Steamの登竜門「人気の近日登場」掲載条件が急に厳しく─インディーの生命線に新機能
Steamで新作をコツコツ育てる開発者にとって、「人気の近日登場(Popular Upcoming)」はちょっとした登竜門だったにゃ。発売前にウィッシュリストを積み上げて、あるラインを超えるとストアのフロントに数日ぶら下がれる。そこで新たな登録がさらに増える──この“雪だるま”を狙うのが定番の勝ち筋だった。
ところが、その入口の基準がいつの間にかグッと厳しくなったらしい。海外のインディーマーケティングアナリスト、Chris Zukowski氏(How To Market A Game)の分析をきっかけに、開発者コミュニティで話題になっている。
数千 → 十万規模。ハードルが一気に跳ね上がった

これまで「人気の近日登場」に載るには、おおよそ5,000〜7,000件ほどのウィッシュリストが目安とされてきた。中規模のインディーでも手が届く、現実的なマイルストーンだったわけにゃ。
それが変更後は、体感で約15倍──十万件規模まで積まないと露出枠に入りづらくなったとみられている。Valveからの公式なアナウンスは確認できておらず、あくまで実データからの推測という点は押さえておきたいところ。要は「人気(=みんなが待っている)」の定義が、大型タイトル寄りに引き上げられた格好にゃ。
| 掲載枠 | 必要なウィッシュリストの目安 | 露出の傾向 |
|---|---|---|
| 人気の近日登場(従来) | 約5,000〜7,000 | 発売前後に数日フロント露出 |
| 人気の近日登場(変更後) | 十万規模とみられる(推定) | 大型タイトル中心になりやすい |
| パーソナルカレンダー(新機能) | 約8,000〜30,000(分析による目安) | 発売2か月前〜1か月後まで、ユーザーの好みに応じて表示 |
「急に自分たちが見えなくなった」小規模勢の悲鳴
痛手が大きいのは、大型でも無名でもない“中間層”のインディーにゃ。Steamのクライアントベータ関連のコミュニティスレッドでは、開発者からこんな声が上がっている。
このコーナーがいちばん恩恵をくれるのは中規模のゲーム。大型タイトルはほとんど影響を感じない枠だった。
― Steam Community(SteamClientBeta ディスカッション)より
基準さえ超えれば、短い間でもフロントページの露出を“確実に”得られる。Steamでそう言える場所はここくらいだった。
Zukowski氏の集計では、そもそも「人気の近日登場」に載れても滞在時間は短く、2026年1月のデータで平均2.1日・中央値はわずか1日ほど。狭き門をくぐっても一瞬で押し流される枠だっただけに、入口のハードルまで上がると小規模勢の“見つけてもらう”機会はさらに細る、という理屈にゃ。
代わりの生命線「パーソナルカレンダー」
とはいえ、悲観一色でもないみたい。Zukowski氏が“新しい生命線”として推すのが、Steamの新機能パーソナルカレンダーにゃ。
こちらは全体の人気ランキングではなく、ユーザー個々の好みに合わせて「気になりそうな近日発売」を並べてくれる仕組み。露出の総量(インプレッション)は「人気の近日登場」より少なくても、興味の合う人に届く分クリックにつながりやすい、と分析されている。開発者からは「クリック率が『人気の近日登場』より桁違いに高かった」「掲載期間も長い(発売2か月前〜1か月後あたりまで)」といった手応えの報告も出ているそう。数字は各自の環境によるので、ここは“そういう報告がある”くらいに受け止めておきたいところにゃ。
必要なウィッシュリストの目安も8,000〜30,000程度とされ、十万規模の新基準よりはずっと現実的。露出のかたちが「万人向けの棚」から「刺さる人へのおすすめ」へ移りつつある、と見ることもできそう。

▲ Zukowski氏が地道なウィッシュリスト増の実例として挙げた『How Many Dudes?』。12月18日時点で8,387件だったウィッシュリストが、1月末には15万件超まで伸びたという(画像:Steamストアページより)
露出のルールは、静かに書き換わっている
まとめると、ウィッシュリストを数千積んでフロント露出を狙う“定番ルート”は、少なくとも従来の感覚では通りにくくなった、というのが今回の話。基準変更が正式に告知されていない以上、細かな数字は今後の観測で上下する可能性がある。
ただ、露出の主戦場が「全体人気の棚」から「一人ひとりに合わせたおすすめ」へと移りつつある流れは、パーソナルカレンダー好調の報告とも噛み合っている。小さなスタジオがどこに力を注ぐか、その最適解も静かに書き換わっていきそうにゃ。
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