PS5世代のソニー新規IPは4本だけ、残ったのは『Returnal』と『Saros』
数えてみたら4本だった、という話から始まっている。PS5が出てから6年目に入ったソニーが、この世代で自社スタジオから立ち上げた「新しいシリーズ」はいくつあるのか。Redditのr/gamingでその数え直しが回ってきて、コメントが一気に伸びた。
挙がっていたのは『Destruction AllStars』『Returnal』『Concord』『Saros』の4本。続編でもリメイクでも既存シリーズの外伝でもない、看板からして新しいタイトルだけを拾うとこうなる、という数え方だね。だから外部スタジオが作ってソニーが売った作品——たとえばシフトアップの『Stellar Blade』——は入らないし、『Marathon』のような過去作の再始動も外れる。線引きが厳しすぎるという反論も当然あったけれど、「PlayStation Studiosが自前で立ち上げた新規タイトル」という条件で絞るなら、この4本という数字自体はひっくり返らない。
PS5の6年で立ち上がった新規IPは4本、うち2本はもう畳まれた
まず現状を並べておく。
| タイトル | 発売 | 開発 | いまの状況 |
|---|---|---|---|
| Destruction AllStars | 2021年2月2日 | Lucid Games | 配信終了。サーバーサポートは11月26日午前0時まで |
| Returnal | 2021年4月30日 | Housemarque | 継続中。PC版も配信 |
| Concord | 2024年8月23日 | Firewalk Studios | 2024年9月6日にオフライン、全額返金 |
| Saros | 2026年4月30日 | Housemarque | 継続中 |
半分が消えている。しかも消えた2本は、どちらもオンライン前提の作りだった。
PS5のローンチタイトルとして予定され、延期のうえPlayStation Plusの提供作品として2021年2月に配信が始まった車体当てアクション。16人のスター選手を切り替えながら車で潰し合い、降りればパルクールで逃げる、という独特の作りだった。
その『Destruction AllStars』が、今年5月26日にPlayStation Storeから引き上げられた。ゲーム内通貨のデストラクション・ポイントも同時に販売終了。マルチプレイは技術的な問題を理由にすでに停止していて、復旧の予定は無い。すべてのサーバーサポートが切れるのは11月26日午前0時(=11月25日の深夜)で、それ以降もアーケードモードのシングルプレイ課題は遊べるものの、動作や体験に影響が出る可能性があると公式に書かれている(PlayStation公式「オンラインプレイができるゲームのサポート」)。
こちらはもっと急だった。2024年8月23日に発売されたチーム制のシューターで、2週間後にはゲームディレクターのライアン・エリス氏が「今回のローンチは狙った形にならなかった」として、9月6日からのオフライン化と販売停止、購入者全員への全額返金を告知している(PlayStation.Blog)。10月末にはFirewalk Studios自体が閉鎖され、復活の目も消えた。


残った2本のうち古いほうが『Returnal』。2021年にPS5で出たあと、2023年2月16日にSteamでもPC版が配信されていて、今も両方で買える。新規IPとして立ち上がり、生き延び、プラットフォームまで広げた——この世代でそれができたのは、いまのところこの1本だけだね。
メタスコア88の『Saros』は、Returnalと同じ4月30日に出た


そして4本目が今年の『Saros』。Returnalと同じくHousemarqueの作品で、当初は3月20日の予定だったものが4月30日へ動いた。結果として、『Returnal』がPS5で出た2021年4月30日から、ちょうど5年後の同じ日に届いたことになる。狙ったのかどうかは分からないけれど、きれいに揃った。
主人公はソルタリの執行官アルジュン・デヴラージ(演じるのはラフール・コーリ)。姿を変え続ける惑星カルコサで答えを探す三人称視点のアクションで、死ぬたびに世界の形が組み替わる一方、蓄積したリソースや強化は次の周回へ持ち越せる。Returnalの「1回死ぬと全部失う」手触りを、もう少し前へ進みやすい方向へ寄せた設計だと説明されている(Sony Interactive Entertainmentのプレスリリース)。
評価も付いてきた。Metacriticのスコアは88で、これはHousemarqueの過去作を全部抜いた自己最高点。Returnalの86も、『Nex Machina』も上回っている。トリガーになった海外記事は「まずまずの反応止まり」と書いていたけれど、数字を見るかぎりそこは当たっていない。2026年に出た作品の中でも上位に食い込んでいる。
つまり4本のうち、シングルプレイ主体で作られた2本はどちらも残り、オンライン運営前提で作られた2本はどちらも消えた。この対比が、スレッドの議論に火を付けた部分でもある。
『Intergalactic』と『Fairgame$』は、いつ出るのか


この世代でまだ出ていない新規IPが2本ある。ノーティードッグの『Intergalactic: The Heretic Prophet』と、Haven Studiosの『Fairgame$』だね。
ただ、どちらも公式の発売日は出ていない。『Intergalactic』は2024年末に発表されて以降、映像は追加されているものの時期の告知が無い。『Fairgame$』はスタジオ体制の変更を挟んで延期が伝えられてきたが、新しい日程は公表されていない。PS5世代の新規IPをこの先2本足せるのかどうかは、まだ何とも言えない状態にゃ。
Redditの反応
スレッドの一番上に付いたのは、PS5のときにソニーが掲げたブランドスローガン——「Play Has No Limits ‐遊びの限界を超える‐」——をいじる短いやり取りだった。
「Play Has No Limits」だったよね、ははは。
これに即座に返ったのが、
Play に限界は無くても、Station のほうにはあったらしい。
笑いから入ったスレッドだけど、中身はわりと具体的な話へ流れていく。多かったのは、独占タイトルの本数そのものへの不満。
正直、この世代の独占の出し方はひどい。既存シリーズですらそうだ。Switch 2は出てまだ1年ちょっとなのに、独占の本数ではもう上回っている。Xboxが自滅していなかったら、今ごろ相当まずかったと思う。
任天堂と比べる声は他にもあって、作り方の違いを挙げる人もいた。
任天堂はシングルプレイのゲームを作って、そこに時々マルチを乗せる。メトロイドを見ればいい、何本も出ている。ソニーは新規IPをオンライン運営型としてばかり作ろうとした。それだと「新しいシリーズを作った」ことにもならない。
ここは実際、上で並べた4本の生死とそのまま重なる指摘だね。長く遊ばせる設計にしたはずの2本が先に畳まれ、1周終われば終わる設計の2本が残った。
経営の話へ寄る声も目立った。
学生のころ「Play your way」っていう広告企画があって、あれは本当にかっこよかった。要するにこうなるんだよ、製品より利益を優先する人間を上に据えると。買う価値のある製品が無ければ、利益も出ない。
SIEの本社を日本に置かず米国へ移したのが、そもそも大きな失敗だったと思う。
シャーン・レイデンがPlayStationを率いた最後の米国在住の人物で、あの人は良い仕事をした。そのあとの2人が全部ひっくり返した。
固有名詞まわりは少し補っておくと、ジム・ライアン氏は2024年3月にSIEを退いている。そしてハーマン・ハルスト氏を「現CEO」と書いているコメントが複数あったけれど、SIEの社長兼CEOは2025年4月1日付で西野秀明氏が単独で務めていて、ハルスト氏が見ているのはスタジオビジネスグループのほう(SIEの発表)。組織の形が誤解されたまま話が進んでいる部分はある。
過去の世代を引き合いに出す一文も伸びていた。
PS2からPS3のときと同じことが繰り返されているわけではない。ただ、韻は踏んでいる。
数字しか見ない経営が創作物と噛み合わない、という主張を、もう少し踏み込んで書いている人もいた。
経営学の理論はもともと製造業から出てきたもので、同じ部品をひたすら大量に吐き出すのが目的だ。創造性が要らない領域で生産量を増やすことには向いている。ゲームはそうじゃない。
そして、ソフトの本数から離れた不満も混ざる。
友達とオンラインで遊ぶには月額を払う必要がある。その料金は上げ続ける。2026年にね。
これは事実としても裏が取れる部分で、PlayStation Plusの12か月利用権は2023年9月6日に全プランが改定され、エッセンシャルが5,143円から6,800円、プレミアムが10,250円から13,900円になっている。
賛否というより、方向としてはおおむね一致した流れのスレッドだった。ただ、その一致の中身は「ソニーが新しいものを作れない」ではなく、「作った新しいものを、続かない形で出した」という点に寄っている。
6年かけて増えたPS5世代の棚に、いま新規IPとして並んでいるのは『Returnal』と『Saros』の2本。
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