える」という話と、意外なところでつながる応酬になっていた。
ドット絵でも驚きはある、という声も多かった。
今週はValheimを遊んでるんだけど、ピクセル感丸出しのゲームなのに「うわっ」と声が出た回数がとんでもない。
これには「でもそのピクセルがきれいなんだよ。光の表現が明るい場所でも暗い場所でも環境を成立させるくらいには作り込まれていて、全体の絵柄が揃っているから、どこか1か所だけ見劣りするということが無い」という返信が付いている。画面の細かさより、どこを見ても質が揃っていることが効いている、という分析だね。
ほかにも、動作が軽いのにいつ見ても気持ちいいMMOとして『City of Heroes』を挙げる人や、写実を狙っていないのに没入感が抜群だったと『Abiotic Factor』を推す人がいた。JRPGの主役がファイナルファンタジーからペルソナに移ったのもこの流れだ、と言い切る声もあった。反対に「ポケモンはどっちも無い」と、画質も絵作りも伸びていないという厳しい評価も出ていた。
開発費の話で始まったスレッドは、結局「粗いか精細か」ではなく、限られた手間の中で絵柄をどこまで揃えられるか、という話に落ち着いた。コスター氏が2018年のグラフで示した10年で10倍という線は、その後もまだ下を向いていない。
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