ウィッシュリストは2010年生まれ ― 懐かしのSteam旧UI、当時の告知ページは今も残っている
r/Steamに貼られた1枚のスクリーンショットが、今日のトップに上がっている。写っているのは2010年のSteamクライアント。黒とグレーの角ばったウィンドウに、STORE / LIBRARY / NEWS / COMMUNITY の4語だけが横並びになった、あの画面にゃ。
こういう画像が流れてくるたび「昔のほうが軽くて分かりやすかった」という空気になるんだけど、皮肉なことに、この2010年版こそが当時「変わりすぎだ」と騒がれた大改装そのものだったりする。しかももっと面白いのは、Valveがその改装を紹介するために作ったページが、16年経った今も同じURLで生きていること。store.steampowered.com/uiupdate/ を開くと、2010年4月14日付の「A Brand New Steam — Available Now!」がそのまま表示される。
2010年4月26日に、全ユーザーへ配られた
この刷新はいきなり降ってきたわけじゃない。公開ベータが始まったのは2010年2月23日で、当時のプレスリリースにはSteamの規模がこう書かれている――直近12か月で200%成長、ユーザー2,500万人、1,000本超のゲーム、月間120億分のプレイ時間。「この成長に対応するため、新しいSteamクライアントを作った」というのが改装の理由だった。
技術面で大きかったのは描画エンジンの入れ替えで、Steam開発ディレクターのJohn Cook氏は「Internet Explorerのレンダリングエンジンを捨ててWebKitに差し替えた。サイズ・安定性・パフォーマンスの面で多くの利点が得られる」と説明している。今のSteamクライアントがブラウザ的な作りになっている流れの、出発点にあたる部分にゃ。
そして2か月のベータと20回を超えるアップデートを経て、4月26日(月)に全ユーザーへ配信。ベータ用フォーラムには約2万5,000件の投稿が集まったとValveは書いている。当時からユーザーの声が飛び交う場所だったわけにゃ。
いま当たり前に使っている機能が、ここで入った
改装ページに並んだ変更リストを読むと、「え、これって2010年からなの?」というものがけっこう混ざっている。
- ウィッシュリスト(欲しいゲームを記録し、フレンドの欲しいものも見られる機能)
- ライブラリのカスタムカテゴリ("Old School" みたいな自分用の分類)
- グリッド表示——ジャケット画像を並べて眺めるあのビュー
- リストでタイトル名を打つと該当ゲームに飛ぶ検索(Valve自身が「better-late-than-never feature department」=今さらですが部門、と自虐している)
- ダウンロード画面の新設
- ライブラリと実績表示の統合

つまり「2010年のSteamはシンプルで良かった」と言うときの“シンプルさ”の中には、この年に足された機能が最初から含まれている。ウィッシュリストのない時代を懐かしんでいる人は、たぶんほとんどいないにゃ。
オーバーレイに時計が付いた(!)
変更点の全リストにはこんな一行もある。「Clock in the in-game overlay (!)」。ビックリマークまでValveの原文どおりで、当時どれだけ要望が多かったのかが伝わってくる。

ゲーム中にShift+Tabで開くこのオーバーレイも、この改装で全面的に作り直されたもの。フレンド、そのゲームのニュース、実績の進捗が一画面に収まる形は、細部こそ変わったけれど基本の考え方は今も生きている。ほかにもDirectWriteベースのフォント描画、バックアップ/復元ウィザードなど、地味に長生きしている機能がリストに並んでいる。
数字で見る「あの頃」

Valveは2010年、成長ぶりを2度にわたって公表している。数字を並べるとこうなる。
| 時点 | アカウント数 | 配信タイトル数 | 同時接続のピーク |
|---|---|---|---|
| 2010年1月29日 | 2,500万超 | 1,000本超 | 250万人超(2009年12月) |
| 2010年10月18日 | 3,000万超 | 1,200本超 | 300万人超 |
10月の発表では、1日に600万人以上がSteamを利用し、Steam Cloudの保存ファイルが1億件を突破、配信インフラは400Gbpsまで拡張された、とも書かれている。ちなみに同じ年の5月12日にはMac版Steamが公開されていて、2010年はSteamにとってかなり忙しい一年だったにゃ。
配信タイトルが1,200本。ライブラリを名前で検索する機能が「新機能」として誇らしく紹介される規模感——ここが今との一番の違いだと思う。
2026年のSteamは、ちょうど作り替え終わったところ
そして今のSteam。2025年から2026年にかけて、ストア側はかなり大きく手が入っている。
- 2025年9月23日:新しいストアメニューが正式版に
- 2025年10月21日:パーソナルカレンダー(自分のプレイ傾向から新作・近日発売を出す)を実験機能として公開
- 2025年11月7日:ストアページの横幅を940ピクセルから1200ピクセルへ拡大
- 2026年6月5日:ストアトップページの刷新を正式公開(ベータは4月1日から)

刷新後のトップページでは、カプセル画像にカーソルを乗せるとマイクロトレーラーが再生され、「なぜこのゲームが薦められているか」の理由とレビュー要約が添えられる。ゲームアートも高解像度のものを使う方針に切り替わった。動きの多い画面が苦手な人向けに、ストア設定でアニメーションを止めて静止画に置き換えるモーション感度の設定が用意されたのは、地味だけど効く追加にゃ。

情報量で言えば、2010年のトップページとは比べものにならない。良し悪しの話をすると意見が割れるところで、r/Steamでこの手の議論が定期的に起きるのもいつものことにゃ。値段の話でも似た盛り上がり方をしていた。
16年越しに、ウィッシュリストがカテゴリを手に入れた
締めにちょうどいい話がある。2026年7月20日、Steamのウィッシュリストにカスタムカテゴリ機能が追加された。ゲームを自分の好きな分類に振り分けられて、検索や共有も強化されている。
ライブラリのカスタムカテゴリが入ったのが2010年。ウィッシュリストが生まれたのも2010年。その二つがようやく合流したのが今月、というわけにゃ。
2010年の画面が懐かしく見えるのは、たぶんデザインそのものより、ライブラリが1画面で見渡せて、積みゲーがまだ二桁だった頃の記憶のほうなんだと思う。それでもあの画面をもう一度ちゃんと見たいなら、Valveが16年間消さずに置いてくれているあのページがある。スクリーンショットは当時のまま、フルサイズで残っているにゃ。
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